子どもの歯がグラグラしている場合は、歯が生え変わるため成長を実感しますが、大人になってからも歯がグラグラしてしまうことがあります。
大人の歯がグラグラしている場合は、歯が失われる可能性があるため喜ばしい状態とはいえません。
大人の歯がグラグラするのは何が原因なのか、疑われる疾患について解説します。
目次
歯がグラグラするのは何故?
食事をすると歯がぐらつく、舌で触ると歯が動いている感じがするなど、大人の歯がグラグラする場合は、次のとおりいくつかの原因が考えられます。
歯周病が進行しているケース
歯周病菌によって歯の周りの組織が炎症を起こし、歯茎や歯を支える骨が壊されていく歯周病になると、歯がグラグラすることがあるでしょう。
不十分な歯磨きや生活習慣の乱れなどで細菌が増え、歯垢や歯石となって歯にこびりつくと、細菌が毒素を出して歯茎がダメージを受けます。
毒素が原因となって歯茎に炎症が起こるのが歯周病で、歯茎の腫れや出血、口臭などの症状が起こるのです。
さらに歯周病が進行すると、歯を支えている歯茎が下がり、歯槽骨が溶けて、歯がグラグラしてしまいます。
歯の根が損傷している
歯ぎしりや食いしばりなどの癖によって歯の根が損傷した場合も、歯がグラグラしてしまうことがあります。
歯ぎしりや食いしばりは無意識に行っていることが多く、その原因は正確にはわかっていません。
一説によれば、ストレスや嚙み合わせが関係しているといわれています。
人間が食べ物を噛む時の力は、自分の体重程度とされていますが、歯ぎしりや食いしばりをしている時は、自分の体重の5~10倍の力がかかるといわれているのです。
過度の負担が長期的に歯にかかり続けることで、歯の根が折れたり割れたりして、歯がぐらつく原因となってしまいます。
特に歯ぎしりや食いしばりは癖になっている方が多く、癖が治るまで歯に負担がかかり続けるため、早めに専門の治療を受ける必要があるでしょう。
膿が溜まっている
虫歯や外傷が原因で、歯の内部にある根管や歯の中の神経に細菌が感染し、歯の根の先端や歯の根の周りまで感染が広がることを、根尖性歯周炎といいます。
根尖性歯周炎は慢性と急性に分けられ、慢性の場合はほとんど痛みがないものの、歯がぐらつくような感じがしたり、噛んだ時に違和感を覚えたりします。
また、できものができて腫れたり、膿が出たりすることもありますが、強い痛みはほとんどありません。
一方、急性根尖性歯周炎の場合は激しい痛みを生じるのが特徴で、歯茎が大きく腫れたり、膿が出たりします。
根尖性歯周炎を長く放置していると、歯の根の先端に歯根嚢(のう)胞という袋のようなものができます。
歯根嚢胞は歯髄を除去した歯や歯髄が壊死した歯に起こりやすく、慢性状態では自覚症状がありません。
しかし、細菌感染が起こって症状が悪化すると嚢胞が大きくなり、痛みや歯の動揺などさまざまな症状があらわれます。
重篤な歯周病になって歯の根に膿が溜まったり、親知らずが正常に生えてこなかったりした時に起こる智歯周囲炎でも、歯がグラグラすることがあります。
被せ物や土台が劣化・脱落している
治療済みの歯に対して、歯の根の部分ではなく、歯の上の部分がグラグラすると感じる場合は、被せ物・土台の接着部分に問題が発生しているケースが考えられます。
一般的に歯の被せ物は、歯を削った土台に接着剤をつけて固定しているため、接着剤が劣化すると被せ物が取れかけて、歯がグラグラしていると感じることがあるのです。
また、歯の被せ物や土台自体が劣化していたり、破損していたりすることが原因になっているケースもあるでしょう。
妊娠により歯茎が腫れている
妊娠中は歯肉炎や歯周病になりやすいため、歯茎が腫れることで歯がぐらつくことがあります。
妊娠性歯肉炎などと呼ばれる症状で、妊娠に伴い、一部の歯周病菌の栄養源となる女性ホルモンの分泌が活発になることが原因です。
通常、妊娠による歯肉炎は、口の中を清潔にしていれば産後は自然と治ることが多いのですが、ケアをせずに放置してしまうと、歯周病に進行することがあります。
妊娠中の歯周病は、早産や低出生体重児のリスク因子にもなります。
おなかの赤ちゃんのためにも、早めの治療や適切な口内ケアをすることが重要です。
グラグラしている歯を治療する方法は?
