歯並びが悪いことに悩んでいる人は多いのですが、その歯並びの状態は様々です。
その中の1つに、歯が2列に並んでしまう二重歯列というものがあります。
二重歯列は、どうして起こるのでしょうか？
また、その場合はどのように治療すればいいのでしょうか？
二重歯列の原因と、その治療法を解説します。
二重歯列の原因は？
歯並びが悪い状態になっている人の中には、歯が同じ場所に2つ生えていることがあります。
この状態を二重歯列と言い、例えば乳歯が生え変わる前に永久歯が生えたことで二重歯列になることもあります。
二重歯列は、口を閉じている状態では分かりません。
しかし、笑ったり食事をしたりして、口を開けることがあるとかなり目立ってしまいます
そのため、小さい頃にからかわれてコンプレックスになったという人も少なくないのです。
二重歯列になる原因としては、まず顎のサイズがあります。
顎が小さいと、歯が生えるスペースが足りずに重なるように生えてしまうことがあるのです。
日本人は外国人と比較して顎が小さいため、こういったことが起こりやすくなります。
また、顎の大きさは普通であっても、歯が大きすぎてスペースが足りなくなることもあります。
こういった場合は、二重歯列以外にデコボコ歯になってしまうこともあるのです。
乳歯が抜けて永久歯へと生え変わる時、乳歯が上手く抜けずに残っている状態で永久歯が生えてきてしまうこともあります。
そうなると、2つの歯が並んで生えて二重歯列になってしまいます。
本来なら永久歯が出来てくるに伴い、乳歯の根っこ部分が吸収されて乳歯が抜けるはずなのですが、それが上手くいかずに乳歯が残ってしまうのが原因です。
それとは別に、乳歯が虫歯になって早く抜けてしまった結果、先に他の歯が生えてスペースを塞いでしまったため、二重歯列になることもあります。
歯並びを悪くする原因としてよく言われているのが、指しゃぶりや爪噛みといった癖です。
指が歯に当たると、歯並びのバランスが崩れてしまいます。
そのせいで、二重歯列になることもあります。
最近の子どもは顎が小さくなっているので、二重歯列になるケースが増えていると言われています。
大人にも多いので、悩んでいる場合は歯科医に相談してみてください。
二重歯列は見た目の問題もありますが、磨きにくいため、虫歯になりやすいといったデメリットもあります。
噛み合わせも悪くなり、顎関節症になるリスクも高まるので、早めに対処しましょう。
二重歯列の治療方法
二重歯列を治療する方法としては、主に抜歯と矯正の2種類があります。
基本的には矯正治療をするのですが、どうしても無理な場合は、抜歯をして歯を並べるスペースを作ることになるでしょう。
抜歯をしてから、矯正治療をすることになります。
二重歯列を矯正で治す場合、金属ブラケット矯正が可能です。
それぞれの歯にブラケットを装着し、ワイヤーで繋げて正常な位置へと歯を移動させていくのです。
金属ブラケットを葉の裏側に装着する、リンガルブラケットという治療もあります。
矯正治療では全体を矯正することが多いのですが、一部だけを矯正する部分矯正という方法もあります。
その場合も、一般的には金属ブラケットを利用して行います。
ワイヤーを歯の裏側に装着するリンガルブラケット矯正は、かなり難易度が高くなります。
その代わり、外からは矯正装置が見えないというメリットもあるのです。
ただし、リンガルブラケットは慣れるまで、舌に当たりやすく滑舌が悪くなるなどのデメメリットもあります。
慣れてくると、あまり気にならないようです。
透明なマウスピースを作成し、歯を少しずつ動かしていくと言いう治療方法もあります。
その場合、自分の歯型を取ってそれに合わせたマウスピースを作成しなければならないのですが、見た目はほとんどわからないというメリットがあります。
中には、最初は金属ブラケットを使用して大まかな位置まで歯を移動させてから、マウスピースを使用して細かく調整するという方法もあります。
但し、他の歯の状態によってはマウスピース矯正ができないこともあるので、注意してください。
二重歯列は、無理なく治すことができるものです。
治療の方法もいくつかあるので、自分にはどの方法が向いているのかを歯科医に相談しましょう。
放置しておいたせいで、別の不具合が出ることがないよう、なるべく早く治療することをおすすめします。
二重歯列のデメリット
二重歯列は不正咬合の一種であり、歯並びが悪くなるだけではなく噛み合わせにも悪影響が出る可能性があります。
二重歯列には次のデメリットがあります。
食べ物を噛み切るのが困難になる
顎が疲れやすくなる
歯が欠けたりすり減ったりする
肩こりや頭痛に悩まされる
歯並びがさらに悪化する
虫歯や歯周病にかかりやすくなる
コンプレックスを抱くようになる
二重歯列は、食事の際に悪影響を及ぼします。
具体的には、食べ物を噛みきるのが難しくなります。
食べ物を噛む際は、上下の歯がしっかりと噛みあっていなければ力がうまく入りません。
噛み合わせにズレがあると、噛みきるために必要な食べ物を押さえつける力が弱くなるのです。
