歯を失った場合の治療法には、ブリッジ、入れ歯、インプラントなどがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
各々の治療法について詳しく知り、自分に合ったものを選択することが大切です。
その中でも「ブリッジ」は、歯を失った両隣の歯を土台にして、中央の歯を橋のように支える治療法で、自分の歯に近い感覚で噛むことができるようになる方法です。
また、インプラント治療のように、歯ぐきを切ったり、骨を削ったりすることもありません。
糖尿病や高血圧などの疾患をお持ちの方や、インプラント治療に恐怖心をお持ちの方でも、安心して受けていただくことができます。
「外科手術を伴うインプラント治療が怖い」「入れ歯を入れることに抵抗がある」といった方におすすめの治療法です
歯科におけるブリッジ治療
ブリッジ治療は、歯がない部分を左右の歯で支えて連結させる治療方法です。
2つの歯で橋渡しをするような治療なので、ブリッジと言われます。
ブリッジには橋渡しをするための土台となる歯が必要
ブリッジには土台になる歯が必要で、多くの歯を失うとブリッジ治療ができなくなる場合もあります。
また、歯の本数や治療する部位によっては、保険が適用されないこともあります。
ブリッジのメリット
最近、インプラントを希望される方が多くなっていますが、体調によって手術ができない方や、インプラントは怖いという方もいらっしゃいます。
そのような方は、インプラントよりブリッジの方がおすすめです。
メリット1:手術の必要がない
ブリッジは手術を伴わないため、糖尿病や高血圧の方でも安心して受けられる、体に優しい治療法です。
ブリッジは、歯ぐきを切ったり、骨を削ったりしないので、持病のある方やインプラント治療に恐怖心をお持ちの方にも安心して受けていただける治療法です。
メリット2:今までと同じ感覚で食事ができる
ブリッジは天然の歯を土台にするので、周囲の歯と同じ感覚で食事ができます。
またブリッジは接着剤で固定するので、インプラントや入れ歯などの他の治療に比べて違和感が少なくすみます。
メリット3:歯に固定されている
ブリッジは前後の歯にしっかりと固定されているので、虫歯にならない限り外れることはありません。
毎日の歯磨きやデンタルフロス、歯科でのクリーニングは必要ですが、天然の歯と同じ感覚で使えます。
メリット4:最短1週間程度で治療が終わる
ブリッジは最低だと3回の通院、3週間程度で治療が終わります。
1回目は、歯を削って型取りをし、2回目にブリッジを歯に装着します。
インプラントの場合、最低でも5回、4ヶ月以上の期間が必要です。
メリット5:審美性を高くすることも可能
ブリッジ治療でセラミックを利用すれば、強度を保ったまま天然の歯以上に白くすることができます。
自費診療になりますが、金属を使わずに奥歯をブリッジすることも可能です。
メリット6:コストが安い
金属やプラスチックでブリッジ治療をする場合は、保険診療で治すことができます。
自費診療のセラミックなどを使う場合でもインプラント治療よりは3割以上安くできます。
メリット7:メンテナンスが容易
ブリッジは今までのように家での歯磨きとデンタルフロス、そして歯科での定期的なクリーニングで維持することができます。
ブリッジのデメリット
ブリッジにもデメリットはあります。
1:歯を削る必要がある
ブリッジは前後の歯を削って土台を作ります。
銀歯などで治療すると、土台の歯は5〜7年で虫歯になります。
入念なケアが必要です。
2:土台の歯に負担がかかる
ブリッジは2本の歯で3本分の噛む力を支える必要があります。
一本あたり1.5倍の負荷がかかります。
下の歯が弱いと折れたり、グラついたりすることがあります。
3:前後の歯が必要
前後に歯がないとブリッジができないので、奥の歯の5番と6番を土台にしてできる場合があります。
ブリッジの寿命とコスト
ブリッジの寿命
ブリッジの寿命は7年程度と言われていますが、10年以上使用できるケースもあります。
被せ物の精度やかみ合わせの調整、メンテナンスも影響するため、歯科医師の技術と日々のメンテナンスによって異なる場合があります。
また、土台となる歯が傷んでいて、再治療が必要になるケースも少なくありません。
噛み合わせの調整が正しく行われないと、支えとなる歯に過大な負荷がかかり、歯が破損することがあります。
また、口腔ケアが不十分だと、土台となる歯が虫歯になることもあります。
ブリッジを長持ちさせるためには、適切なメンテナンスが必要です。
毎日の歯磨きだけでなく、定期的に歯科医院で噛み合わせを確認し、クリーニングすることも大切です。
