歯は、色の濃い飲食物によって着色汚れが付着してしまうことがあります。
また、加齢によって歯が徐々に黄ばんでいってしまうことも珍しいことではありません。
しかし、まだ若く、着色汚れの原因になるようなものを食べたり飲んだりしていないのに、歯が黄色い人もいます。
その場合、ホワイトニングで歯を白くできるのでしょうか?
生まれつき歯が黄色いのはなぜ?
歯は、エナメル質、象牙質、歯髄という3層に分かれています。
表面に見える白い部分がエナメル質で、その内側にある象牙質は名前の通り黄色と茶色の間のような象牙色をしています。
歯髄は、歯の血管や神経などが集まっている場所です。
虫歯の治療で神経を抜くというのは、この歯髄を除去するということです。
歯髄を除去することを、抜髄と言います。
日本人は欧米人と比較すると、エナメル質が薄い傾向にあります。
エナメル質が薄いと、その内側にある象牙質が透けて見えるようになってしまい、それが歯の黄ばみの原因となるのです。
エナメル質は、加齢によっても薄くなります。
それまで白く見えていた歯も、内側が透けて見えるようになって黄色く見えてしまうのです。
エナメル質が厚ければ、表面の着色汚れがない限り、歯は白いままでしょう。
また、歯は日常生活での着色汚れや象牙質の色が透けて見える以外に、服用した抗生物質などの薬の副作用や、遺伝によって変色してしまうことがあります。
歯が縞模様になったり灰色になったりするテトラサイクリン歯は、テトラサイクリン系の抗生物質の副作用です。
着色汚れによって歯が変色した場合は、その汚れを落とすことができれば歯の色は戻ります。
とはいえ、普通に歯磨きをしているだけでは落とすことができないので、歯科医院でクリーニングを受ける必要があるでしょう。
問題となるのは、遺伝によって変色している場合です。
肌の色と同じく、歯が黄色くなるのも生まれつきです。
特に、先天性異常のエナメル質形成不全症の場合は、黄色くなりやすいでしょう。
この病気は、歯が形成されるときに、何らかの要因があって正しく形成することができなかった場合に起こります。
歯を保護するエナメル質が不十分なので、歯が変色しやすくなってしまうのです。
変色の範囲は人によって異なり、全体的に色が変わってしまうこともあれば、一部だけ変わることもあります。
そのため、「歯の一部だけ色がおかしい」という場合も、遺伝を疑ってみてください。
ホワイトニングは効果がある?
先天性異常のエナメル質形成不全症のせいで歯が黄ばんでいたという場合、ホワイトニングでその歯を白くすることができるのでしょうか?
実は、問題なく白くすることができます。
ホワイトニングには歯科医院で施術を受けるオフィスホワイトニングと、自宅でマウスピースや薬剤を使用するホームホワイトニングがあります。
特に歯を白くする効果があるのは、オフィスホワイトニングの方です。
歯科医院では、歯に薬剤を塗布します。
これはホワイトニング剤と呼ばれるもので、主成分は過酸化水素という漂白剤にも使用されている成分です。
過酸化水素は、歯に塗布されて化学反応を起こし、汚れを分解して歯を漂白していきます。
ホームホワイトニングの場合は、主成分が過酸化尿素となるのですが、化学反応によって過酸化水素へと変わっていきます。
どちらも白くする力は強いのですが、先天性異常によってエナメル質が不足し、歯が黄色くなっている場合には、全てのケースに対応できるとは限りません。
ある程度白くすることはできても、満足がいくほど白くならない可能性もあります。
また、漂白の範囲にムラができてしまうこともあり、その場合は濃淡がはっきりと目立ってしまうでしょう。
しかし、エナメル質が不足して歯が黄色くなるというのは加齢の場合と同様なので、ホワイトニングである程度の効果を出すことができます。
そのため、基本的にはホワイトニングでいいと思いますが、それでも仕上がりに不満を覚える可能性があることに留意する必要があります。
歯を白くする方法というのは、何もホワイトニングだけではありません。
ホワイトニングでは白さに不満があるという場合には、別の方法も試してみましょう。
その方法として、ラミネートベニアやダイレクトボンディングなどが挙げられます。
ラミネートベニアは、歯の表面に薄いセラミック製のラミネートを装着するもので、場合によっては歯を削る必要もあるものの、ごくわずかだけで済みます。
長期間使用しても変色しにくいのが特徴で、審美性の高い治療方法です。
ダイレクトボンディングは、歯の表面の変色している部分を除去し、人工の詰めものをすることで歯を白くする方法です。
天然歯に近い色の詰めものを使用しますが、長期間使用していると変色することもあります。
ホワイトニング以外の対処方法
生まれつき黄色い歯を白くする方法は、ホワイトニング以外にもあります。
例えば、フッ素配合の歯磨き粉の使用により歯を白くするという方法です。
フッ素配合の歯磨き粉には、どのような効果があるのでしょうか?
