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歯周病患者は日本人の8割もいるというのは本当?

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歯周病は、プラークの中にいる歯周病菌という細菌が歯周組織を破壊する病気です。
実は、世界中で患者数が最も多い病気ということでギネス世界記録にも掲載されているほど、多くの人がかかっているのです。
そして、先進国の中でも日本は特に多いと言われています。
それはなぜなのか、解説します。

日本人の成人の5人中4人は歯周病?

歯周病は、非常に身近な病気で、歯科医院で診療を受けた人の多くが、歯周病だと診断されたことがあるのです。
専門機関のWebサイトやCMなどでは、成人の10人中8人、つまり80%は歯周病だと書かれているのですが、これは決して大げさな話ではありません。

厚生労働省の調査では、歯肉炎や歯周病の治療を受けている人は265万人以上もいると言われています。
成人の8割というには少ないように思えるかもしれませんが、それには理由があり、そもそも治療を受けていない人が多いことが挙げられます。
なぜなら、「成人の8割」の中には、歯周病患者だけではなくその予備軍も含まれているため、将来的な発症リスクは高いとしても、現時点では患者に含まれていない人もいるのです。

また、歯周病は痛みもないため初期段階ではなかなか自覚できない病気です。
そのためだけに歯科医院を受診する人は少なく、虫歯など他の要因がなければ気づかれにくいため、治療を受ける人は少ない傾向にあります。

歯周病かどうかの判断基準は、「e-ヘルスネット」という厚生労働省が運営している健康情報サイトに記載されています。
それによると、歯周病は進行段階によって5段階に分けられています。

最も軽度なのは、歯肉に全く炎症が見られない健全な状態です。
この状態であれば、歯周病ではないと言えるでしょう。
「e-ヘルスネット」では、この段階を0としています。

これ以降は、主に歯周ポケットの深さで段階が決まっていきます。
歯周ポケットの深さを確認したとき出血がみられるものが、「e-ヘルスネット」によると1段階目です。
処置が悪いせいだと思う人もいますが、健康な歯茎はそう簡単に出血しません。

「e-ヘルスネット」の2段階目は、歯肉縁下の4mm以内に歯石がある場合です。
歯肉縁下というのは、歯茎と歯の境界線から見て歯茎側のことをいいます。
これは、歯周ポケットの深さが4mm以下で、その中に歯石がある状態を指しています。

歯周ポケットの深さが4mmを超えて6mmまでの場合は、「e-ヘルスネット」の3段階目です。
そして、6mmを超えてしまうと、「e-ヘルスネット」では4段階目にカウントされます。
この3段階目と4段階目に該当するのは、全体の約7%しかいません。

1から4に該当する人は5,000万人と言われているのですが、その中にはわずかな腫れや出血があった人も含まれています。
その中で、重症と言われる患者が約350万人いるのです。

発症するリスクが高いのは、免疫力が低下している高齢者です。
年代別にみると、24歳までと75歳以上では重症化リスクが6倍以上にもなります。
重症化すると治療も難しくなるため、なるべく早く治療しましょう。

歯周病を予防するために

日本人が歯周病になりやすいのは、歯周病予防に対して意識が低いことや、日本人が歯科医院を受診するタイミングなどが理由として挙げられます。
これは、国の取り組みの影響もあると言われています。

日本人のほとんどは、痛くなってから歯科医院に行く、痛みが治まったら行くのをやめるという考え方をしています。
歯周病はなかなか傷みが生じない病気なので、歯科医院に行った時には進行していることも珍しくありません。

先進国の多くは、歯を治療するのではなく虫歯や歯周病にならないよう、予防のために歯科医院へと通っています。
治すのではなく、「かからない」ということを念頭に置いているのです。

日本は歯に何らかのトラブルが発生してから歯科医院に行くため、早期段階で治療できないケースもよくあります。
その結果、残存歯が少ない傾向にあるのです。

親知らずを除くと全28本の歯が生えるのですが、日本人の80歳時点での残存歯は10本前後しかないと言われています。
つまり、80歳になった人の2人に1人は、17~18本の歯を失っているということです。
年を取ったら歯が失われるのは当たり前、という人もいるのですが、そうとは限りません。
スウェーデンでは、80歳時点で平均25本と、ほとんどの歯が残っているのです。

これには、国としての取り組みも影響しています。
日本では、治療目的ではない予防歯科は保険が適用されないことが多いのですが、スウェーデンでは保険を適用し、国として予防に取り組んでいるのです。

歯周病は、歯を失う原因になることが多い病気です。
歯を大切にするためにも、歯周病の予防に努めて歯を大切にしておきましょう。
定期的に検診を受けて、歯の健康を確かめることも大切です。

まとめ

日本人は、先進国の中でも特に歯周病患者が多いと言われているのですが、その背景には予防歯科という考え方が浸透していないことがあります。
諸外国では、虫歯になったから治療しに行くのではなく、そもそも虫歯にならないように定期的に検診を受けるという習慣が根付いています。
虫歯や歯周病になりかけていても、初期段階で治療できる予防歯科を始めて、歯周病を予防しましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。