歯が痛くなったときはまず虫歯を疑います。
しかし、歯に原因がなくても痛くなることがあるのをご存じでしょうか?
歯以外に原因がある歯痛を非歯原性歯痛といいます。
非歯原性歯痛にはさまざまな原因があり、帯状疱疹も歯の痛みの原因の1つです。
なぜ帯状疱疹で歯が痛くなることがあるのか、解説します。
帯状疱疹とは?
皮膚にブツブツとしたできものがいくつもできたときは、皮膚炎などを疑うでしょう。
皮膚にできものができる病気には色々とありますが、皮膚病の一種である帯状疱疹もその1つです。
帯状疱疹とは、水ぼうそうと同じウイルスによって引き起こされる、皮膚の病気です。
過去に水ぼうそうにかかったことがある人が、加齢や疲労、ストレスなどで免疫力が低下すると、体内に潜伏していたウイルスが再活性化して発症します。
体の左右どちらかの神経に沿って、痛みを伴う赤い発疹や水ぶくれが帯状に表れるのが特徴です。
原因となるのは水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)であり、初期症状としては皮膚の痛みやかゆみ、違和感などがあります。
進行してくると、ピリピリ、チクチク、ズキズキといった痛みが生じ、赤い発疹や水ぶくれが現れてくるのです。
主に体の左右どちらかに発疹などが生じますが、場所を問わず表れるのではなく神経に沿って帯状に表れます。
帯状疱疹は決して珍しい病気ではなく、今まで一度でも水ぼうそうにかかったことのある人であれば、誰でもかかる可能性がある病気です。
50歳代から発症率が高くなり、80歳までには3人に1人が発症するといわれています。
特に、免疫力が低下しているときは発症しやすくなるため、病後や疲労がたまっているときなど、身体が弱っている場合は注意しましょう。
帯状疱疹の治療方法としては、抗ウイルス薬と痛み止めの投与や服用が中心となるでしょう。
また、予防方法としては規則正しい生活を心がけ、適度に運動して日々のストレスを軽減するなど、生活習慣を見直す必要があります。
50歳以上の方は発症しやすくなるため、予防接種を受けるべきか検討してみることをおすすめします。
具体的な症状は人によって異なりますが、一般的にはまず神経痛が生じ、皮膚の痛みやかゆみ、違和感があり、神経痛でピリピリしたりズキズキしたりするでしょう。
初期症状では虫刺されや湿疹と間違われることもあり、痛みが生じた場合には、人によって数週間から数ヶ月続くこともあります。
神経痛が表れてから数日~1週間が経過すると、赤い発疹が表れて徐々に水ぶくれへと変化して、帯状に広がっていくでしょう。
水ぶくれは、破れてただれ、びらんになったりかさぶたになったりしますが、皮膚症状は通常3週間前後で治まります。
しかし、それで安心できるわけではありません。
皮膚症状が治まっても、帯状疱疹後神経痛となって痛みが残ることがあるからです。
なお、痛みの程度や期間は、人によって異なるでしょう。
帯状疱疹はウイルス性の病気であることから、他の人に感染しないか不安になるかもしれませんが、この病気そのものが人にうつることはありません。
しかし、原因である水痘・帯状疱疹ウイルスは、水ぼうそうにかかったことのない人に感染してしまう可能性があるでしょう。
早期に治療を開始することが重要であり、ウイルスを抑える効果がある抗ウイルス薬や神経痛を緩和する痛み止めを服用することになります。
また、患部を清潔に保ち安静にし、栄養バランスの取れた食事を摂ることも重要です。
特に免疫力が低下すると発症のリスクが高まるため、日頃から免疫力を高めるよう努めましょう。
規則正しい生活やバランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけることで、免疫力が高まるのです。
また、ストレスがたまると免疫力が低下してしまうため、ストレスを溜め込まないようにリラックスできる時間を作ってください。
帯状疱疹で歯が痛くなるのはなぜ?
