親知らずが生えてくると、様々なトラブルが発生しやすくなります。
実は、親知らずは他の歯のように誰にでも生えるわけではなく、全く生えない人もいます。
親知らずとは、いったいどのような歯なのでしょうか?
また、生えてきた場合は抜いたほうがいいのか、抜かなくてもいいのかどう判断するべきでしょうか。
今回は親知らずについて解説します。
親知らずとは?
親知らずとは、奥歯とも呼ばれる大臼歯のさらに後ろの位置に生えてくる歯のことを指し、第三大臼歯や智歯とも呼ばれます。
最も先端にある歯から数えて8番目にあたる歯です。
通常、永久歯は15歳前後に生えそろいますが、親知らずはさらにあとになってから生えてきます。
20歳前後で、親が知らないうちに生えてくることが多いため、親知らずと呼ばれているというのが通説です。
親知らずは、最大で上顎と下顎それぞれの左右に1本ずつ、4本生えてきます。
しかし、4本とも生えるとは限らず、一部にだけ生えてくる人や、全く生えてこないという人もいます。
生えるかどうかには個人差があり、生えるだけのスペースがないために埋伏しているというケースもあるのです。
親知らずが生えてこない先天性欠損や埋伏については、人類の進化に伴う変化とも言われています。
しかし、実際にはクロマニヨン人の頃から生えてこない人はいて、弥生時代にはすでに珍しくない現象だったようです。
つまり、親知らずが生えてこない人は、近代になってから大幅に増えたわけではないということがいえます。
先天性欠損とはいうものの、実際には太古の昔から一部が生えてこない、あるいは全く生えてこない人も珍しくはなかったのです。
親知らずは抜かなければいけない?
親知らずの生え方はさまざまで、まっすぐ生えてくることはむしろ珍しいといえます。
斜めに生えることも多く、他の歯の邪魔になることもあるため、基本的に不要な親知らずは抜いてしまった方がいい、と考える人もいるでしょう。
しかし、親知らずが生えたからといって、必ずしも抜かなくてはならないというわけではありません。
親知らずを残しておくことで、役立つケースもあるのです。
親知らずの抜歯に困難が伴うことは珍しくありません。
また、抜歯をした後で腫れや痛みなど不快な症状が出ることもあり、リスクも少なからずあります。
他の永久歯と同様に、親知らずを一度抜くともう生えてくることはありません。
本当に抜いてもいいのか、歯科医師とメリットやデメリットを踏まえたうえで相談し、どうするのか決めましょう。
親知らずを抜いたほうがいいケースとして、いくつかの特徴が挙げられます。
当てはまる場合は、抜いた方がいいでしょう。
抜いた方がいいケースとは、どのようなケースでしょうか?
まず挙げられるのが、親知らずそのものや手前の歯が虫歯になったケースです。
親知らずは歯列の一番奥に生えているため、虫歯になっても治療が難しく、治療後のケアも困難です。
仮に治療をしても、再び虫歯になってしまう可能性が高いでしょう。
したがって、親知らずが虫歯になってしまった時は治療するのではなく、抜歯した方がいいのです。
手前の第二大臼歯が虫歯になった場合も、治療しやすいように親知らずを抜くケースが多いでしょう。
虫歯になったまま長期間放置すると、第二大臼歯の虫歯が悪化して抜歯しなくてはならない状態になるかもしれません。
親知らずが横向きに生え、前方の歯の邪魔になっている場合も抜歯が必要です。
横向きに埋まった親知らずは智歯周囲炎をおこしたり、第二大臼歯の歯の根を溶かしつつ侵食して吸収してしまったりすることがあるため、抜歯した方がいいでしょう。
ただし、注意が必要なのが、第二大臼歯の吸収が進んでしまった場合です。
第二大臼歯の根を大きく吸収していると、長期的な維持が困難になります。
このようなケースで親知らずを抜いた場合は、将来的に第二大臼歯が失われて奥歯のかみ合わせが悪くなる可能性が高く、入れ歯やインプラントなどの治療が必要になってしまうでしょう。
予測して準備しておくことができれば、部分矯正で対応できるケースもあります。
親知らずを抜く必要がないケースは?
親知らずがまっすぐ生えて機能しているケースや、手前の第一、第二大臼歯が抜けてしまい失われた際のブリッジや入れ歯の土台にするケースなどでは、親知らず必要となるため、無理に抜歯する必要はありません。
他にも、抜かなくてもいいケースはいくつかあります。
例えば、親知らずがきちんと上を向いて生えていて、上下で揃っていて噛みあっている状態であれば、無理に抜く必要はありません。
ただし、まっすぐ生えていても上下どちらかしかない場合には、反対側の歯茎を傷つけてしまう可能性があるため、抜歯する必要があります。
なぜなら、傷つけられた歯肉が炎症を起こす可能性があるからです。
親知らずが萌出せずに歯槽骨の中に埋まっているケースでも、抜く必要はありません。
わずかでも出ていたり、歯茎の中にあって歯肉を押し上げたりしているケースでは、歯肉にダメージを与えることもあります。
しかし、歯槽骨に埋まっている場合には、周囲にある歯や骨などに特段の悪影響を与えることはないため、放っておいても問題ありません。
ただし、痛みや腫れなどが起こっている場合には、埋没したままの親知らずが原因かどうか確認するために、診察を受ける必要があります。
もしも原因になっている場合には、抜歯しなければなりません。
また、親知らずは条件が合致すれば、他の歯の代用として移植可能なケースもあります。
例えば、手前の大臼歯を抜歯する必要がある場合に、親知らずを移植できるケースもあるのです。
親知らずを移植する治療を自家歯牙移植といい、移植できるかどうかは移植する箇所と親知らずの形状やサイズがあっているかどうかで判断されます。
親知らずが前歯のような形状をしていれば、奥歯への移植はできません。
矯正治療によって親知らずを正しい位置に移動できるケースでも、抜歯は不要です。
生える方向が悪いと他の歯に悪影響を及ぼすこともありますが、正しい位置に動かすことによって、影響を与えることはなくなるでしょう。
親知らずが通常よりも前に生えて第二大臼歯に接触し、生える場所が十分にない場合などでも、抜歯が不要なケースがあります。
親知らずの移動によって反対側の親知らずと噛みあうようになるの場合には、矯正治療で移動させて抜歯を回避できます。
ただし、矯正治療はどのようなケースでも可能というわけではありません。
親知らずを動かすのは特に難しく、矯正装置が届かないなどの問題があると動かすことはできないでしょう。
また、噛みあう歯がなければ、動かしても結局抜歯することになるかもしれません。
移動により抜歯の必要がなくなるかどうか歯科医師ともよく相談してください。
そのうえで、矯正治療をするかどうか決定しましょう。
まとめ
親知らずは、歯列の最奥に生えてくる歯で、智歯とも呼ばれます。
人によっては親知らずが生えてこないこともあります。
生えてこないケースは珍しくはなく、実は弥生時代からあることなので、特に気にする必要はありません。
また、「親知らずが生えてきたら、必ず抜歯をしなければならない」と考える人もいるでしょう。
しかし、親知らずは生え方によっては抜歯が不要で、歯が抜けた時に代わりの歯として活用できるケースもあります。
東京都品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。