歯がグラグラしてしまった場合は、どのように治療すればいいのか、原因別の治療方法を解説します。
歯周病の場合
歯茎から血が出る中等度の歯周病や、膿も出る重度の歯周病が原因で歯がグラグラする場合は、歯周病の治療が必要です。
治療は基本的に、歯科医院で行う歯のクリーニングと自宅でのセルフケアを中心とした歯周基本治療から始めます。
軽度の歯周病であれば、歯周基本治療で歯垢、歯石の除去やブラッシング指導を受けるだけで、症状が改善することがあります。
しかし、中等度から重度の歯周病の場合は、歯周基本治療だけでは十分な効果が得られないケースが少なくありません。
歯周基本治療だけでは症状が改善しない場合、歯周外科治療で歯石や歯垢を徹底的に除去したり、骨や歯茎を再生させたりすることになります。
歯周病は進行すると非常に治りにくく、最悪の場合歯が抜けてしまうこともあるため、早めに歯科医院を受診して治療することが大切です。
根尖部に膿が溜まっている場合
歯の根に膿が溜まってグラグラしている場合には、歯の頭の部分を削って根管を露出させ、細菌感染した部分を除去する根管治療が必要です。
根管内は複雑な形状をしているため、機械が届かない部分は薬剤を使って繰り返し洗浄を行い、可能な限り細菌を減らさなければなりません。
治療後は、詰め物をしてその上に土台をつくったら、被せ物を接着して削った穴をふさぎます。
根管治療をしても改善されない場合には、歯の根の先を切断する歯根端切除術を実施することもあるでしょう。
歯根短切除術は、感染した歯の根を切り取る治療で、根管治療ができなかった歯でも抜歯せずに残せます。
被せ物や土台が劣化・脱落している場合
被せ物や接着剤が劣化して、すき間ができたり、脱落したりしている場合には、材料を外して被せ直しや詰め直しを行うことになるでしょう。
きちんと歯に密着していない被せ物は、すき間から細菌が入り込みやすく、噛み合わせにも悪影響が出るため、歯科医院で早めに治療することが重要です。
歯周病が原因の場合の対処方法
歯がグラグラする歯周病の場合は、どのような点に注意する必要があるのかを解説します。
指や舌で触らないようにする
すでにぐらついている歯に触れて動かすと、患部が刺激されて痛みの元となったり、雑菌が入り込みやすくなったりする可能性があるでしょう。
歯が根元から折れてしまい、治療が難しくなってしまう場合もあるため、気になっても指や舌で触れないようにして、早めに歯科医院を受診してください。
市販の痛み止めを服用する
歯や歯茎に痛みや炎症がある時は、普段飲んでいるような痛み止めを飲んで様子をみましょう。
ただし、痛み止めはあくまで対症療法にすぎないため、痛みや炎症が繰り返し出るようなら早めに歯科医院を受診することが大切です。
保冷剤などで患部を冷やす
歯茎に炎症がある時は、布でくるんだ保冷剤や氷嚢、市販の冷却シートなどを使って頬の上から患部を冷やすと効果的です。
まとめ
歯がグラグラしている時は、歯に関する疾患など何らかの異常が起こっている可能性が高いでしょう。
悪化するおそれがあるため、指や舌で触らないように気をつけて、なるべく早く歯科医院を受診してください。
また、すぐに歯科医院に行けない時は、市販の痛み止めを飲んだり、患部を冷やしたりして痛みや炎症を和らげることも大切ですが、歯の異常は自分では治せないため、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。