ブログ

自家歯牙移植とインプラントの違いを解説します

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

歯を失ってしまった時の治療として、自家歯牙移植という方法があります。
それ以外にもインプラントという治療があり、どちらも失われた歯の代わりになるものです。
自家歯牙移植とインプラントには、どのような違いがあるのでしょうか?
その違いについて、解説します。

自家歯牙移植がインプラントより優れている点

自家歯牙移植とインプラントは、両方とも歯が失われたところに別のものを埋め込んで歯の代わりにする治療です。
しかし、大きな違いがあります。

自家歯牙移植は、自分の親知らずや過剰歯等の不要な歯を抜いて、失われた歯の代わりに使用するというものです。
自分の歯なので、失った歯とあまり変わりなく使うことができます。

一方、インプラントは、歯が失われたところに人工歯根とも呼ばれるインプラント体を埋入し、その上にセラミックなどでできた上部構造といわれる被せものをつけます。
また、インプラント体と上部構造はアバットメントというパーツでつながれます。

インプラント治療は、ブリッジ治療や入れ歯などと比べてしっかりと噛むことができ、天然の歯に近い感覚で使うことができるため人気がある治療です。
しかし、いくら天然歯に近いとはいっても、本物にはかないません。

自家歯牙移植は、天然歯を移植する治療です。
そして、インプラント治療との大きな違いが、歯根膜の有無です。
歯根膜があることが、自家歯牙移植の最大のメリットです。

歯根膜とは、歯の根と歯を支えている骨との間にある薄い膜のことです。
物を噛むときは、この膜がクッションとなっているのです。
また、噛むときの感触を脳に伝える役割もあります。

歯根膜があることで、歯と歯槽骨はしっかりと結びついています。
また、噛んだときにわずかに動くことで、過剰な力が歯にかからないようにする役割もあるのです。

インプラントには、この歯根膜がありません。
したがって、歯の感覚は天然歯よりも乏しくなってしまいます。
そのせいで、強く噛み過ぎることもあるでしょう。

また、インプラント体にはチタン合金という生体親和性の高い金属を使用しているため、金属アレルギーの方でもアレルギー反応が生じることは少ないのですが、それでもゼロというわけではありません。

しかし、自家歯牙移植の場合は移植するのが自分の歯なので、拒絶反応等が起こる心配はなく、金属を使用しないため金属アレルギーの心配もありません。
滅多にアレルギー反応が起こらない金属でも反応したことがある、という人でも、安心して治療できるのです。

また、歯牙移植の場合、条件を満たした場合に保険診療となるため治療費がかなり安くなります。
条件は、親知らずを移植することと、治療を開始する時点でサイズが合っていることです。

自家歯牙移植よりインプラントの方が優れている点は?

自家歯牙移植はインプラントよりも優れている点が多いのですが、反対にインプラントの方が優れている点もあります。
それは、どのような点でしょうか?

まず、自家歯牙移植のデメリットとして、親知らずのような、移植しても問題がない歯がなければ治療ができない、という点が挙げられます。
親知らずは、誰にでも生えているわけではないのです。

特に、近年は若い世代において、親知らずが生まれつき生えない人が増えています。
昔と比べて現代は堅いものを食べることが少なくなり、退化しているのが原因と言われています。

インプラントの場合、人工歯根と上部構造は人工物なので、移植とは違い自分の歯がなくても問題はありません。
親知らずがなくても、歯の代わりにすることができるのです。

また、インプラント治療は技術的に難しいのですが、自家歯牙移植は難しいうえにできる条件が限られています。
また、インプラントのほうが治療できる歯科医院が多いというメリットもあります。
専門医もいるので、技術的に優れていることを求めるのであれば専門の歯科医院で治療を受けましょう。

また、自家歯牙移植は高齢になると、治療の成功率が下がります。
歯根膜をつけたまま歯を移植して、歯根膜が歯周組織を再生させて歯槽骨と結合する必要があるのですが、高齢になるとそれが困難となるからです。

インプラントの場合、高齢になってからでも治療には問題がありません。
歯槽骨にインプラント体を埋入するため、十分な骨の量があれば問題はないのです。
そのため、高齢になってから失われた歯を補いたい場合は、インプラント治療のほうがおすすめです。

自家歯牙移植とインプラントの生存率を比較した場合、インプラントの方が若干高いというのもメリットです。
5年生存率は自家歯牙移植が90%、インプラントが95%と高く、10年、15年と長くなるにつれて差は広がっていきます。

まとめ

歯を失った時の治療としてインプラント治療は人気がありますが、親知らずなどがあって歯の形が合う場合は、自家歯牙移植という治療が可能となります。
インプラント治療と自家歯牙移植はそれぞれ特徴があり、両方とも優れている点があるのです。
また、デメリットもそれぞれあるため、どちらの治療も可能な場合はメリットとデメリットを比較して、慎重に決定しましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。