虫歯になった歯を治療する際は、一般的に歯を削ります。
しかし、歯は削ると元には戻らないため、なるべく削る量を少なくすることが望ましいのです。
極限まで歯を削らない虫歯の治療方法として、「MI治療」があります。
MI治療がどのような治療方法なのか、解説します。
MI治療とは？
虫歯の治療をする際は、虫歯菌に感染している部分を削ることで、感染箇所が広がらないようにします。
削った歯は二度と元には戻らず、歯がもろくなって寿命も短くなるため、できれば削らないほうが望ましいでしょう。
歯の健康寿命を延ばすために、国際歯科連盟FDIでは、Minimal Intervention（最小限の侵襲）という新たな概念を提唱しました。
MI治療と呼ばれ、歯をなるべく削らず、なるべく抜かず、抜歯する必要がある場合もなるべく歯を守るという治療方法です。
従来の治療は、基本的に虫歯や虫歯周辺の歯質を取り除くという方法で治療していました。
虫歯に感染したエナメル質や象牙質を削り、虫歯が深くまで感染していれば神経を除去して虫歯を防いでいました。
基本的に削って虫歯の感染部分を除去するという治療であったため、歯が削られてしまうのは仕方がないことだったのです。
しかし、治療方法が進化したことで、削る量を極限まで減らすことが可能になりました。
MI治療ができるようになったのは、カリオロジー（虫歯学）が進歩したことと、材料が進化したためです。
特に、詰めものとしてコンポジットレジンが進化したことが大きな要因といえます。
従来のコンポジットレジンは、虫歯の治療でできた穴に詰めた場合でも、接着力や強度があまり強くなかったため、短期間で外れたり壊れたりすることが多く、金属の方が使用されるケースが多かったのです。
ただし、金属製の詰めものや被せものは、虫歯だけではなく周囲の歯も削って形を整える必要があります。
虫歯に感染していなくても、装着する際に邪魔になる部分を余分に削っていたのです。
この問題を解決したのが、コンポジットレジンの進化による接着性の向上です。
歯質にしっかりと接着することで、簡単にははずれないようになりました。
コンポジットレジンは、余分に歯を削らなくても装着できるのが特徴です。
また、MI治療では虫歯を治療する際に削るばかりではなく、初期虫歯の脱灰を抑えて再石灰化を促すことで、自然と治癒されることを重視しています。
再石灰化を促すために、正しいブラッシング方法を指導したり、歯科医でフッ素塗布をしたり、再石灰化を促進するガムを発明したりしているのです。
MI治療の治療方法
高倍率のマイクロスコープが発明されたことも、MI治療が可能となった要因の１つです。
患部を大きく拡大して見ることで、虫歯に感染している部分と感染していない部分の境界を詳細に判断できるようになったのです。
虫歯に感染している部分が残っていると、せっかく感染している部分を除去して治療しても、削った部分の周囲は再び虫歯に感染してしまい、治療を繰り返すことになります。
従来の治療では、虫歯の再発を防ぐため、虫歯に感染している箇所の周囲も大きく削っていました。
しかし、あまりに大きく削ってしまうと、治療しても歯の寿命が短くなってしまいます。
MI治療では、マイクロスコープで拡大することによって、感染している部分をしっかりと見分けて、最小限の範囲だけ削って治療します。
削る範囲が少なければ、歯の寿命も最小限しか短くならないので、長く保てるでしょう。
また、MI治療の一環として唾液検査を勧められることもあります。
唾液検査とは、唾液を採取して分析することで、口内の虫歯の原因菌の数や口内の健康状況などを調べる検査です。
口内の状況を確認しておくことで、現在虫歯になりかかっている歯がないか、また、将来虫歯にかかりやすいのかといったことがわかります。
また、小さい子どもがいる場合には、子どもと食器を共有することで、子どもに虫歯の原因菌を感染させてしまう可能性があるか、なども確認できます。
生まれたばかりの子どもの口の中には、虫歯の原因菌はいません。
しかし、虫歯の原因菌を持つ親と食器を共有することで、唾液を介して感染してしまいます。
食べ物をあげるときに、自分の箸で直接あげるのは避けた方がいいでしょう。
まとめ
虫歯を治療する際は感染している部分を削る必要がありますが、歯を大きく削ると歯の寿命は短くなり、将来的な抜歯のリスクも高まります。
マイクロスコープや拡大ルーペなどを使用して虫歯の感染箇所を細かく見分けるMI治療であれば、歯を削る範囲も極限まで小さくでき、歯の寿命も守れます。
一度削った歯は、元には戻りません。
なるべく長く歯を保つためにも、虫歯の治療はMI治療を行いましょう。
東京都品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。