ブリッジを長持ちさせるための5つのポイント
長期的に使えるブリッジ設計
支える、土台となる歯の状態やかみ合わせを考慮し、力学的に健全なブリッジを設計することがまず大切です。負荷が大きすぎると、土台の歯が悪くなってしまいます。
土台の歯の評価
土台となる歯、ブリッジを支える歯を長持ちさせるために、神経の保存、根管治療、歯根治療、歯周病治療などを行った上でブリッジを行う必要があります。
不具合箇所の評価
ブリッジを入れる前に仮歯を装着し、審美性、適合性、発音などを確認しながら治療を行います。 問題がある場合は、歯肉移植や骨造成が検討されます。
ブリッジの接着処理
ブリッジの正しい装着は耐久性に影響します。しっかりした接着処理でブリッジを長持ちさせます。
治療後のセルフケアとメンテナンスのためのクリーニング
ブリッジは治療が終わってからのケアが重要です。毎日の歯磨きとデンタルフロスに加え、定期的な歯科でのクリーニングが必ず必要です。
ブリッジのコスト
ブリッジには保険が適用されるため、治療費の負担を軽減することができます。
しかし、審美性の高い素材を使ったり、失った2本以上の歯にブリッジ治療をしたい場合、保険適用ができず、治療費が高額になることがあります。
保険適用の被せ物
保険適用の材料は、レジン(歯科用プラスチック)と金属(金、銀、パラジウム合金など)です。
樹脂は白い素材なので、金属よりも自然な仕上がりになります。
金属(銀歯)の場合、目立つし、審美的にもあまりよくはありません。
前歯の場合は保険でレジンを使うことができますが、奥歯は金属(銀歯)になります。
レジンのメリット・デメリット
メリット
・保険適用で安価で治療できます
・銀歯よりは審美性が良いです
デメリット
・経年変化で変色を起こしやすいです
・負担がかかると割れることがあります
・天然の歯と比べると色味の違いが目立ちます
金属(金、銀、パラジウム合金など)
金属(銀歯)のブリッジが目立つという審美的な問題以外にも、経年変化で金属イオンが溶け出し、歯茎の着色の原因になるなどのデメリットがあります。
また、被せ物の劣化により、ブリッジを支える歯が虫歯になることもあります。
自費診療の被せ物
保険が効かないためコストが高くなりますが、保険が効く素材のデメリットがなく高い審美性を保てる素材があります。
オールセラミックやメタルボンドなど様々なタイプがあるため、治療部位や素材の特性を考慮して選択します。
ブリッジ治療の流れ
1 土台固め
ブリッジを入れるために、両隣の歯の形を整えます。
両隣の歯が虫歯になっている場合は、虫歯治療を優先します(両方の歯の神経まで虫歯が進行している場合は、まず神経を治療します)。
2 型取り、仮歯の装着
正確な被せ物を作るために、歯の型を取ります(前歯の状態が悪い場合や歯ぐきの状態が悪い場合は、仮歯を装着します)。
前歯の場合は、歯の色を合わせます。
3 ブリッジの装着
2の型取りから1~2週間後、完成したブリッジ(被せ物)をお口に装着します。
形状やかみ合わせに問題がないことを確認しながら、慎重に調整し、装着します。
ブリッジ治療の費用
保険のブリッジ | 約 ¥30,000〜(症例により異なる) |
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自費のブリッジ | ¥440,000(税込・症例により異なる) |
ブリッジ治療後の注意点
- これまで歯のない部分にブリッジいれるので締め付け感や噛み合わせの違和感などがあります。3~4週間程度で慣れてきますが、それ以上違和感が続く場合は調整いたしますので、ご相談ください。
- 虫歯が重度だった場合、装着後に痛みを感じることがあります。通常は我慢できる程度の痛みで、1週間程度で治まりますが、ひどい場合や痛みが続く場合は、遠慮なくご連絡ください。
- 神経が残っている歯があると、シミやすくなります(虫歯が残っているわけではありません)。銀歯は金属でできているため、熱が伝わりやすく、シミやすいです。
- ブリッジ、被せ物は一生使えるものではありませんが、その後の患者さんによるメンテナンスで長持ちさせることができます。毎日の歯磨きと定期健診を忘れないことが大切です。
納得のいくブリッジ治療を受けるために
歯の欠損の治療には、ブリッジの他に、インプラントや入れ歯があります。
また、ブリッジ治療を行う際、被せ物をする素材を幅広く選択することができます。
保険診療だけでなく、自費診療も含めて、自分に合った治療を選択することが重要です。
それぞれの治療法にはメリットとデメリットがあるので、治療法を決める前にデメリットも把握しておくことが必要です。