口内には、頬や唇、舌などさまざまな粘膜があります。
粘膜上には口内炎ができることがありますが、他にも口腔内腫瘍という腫瘍ができることもあります。
口腔内腫瘍とはどのような症状なのでしょうか?
口腔内腫瘍の主な症状等について、解説します。
口腔内腫瘍とは?
ストレスや栄養不足による免疫力低下や、頬や舌などを誤って噛んでしまった等の物理的刺激により、口腔内の粘膜に口内炎ができることは珍しくありません。
できた場合には飲み物や食べ物が染みて痛むため、中には市販薬を塗るなどして治療する人もいるでしょう。
口内の粘膜にできるのは口内炎だけではなく、腫瘍もあります。
腫瘍といえば悪性腫瘍、いわゆるがんが最初に思い浮かぶ人も多いでしょう。
しかし、腫瘍にはあまり害がない、良性の腫瘍もあります。
良性の腫瘍には、歯原性腫瘍と呼ばれるエナメル質上皮腫、角化蓑、胞性歯原性腫瘍、セメント芽細胞腫などと、非歯原性腫瘍と呼ばれる血管腫、繊維腫、多形腺腫、乳頭腫、リンパ腺腫などがあります。
良性腫瘍は、基本的に害がありません。
しかし、放置していると徐々に増大してしまい、周囲組織を圧迫してしまうため、摘出手術が必要になることもあるので注意が必要です。
悪性腫瘍は、口内にできるものは全て口腔がんと呼ばれます。
できる腫瘍には上皮性の癌腫と、癌腫以外の総称である肉腫があります。
口腔内に肉腫ができるケースは非常に少なく、90%は癌腫です。
総称として口腔がんといいますが、腫瘍ができる場所によって口唇がんや口底がん、頬粘膜がん、硬口蓋がん、舌がん、歯肉がんなどに分かれています。
中でも発生頻度が特に高いのは、全体の40%ほどを占める舌がんです。
口腔がんにはさまざまな種類がありますが、良性の腫瘍と比べて進行が早く、腫瘍も大きくなりやすいことが共通点です。
また、腫瘍の周囲は固くなり、周囲と癒着して違いが分かりにくくなるだけでなく、他の部位に転移することもあります。
口腔内腫瘍は、喫煙や飲酒の習慣があると発症の可能性が高まります。
義歯があっていない、あるいは虫歯があって口腔内を慢性的に刺激している場合も原因になるため注意が必要です。
口腔粘膜疾患の1つである白板症は、正常な粘膜よりもがんになりやすい前がん病変であるため、これからがんに進行したと考えられる症状もあります。
発生しやすい年代は、50代以上が中心です。
口腔内腫瘍の主な症状
口腔内腫瘍にはいくつかの種類があります。
中でも硬口蓋と上顎歯肉に発生しやすい悪性黒色腫はさまざまな形や大きさがあり、着色もそれほどはっきりとしないことがあります。
リンパ行性や血行性の転移が多く、予後も悪くなることが多いのが特徴です。
舌下面に、母斑というほくろができることもあります。
悪性黒色腫とは違い治療の必要はありませんが、悪性黒色腫ではないことを専門医に確認してもらいましょう。
粘膜化の腫瘍という、粘膜の色は変わらないものの粘膜下で脂肪組織の黄色が浸透している状態もあります。
治療する際は、外科的に腫瘍を切除しなければなりません。
また、唾液腺にできる唾液腺腫瘍というものもあります。
発生する場所が限られているものもありますが、必ずしも決まった場所にだけ発生するというわけではなく、中には悪性のものもあるので注意しましょう。
下顎の顎堤というところで骨が隆起している下顎隆起は、腫瘍と同様に扱われます。
義歯を製作する際に邪魔になる場合には、切除しなければなりません。
帯状疱疹で水膨れのような腫れができることもありますが。場合によってはほほの粘膜に血腫ができることもあります。
この場合、積極的に治療する必要はなく、中に溜まった血液を排出すれば治るでしょう。
舌下面に白尾特機が集合している状態は、乳頭腫と呼ばれるものです。
病変として小さければ切除し、悪性病変ではないか検査して確認しておくと安心できるでしょう。
口の中に赤みを持った腫瘤がある場合は、口腔がんの可能性があります。
白と赤のまだらになっていて、表面がざらざらとしているもので、手術や抗がん剤、放射線治療などを行って除去します。
リンパ系組織から発生する腫瘍の一つが、悪性リンパ腫です。
リンパ節で発生したものは節性、他の場所で発生したものは節外性と区別し、歯肉や上顎洞、顎骨によくみられる腫瘍です。
以上のとおり、口腔内にできる腫瘍にはさまざまなものがあります。
良性のものは大きくならない限り放置していても問題ありませんが、悪性のものはできるだけ早く切除した方がいいため、気になる腫瘍を見つけた時は専門家に診察してもらいましょう。
まとめ
口腔内腫瘍は口にできる腫瘍であり、できる場所によっていくつかの種類に分けられていて、総称として口腔内腫瘍と呼ばれています。
症状はさまざまであり、悪性腫瘍であれば病状の進行が早く、転移することも多いため早急な治療が必要です。
口の中や唇に腫瘍やしこりができた場合は、なるべく早く歯科医院で検査を受けることをおすすめします。
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