また、上下の歯を噛みあわせるためには、意識してズレを修正しなくてはならないため、顎が疲れやすくなります。
無理な力が加わるため、顎が痛くなることもあるでしょう。
二重歯列は噛む力が不均等にかかるため、一部の歯にかかる負担が大きくなることがあります。
無理な力が加わった歯は、欠けたりすり減ったりするリスクが高くなります。
さらに、二重歯列は噛む力がアンバランスになることから、体にも負担がかかり、肩こりや頭痛などが起こりやすくなるでしょう。
口の周囲だけではなく、全身に悪影響が及ぶ可能性があるのです。
二重歯列を放っておくと、歯並びの悪化を招く恐れがあり、注意が必要です。
歯にかかる負担のバランスが偏っていると、歯は徐々にズレてしまいます。
それだけでなく、上下の顎の位置や大きさなどのバランスが崩れてしまうこともあります。
二重歯列は歯が重なり合って生えているため、歯磨きが困難です。
前にある歯の裏側や、後ろにある歯の表側に歯ブラシが直接届かないため、汚れが残りやすくなります。
歯と歯の間に汚れがどんどんたまって虫歯や歯周病の原因菌が増加し、虫歯や歯周病にかかりやすくなるでしょう。
また、二重歯列の間が虫歯になった場合は、治療が困難です。
歯と歯の間に歯を削るタービンが届かない可能性があるため、虫歯になっている部分を除去できないケースが考えられます。
二重歯列は、コンプレックスを生む可能性があることもデメリットです。
口を開けた時に二重歯列であることが目立つケースがある一方で、正面を向いた状態ではなかなか気付かれないケースもあります。
しかし、後者の場合でも、口を開けた状態で上または下を向いた場合には目立ちます。
他の人に見られてコンプレックスに感じてしまう人もいるでしょう。
特に、人と向かい合って話をしていると、ふとした拍子に口内が見えてしまうことがあります。
最近ではマスクを外して歩く機会が増えたため、見た目に関してもいっそう気になるでしょう。
人前でも気にせず口を開けられるようにするためには、二重歯列を矯正しなければなりません。
二重歯列防止に有効な予防矯正
二重歯列になるのを防ぐためには、予防矯正が有効です。
通常、歯並びが悪くなってから矯正治療を行いますが、予防矯正は歯並びの悪化防止を目的に行います。
予防矯正では、専用のマウスピース装置を使用します。
マウスピースを装着してトレーニングを行うことで、不正咬合の原因となる口呼吸や低位舌を改善するのです。
また、姿勢が悪いといつの間にか口呼吸をしてしまうようになり、歯並びにも悪影響を与えます。
飲み込みが正しくできないと、舌の位置に影響を及ぼす可能性があるため、トレーニングによる改善が必要です。
歯並びを悪くしないためには、姿勢を正し、口呼吸をやめて低位舌の改善などを行い、顎が正しく発達するよう促す必要があります。
正しく顎を発達させて、きれいな歯並びにするのが予防矯正の目的です。
顎や歯列の成長に悪影響を与える悪い癖を取り除くことで、正しく成長するよう促すことができる点が、予防矯正のメリットです。
顎や歯列の成長は健康にも影響するため、将来の病気を防ぐことにもつながります。
また、抜歯をせずに歯列を正すことができることも、予防矯正のメリットです。
歯列矯正をする際は、歯と顎の大きさのバランスによっては抜歯をする必要があります。
しかし、予防矯正を受けるとバランスを整えられるため、抜歯の必要はありません。
予防矯正で歯並びを整えておくことで、虫歯や歯周病になるリスクを下げることができます。
歯並びが整っていれば、すみずみまで丁寧に歯を磨けるため、虫歯や歯周病の原因となる細菌も増えにくくなるのです。
一般的な歯列矯正を受けると、費用はかなり高額になります。
しかし、予防矯正の場合は正しい状態をキープすることが主となるため、歯列矯正と比べると費用は安く済みます。
舌の位置を正しくして、口腔周囲筋の正しい使い方も身につけられるのも、予防歯科のメリットです。
矯正治療と比べて痛みがあまりない点もメリットでしょう。
さらに、歯列矯正のように歯を正しい位置に動かすのではなく、正しい位置にある歯をキープするため、後戻りしにくいというメリットもあります。
歯を動かしているわけではないので、時間が経つにつれて元の位置に戻ろうとする後戻りが起こらないのです。
予防矯正は歯並び悪化の原因となる悪習慣から改善できる、重要な治療といえるでしょう。
二重歯列にならないよう、予防矯正を受けることをおすすめします。
まとめ
歯が2列に並んでしまう二重歯列は、見た目の問題があるのはもちろん、それ以外にも、歯と歯の間に食べかすなどが挟まることがある等のデメリットがあります。
このようなデメリットを早く解消できるよう、速やかに対処しましょう。
矯正や抜歯などの治療が必要となりますが、その内容は人によって異なります。
まずは、歯科医院でどうすれば治るのか、その方法には何があるのかを相談してみましょう。
東京都品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。