帯状疱疹を発症した時に歯が痛くなることがあります。
原因となるのは顔面にある三叉神経への感染です。
三叉神経がウイルスに感染して帯状疱疹になると、重度の虫歯になったときのような痛みが複数の歯に前触れなく生じることがあります。
痛みは1週間以上続きます。
悪化すると歯の神経に感染した時のように激しい痛みが生じることもあるのです。
この場合、歯の神経が原因で痛くなっているわけではないため、虫歯の治療をするときのように抜髄を行って神経を除去しても改善されません。
痛みは同じ場所だけとは限らず、移動していくこともありますが、神経の端まで移動したり感染が広がったりした場合には、口内の粘膜に水泡が生じていることがあるでしょう。
また、治った場合でも神経痛が発生し、普段であれば気にならないような刺激でも歯が痛む原因となるため、食事や歯磨きがしづらくなります。
そうならないよう、早めに治療を受けることが大切です。
抗ウイルス薬の服用でウイルスの増殖を防ぐことができます。
帯状疱疹による歯痛の特徴
帯状疱疹によって歯に痛みが生じるのは、原因となるウイルスが三叉神経を刺激し、歯の神経に炎症が起こったように感じられることが原因です。
虫歯と似た痛みが生じるため、歯科医院に行こうと考えるかもしれません。
しかし、根本的な解決にはならないため、帯状疱疹によるものなのか、虫歯など歯に何らかの原因があるのかをある程度見極める必要があります。
すでに帯状疱疹が発生していれば、皮膚科や内科に行き、歯痛が発生していることを医師に伝えてください。
ただし、帯状疱疹によって起こる歯痛は、皮膚に水疱が表れる前や、水疱が治癒した後にも起こることがあります。
ウイルスが三叉神経を刺激することで、神経が刺激され、歯の神経に炎症が起こったように感じられるでしょう。
ズキズキ、チクチク、キリキリとした虫歯のような痛みであるため、帯状疱疹なのか、歯に原因があるのか判断しづらいのが特徴です。
また、ウイルスが神経に沿って移動するため、痛む場所が奥歯から前歯へと変わっていくこともあります。
既述したように、ウイルスが神経の末端に到達すると、痛みのみならず、口の中の粘膜に水疱が現れることもあります。
痛い歯が変わる、水疱ができるなどの症状が出た場合には、帯状疱疹の可能性を疑い、皮膚科や内科に行きましょう。
発疹もなく、歯が痛いだけの場合に、歯科医院に行っても何も異常がなければ、帯状疱疹の可能性を考慮し、やはり皮膚科や内科に行ってください。
帯状疱疹が治癒した後の痛みは、帯状疱疹後神経痛といいます。
帯状疱疹による歯痛は、非歯原性歯痛という歯に原因がないのに痛む状態の一種であるため、歯を治療しても意味はありません。
症状が歯の痛みだったとしても、皮膚科または内科を受診して帯状疱疹を治療する必要があります。
抗ウイルス薬を服用するタイミングが早いほど、症状の悪化を防ぐことができるため、早めに医療機関を受診しましょう。
もしも発疹がなく、ただ歯が痛いだけの場合には、まずは歯科医師に相談しましょう。
もしも虫歯など歯痛の原因と考えられるものがあれば、歯科医院で治療を受けてください。
治療が完了しても歯の痛みが治まらない場合には、皮膚科や内科に行く必要があります。
歯科医院で歯痛の原因を診てもらい、歯に何のトラブルも生じていないことが判明した場合も同様です。
まとめ
歯が痛くなったときは虫歯を疑いますが、帯状疱疹が原因で歯が痛くなることもあるため、身体に湿疹が出ているときは帯状疱疹を疑ってもいいでしょう。
帯状疱疹が原因の歯痛を非歯原性歯痛といい、歯以外が原因となって起こる歯痛に分類されます。
早期に治療して抗ウイルス薬などを服用することで悪化を防止できるため、帯状疱疹ができたときはなるべく早く治療を受けましょう。
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