口内に違和感や痛みがあり、歯科医院で診てもらったにもかかわらず特に異常がないといわれてしまうケースがあります。
明確な異常がないのに痛みや違和感があるときは、歯科の心身症という可能性があるため、専門の歯科医に診てもらう必要があるのです。
歯科の心身症とは何か、解説します。
歯科の心身症とは?
歯科医院で治療を行う虫歯や歯周病は、ウイルスや細菌など明確な原因があるため、治療では原因を排除したり抑制したりします。
しかし、中には痛みなどの明確な症状があるにもかかわらず、いくら検査をしても原因となるものが見つからないというケースがあるのです。
特に明確な痛みがないのに口内で痛みや違和感が生じることを、歯科の心身症といいます。
歯科の心身症が何か知らない人や、初めて聞いたという人も多いでしょう。
歯科心身症とは、心理社会的な要因が口の中の症状や不快感の原因となってしまう病気のことをいいます。
具体的には、検査をしても原因が見つからない口腔内の痛みや違和感が続く場合、歯科心身症が疑われるでしょう。
歯科心身症の主な症状としては、舌が痛くなる舌痛症や、原因がわからない歯の痛みである非定型歯痛、入れ歯を使用したときなどに違和感がある咬合異常感などがあります。
また、口内が乾燥するドライマウスや口の中に異常があるように感じる口腔異常感症、強い口臭があるように感じる口臭症、インプラント術後の不定愁訴も歯科心身症の一種です。
歯科心身症は何が原因になるのか?
歯科心身症になる原因として、心理的なストレスや過去の歯科治療の経験、性格傾向などが複雑に絡み合っていると考えられています。
大きく分けて2つの原因が考えられますが、どのようなものでしょうか?
まずは、治療や処方された薬、診断などに関する強い思い込みです。
思い込みによって間違った情報を関連づけてしまうケースがあります。
三叉神経から脳に信号が伝わる中で、異常信号が発せられて、違和感や疼痛などが生じてしまうことがあるでしょう。
思い込みによって痛みや違和感が生じている場合には、思い込みの間違いを明らかにするためにカウンセリングを受けなくてはいけません。
また、異常信号が原因の場合は、神経に障害が生じることで起こる疼痛という扱いになります。
この場合、薬物によって改善できる可能性があるのです。
疾患があっても、精神医学におけるうつ病とは多くの場合混同されず、区別されます。
うつ病がある場合には注意が必要です。
口内の症状もうつ病が原因であると思い、症状が悪化する仮面うつ病というケースがあるからです。
心理療法が必要な場合は別として、トリプタノールという抗うつ薬を投与するのが有効とされているケースもあります。
ちなみに、歯科でもこの薬は適応が認可されています。
うつ病の薬を歯科で処方されることに違和感があるという人もいるかもしれません。
この薬を投与することで、症状が改善されるケースも多いようです。
慢性疼痛の治療薬としては、抗うつ剤が一時的に有効であるといわれています。
ただし、抗うつ薬の投与には飲み合わせや副作用などがあるため、十分な注意が必要です。
また、大脳との関連づけによって発症しているケースの場合は、投薬のみで治すことは出来ない可能性もあります。
できれば専門家に診てもらいましょう。
治療はどのように行われるのか
歯科の心身病を治療する場合は、主に症状に合わせた薬剤を処方したり、カウンセリングを行ったりすることが中心になるでしょう。
通常の歯科治療では治りにくい歯や口の症状に対して、有効とされている薬剤を薬理作用に基づいて一人ひとりに適した処方を行います。
具体的には、鎮痛剤や軟膏、うがい薬など口内の治療に使われることが多いものはもちろん、神経痛の薬や抗うつ薬、安定剤、鎮痛剤、漢方薬なども幅広く使用するのです。
処方する分量は必要最小限を心がけ、できるだけ経済的な負担が少なくなるようコストパフォーマンスにも配慮します。
痛みの治療には、「必ずこの薬を使う」というような、単純な分け方はしません。
それぞれの症状に合わせた完全にオーダーメイドの治療を行うのです。
病状を詳しくヒアリングしながら、治療が難しい病気にどう取り組んでいくのか、どんな薬が有効か、などを一緒に考えていくことになります。
必要最小限の薬で最大限の効果を引き出すためにも、どのような病気なのかをしっかりと理解する必要があるのです。
また、症状の出方を探り、生活リズムをどうやって整えていくか考えたり、行動パターンなどを把握し、症状への対処法を練習したりすることも大切になります。
口内の心身症の治療には、認知行動療法(CBT)などの心理療法が有効という報告もあるため、簡易な心理療法の一部として用いることもあるのです。
しかし、より専門的な心理療法を希望する場合は、専門施設を紹介して治療を受けるよう案内することもあります。
とある大学で治療した成績では、実際に治療を行った患者のうち、約70%の方は症状の改善が得られているようです。
また、関連する医科各科の先生方と医歯連携を行いながら丁寧な治療を行うため、他に持病がある場合には、詳しく相談しながら歯科の問題解決を図っていきます。
薬は院内で処方される歯科医院であれば、わざわざ隣接したり少し離れたりするところにある院外薬局に移動する時間や労力が無くなるでしょう。
なお、院外とうまく連携できないケースもありますが、院内処方ならそのような不都合が生じにくいのがメリットです。
院内処方と薬局での処方では、料金にも特に大きな違いはないため、安心して依頼できるでしょう。
順調にいけば、1~2カ月ほどで半数以上に改善がみられます。
しかし、中にはなかなか薬剤の効果が合わなかったり、効き目が悪かったりと回復に時間がかかる方もいます。
置かれた状況や環境などの影響を受けるため、思うような経過がスムーズに得られないこともあるのです。
最初は1週間に1回のペースで通院すれば、きめ細かいケアが可能です。
調子が良くなってきたら、2週間に1回、月に1回というように、通院間隔をあけていきましょう。
ちなみに、再発・再燃の問題もあるため、症状が安定するまで最低でも6ヵ月くらいは時間を要する方が多い傾向があります。
「特定の薬を飲んでいれば改善されていく」という状態になるまでは、定期的に通う必要があります。
しかし、服薬だけで改善される状態になれば、近くにあるかかりつけの先生に処方をお願いすることも可能です。
通い続けるか通う必要がないかは、自分で判断せずにきちんと歯科医に相談したうえで、決定してください。
まとめ
歯科には、虫歯や歯周病の治療以外にも、心身病という、特定の症状がないのに治療が必要になるケースがあります。
この場合、虫歯や歯周病などとは違い、削ったり抜いたりするだけでは完治できません。
心身症は主に投薬で治療を行い、その際はうつ病の治療に使用するような薬剤を服用することが多いのです。
とはいえ、実際には症状に合わせた薬剤を使用することになるため、誰もが同じ薬剤を使用するというわけではないという点に留意してください。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。