歯の神経は、歯の最も内側である歯髄の中にあります。
虫歯が進行して歯髄まで感染すると、歯髄を除去する抜髄を行って神経を除去する必要がありますが、近年は神経を除去せずに保存する治療も増えています。
神経を保存する治療のメリットとして、どのような点が挙げられるのでしょうか?
神経を保存する治療について、解説します。
神経を保存するメリット
歯は、外側からエナメル質、象牙質、歯髄という3層の構造になっています。
虫歯になった時に最初に溶けるのが、最外にあるエナメル質です。
放置していると、徐々に内側の象牙質、さらに歯髄へと感染していきます。
歯髄には、歯の神経繊維や血管などが集まっています。
虫歯の治療で神経を抜くというのは、歯髄を除去する抜髄のことです。
歯髄の除去や内部の消毒、清掃などの治療を、根管治療といいます。
根管治療は、全体的に難しい治療です。
歯髄は歯の奥にありライトで照らしても見えづらいため、抜髄や歯髄内部の消毒等を行うには、十分な経験と知識が必要となります。
虫歯の治療では、虫歯に感染しているところを削り取るのが一般的です。
しかし、根管治療の場合は、内部が見えやすいように治療箇所の周囲も削らなくてはならないケースもあるため、虫歯が少しでも残っていると、再発のリスクが高くなってしまうでしょう。
虫歯の神経を除去しないまま治療する場合は、内部が見えやすいように治療箇所の周囲を余分に削る必要がなくなります。
歯を削ると歯の寿命が短くなるため、削る量は最小限にした方がいいのです。
また、削る量が多くなると、歯の強度も下がってしまいます。
食事の際に強く噛んだ時、歯が砕ける可能性も高くなるため、歯の健康を守るためにも神経はできるだけ抜かない方がいいのです。
また、歯髄の中にある血管を通じて歯に栄養が与えられていますが、抜髄をすると神経とともに血管も除去されてしまうため、歯に栄養が届かなくなります。
栄養を受け取ることができない歯は、徐々に中身が失われて弱くなってしまうでしょう。
抜髄せず神経を保存する治療を行うことにより、歯に栄養がきちんと届くため、歯の短命化が避けられます。
根管治療によって、前歯は約2倍、奥歯は7倍以上も失われる可能性が高くなるので、歯を大事にするためにも神経は除去しない方がいいのです。
神経を残す治療方法とは?
神経を保存する治療とは、神経を全く除去せずに治療する方法というわけではありません。
感染している部分は残しておくことができませんが、まだ健康な神経がある場合は、感染している部分だけを除去して、健康な部分を残すという治療を行うのです。
神経を除去せずに治療する方法を、歯髄保存療法といいます。
歯髄保存療法を進める際に、最初に行うのがカウンセリングです。
そこで、治療に対しての悩み、不安、相談したいことなどがないかを確認して、治療の計画などを立てていきます。
歯の内部は、外から見てもはっきりわからないため、治療箇所を特定するのが困難です。
診断する際は、歯科用CTなどを使用して内部まではっきりと見えるように拡大し、治療する箇所を明確にさせます。
治療する内容が明らかになったら、治療計画を立てて治療期間や費用などを提示し、患者に対し、治療を始めるかどうか意思確認をします。
患者の同意を得ることができたら、治療開始です。
治療の際は、治療箇所をマイクロスコープで拡大し、細かいところまで見ながら処置していきます。
ラバーダムを使用し、患部には唾液が入り込まないよう細心の注意を払わなければなりません。
治療を終えたら、MTAセメントで治療箇所をふさぎ、クラウンやインレーなどの補綴物を装着したら、治療は完了です。
きちんとふさぐことで、二次う蝕を防止するのです。
なお、治療を終えたら完了というわけではなく、何度か健診に通わなければなりません。
補綴物に問題はないか、口内環境が清潔に保たれているかをチェックして、異常があった時はすぐに治療をやり直します。
神経を保存する治療は、虫歯の進行が浅いほど成功率が高くなります。
あまり深くまで進行していると、治療しても神経を残せないケースもあるので、なるべく早く治療を受けることをおすすめします。
また、保険適用外の治療であるため、一般的な治療と比べて治療費が高額になる点に留意してください。
歯は一度失われると再生されないため、歯をなるべく長く保つという観点から可能な限り治療をおすすめします。
まとめ
虫歯になった時、歯の神経まで感染が進んでいる場合には、一般的に神経がある歯髄を除去する抜髄を行います。
しかし、抜髄した歯は栄養が届かなくなるため、寿命が短くなってしまいます。
できれば神経を抜かない治療をするのが望ましいでしょう。
神経を抜かずに虫歯の治療をする場合は、感染している神経を除去して健康な神経は残すこととなるため、かなり高度な技術が必要となります。
可能な場合は、できる限り神経を残した方がいいでしょう。
東京都品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
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