フッ素の持つ働きとして、歯の表面についている傷の修復を促進する効果と、歯の内側の象牙質を強化する効果があります。
エナメル質が薄くなると歯が黄ばんで見えるため、修復を促進することで歯が白く見えるのです。
ホワイトニング用の歯磨き粉は、生まれつき黄色い歯に使うのは避けてください。
ホワイトニング用の歯磨き粉には研磨剤が含まれているものが多いです。
研磨剤はエナメル質を削ってしまうため、象牙質が黄色いせいで歯が黄ばんでいる場合は黄ばみが濃くなってしまうことがあります。
ホワイトニング以外に白くする方法としてほかに挙げられるのが、歯のマニキュアです。
歯のマニキュアを塗り、歯の表面を白くします。
すぐに白くなるので、時間をかけたくないという方にはおすすめです。
ホワイトニングでは効果がない黄ばみでも、白くすることができます。
さらに、歯の表面に薄いプラスチック樹脂を貼り付けて、歯を覆うことで白くするという方法もあります。
ラミネートベニアのように、セラミック素材を使うこともあり、自然な白さを再現可能です。
歯質は、食べ物の栄養素によって強化することも可能です。
エナメル質や象牙質が強化されれば、歯が白く見えるようになります。
なぜなら、エナメル質が強化されれば象牙質が透けにくくなるため、歯の本来の白さになるからです。
歯質を強化するために必要な栄養として挙げられるのが、ビタミンAです。
ビタミンAは、エナメル質を強化するために必要な栄養素で、ビタミンAが不足するとエナメル質形成不全症の原因になります。
ビタミンAは、ニンジンやホウレン草、ブロッコリー、カボチャなどの野菜やわかめなどの海藻に豊富に含まれています。
鳥や豚のレバー、卵黄、チーズなどを摂取するのも有効です。
歯の主成分であるカルシウムには、溶けたエナメル質を修復する働きがあります。
牛乳や乳製品などに豊富に含まれていますが、他に多く含まれるのが、小魚や小松菜、大豆、ヒジキなどの食品です。
カルシウムは、ビタミンDと一緒に摂取すると、吸収を助けてくれます。
ビタミンDは、サケやマグロ、サバなどの魚や、牛レバー、キノコ類、バターなどに含まれていて、日光浴をすると体内でも生成されます。
ビタミンCの働きの一つが、象牙質の強化です。
ビタミンCが不足すると歯がもろくなってしまいます。
ビタミンCが多く含まれている食品として、イチゴやブロッコリー、焼きのりなどがあります。
歯の黄ばみを抑える方法
生まれつき歯が黄ばんでいる場合、普段の生活によってはさらに黄ばみが濃くなることもあります。
黄ばみを抑えるには、どのような方法があるでしょうか?
まずは、黄ばみを抑えるためにも歯をしっかりと磨き、着色成分を除去しましょう。
歯は、喫煙や食事によっても黄ばんでしまいます。
コーヒーやカレー、赤ワインなどは歯を着色する成分が含まれる代表的な飲食物です。
歯に残ると色素が沈着します。
したがって、着色を防ぐには、コーヒーやカレー、赤ワインのように色が濃いものを飲食したら、すぐに歯磨きをすることが大切です。
口をすすぐだけでも、かなり色を落とせます。
また、歯に磨き残しがあって歯垢となった場合にも、歯が黄ばんで見えます。
歯磨きを丁寧にすることも重要ですが、他にも歯間ブラシなどを使用して隙間の汚れまでしっかりと落してください。
歯は、カルシウムやリンが溶け出す脱灰が起こっていますが、唾液に含まれる成分を吸収することにより、脱灰した歯は元に戻ります。
口内を乾燥させないためにも、食事の際はよく噛んで唾液の分泌を促進しましょう。
なぜなら、唾液が多ければ、エナメル質が修復されて黄ばみが改善されるからです。
また、舌を動かすトレーニングをして、唾液腺周辺の筋肉を鍛えることにより、唾液の分泌が促進されます。
定期的に歯科医院を受診して、歯の黄ばみや虫歯などを防ぎましょう。
定期検診では、歯に付いている汚れを落とすクリーニング以外に唾液の検査なども行います。
毎日きちんと歯を磨いているつもりでも、少なからず汚れは残っています。
汚れの中には着色汚れなどもあるため、歯に色がついてしまうでしょう。
磨き残しは歯垢となり、石灰化して歯石になると、歯磨きでは落とせません。
定期検診でクリーニングを受けると、歯垢や歯石を残さず除去し、着色汚れもしっかり落とせます。
特に、エナメル質形成不全症の場合、クリーニングは重要な役割を持ちます。
エナメル質が形成されていない状態では、虫歯になるリスクが高くなります。
特に、外側のエナメル質がないと、すぐに象牙質に感染してしまいます。
神経にもすぐ到達するため、歯垢や歯石は丁寧に除去する必要があるのです。
歯科医院で唾液検査を受けると、口内環境もわかります。
酸性度が高ければエナメル質が修復されにくくなり、歯が黄ばむ原因にもなるため、注意しなければなりません。
また、口内が酸性になった状態から中性に戻す働きが弱っていないかもわかります。
口内が酸性のままだと虫歯になる可能性が高くなります。
口内環境を把握することによって、虫歯や歯周病の予防が可能です。
まとめ
歯は加齢や着色汚れで色がついてしまうことが多いのですが、中には先天的に歯が黄色いという人もいます。
これは先天性異常のエナメル質形成不全症である可能性が高く、ホワイトニングを受けることでかなり歯を白くすることができます。
しかし、それだけでは白さに不満があるという場合は、別の方法も試してみることをおすすめします。
東京都品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。