歯科における主な治療は、虫歯と歯周病です。
虫歯と歯周病は種類こそ異なるものの同じように細菌が原因となる病気となります。
したがって、治療に当たり重要となるのが殺菌です。
歯科治療の殺菌方法の中には、光殺菌治療という方法がありますが、具体的にはどのような治療でしょうか?
光殺菌治療(PDT)について、解説します。
光殺菌治療(PDT)とは?
従来のがん治療の方法の1つに、光線力学療法(PDT)というものがあります。
光線力学療法は、早期がんの治療に用いられる治療方法で、特定の波長の光に反応する薬剤を注入することでがんを治療します。
光感受性物質の薬剤を注入して、がんとなっている生体組織を標的として薬剤を集積させたら、特定の波長の光を照射するのです。
光を浴びた薬剤は活性化して、活性酸素を生成してがん細胞や細菌などを破壊します。
がんの治療には抗生物質を使用することが多いのですが、強い抗生物質には副作用があるため、使用する頻度が高いと健康を害する危険性があります。
しかし、光線力学療法には副作用はありません。
そのため、安全性の高い治療方法として注目されています。
光殺菌治療は光線力学療法と同様のメカニズムですが、細胞の破壊ではなく殺菌に特化している点が特徴です。
光殺菌治療は、LAD(Light Activated Disinfection)とも呼ばれ、歯周病や根管治療、インプラント歯周炎などの治療に使用されています。
歯周病は、25歳以上の人のうちおよそ8割が、生涯に一度はかかる病気です。
歯周病になると、歯茎や歯を支える骨などの歯周組織にダメージが与えられ、歯が抜けてしまう原因となります。
歯周病の原因となるのは、口内にいる歯周病菌といわれる細菌です。
歯周病菌が増えてしまうと、歯周病を発症します。
歯周病を治療するには、殺菌して歯周病菌を減らさなくてはいけません。
日本における歯科疾患への光殺菌治療は、現在のところエビデンスが確立されていないため、未承認となっています。
しかし、アメリカやカナダ、ヨーロッパ諸国等の当該省庁は、歯肉炎・歯周炎、歯内病変、インプラント周囲炎に対する抗菌的光線力学療法を認めています。
光殺菌治療(PDT)の特徴
光殺菌治療は従来の殺菌とは異なり、ピンポイントに光を照射して殺菌しますが、どのような特徴があるのでしょうか?
主な特徴について解説します。
まず、挙げられるのが、光殺菌治療には痛みがないという特徴です。
歯科医院の治療にはさまざまなものがあり、歯を削ったり歯石をはがしたりする治療もあるため、少なからず痛みを伴います。
その点、光殺菌治療は、何かを削ったりはがしたりすることはないため、痛みは全くありません。
歯医者に通うのを嫌がる人の中には、治療の痛みに恐怖心を抱いている人もいますが、光殺菌治療については痛みがないため安心して治療を受けることができるでしょう。
また、光殺菌治療には副作用の心配がありません。
光殺菌治療で使用する薬剤は、リボフラビンやビタミンB2などを主成分とした、無害で副作用のないものです。
どちらの成分も、サプリメントとして薬局などで購入できます。
また、日本人の食事摂取基準にもビタミンB2が掲載されているなど、厚生労働省でも摂取を推奨しているのです。
安全性が高い成分なので、光殺菌治療におけるほとんどの治療に適用できます。
全身疾患がある場合でも、問題ないでしょう。
ただし、光線過敏症の方は治療を受けることができません。
また、薬品を使用して殺菌した場合、細菌の中から殺菌に抵抗する耐性菌が生じることがあります。
光殺菌治療の場合は、薬剤を使用しないため耐性菌が生まれることもありません。
光殺菌治療では光感受性物質という薬剤を使用するのですが、光感受性物質はどのような細菌の細胞膜や細胞壁にも浸透します。
どんな細菌にも効果があるので、耐性菌に対しても殺菌効果があるのです。
また、光殺菌治療には、殺菌効果が長く続くという特徴もあります。
活性酸素が生み出されることで、細菌を直接破壊して殺菌しますが、さらに生体が持つ本来の免疫力も引き出されます。
本来持っている免疫力は白血球走化性といわれ、引き出されることで殺菌効果も長く持続するのです。
殺菌効果が長く持続すると、虫歯や歯周病の予防にもなります。
まとめ
光殺菌治療は、医療現場で早期がんの治療として行われる、光線力学療法を歯科に転用したもので、光感受性物質という薬剤を使用して細菌を集め、特定の波長を集まった部分に照射して殺菌します。
細胞を破壊するのではなく殺菌に特化しているのが特徴で、薬剤も安全な成分であるため、光線過敏症の方以外は安心して治療を受けることができるのです。
耐性菌にも効果があり、人体の免疫力も高めることができます。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。
五反田駅前歯医者では、歯科治療に関する知識補完を目的として執筆しています。
従って、扱っていない治療にも触れる場合が御座います。
当院では、今回の記事にあるレーザー治療を扱っておりません。