ルミネアーズは、従来の審美歯科治療であるラミネートベニアが進化したものです。
ラミネートベニアのデメリットの多くを克服した状態で、歯をキレイにすることができます。
しかし、ルミネアーズも決して完璧な治療ではありません。
今回は、ルミネアーズの治療を受ける際の注意点を中心に解説します。
目次
ルミネアーズのラミネートベニアより優れている点
まずは、ルミネアーズがラミネートベニアと比べてどのように優れているのかを詳しく説明します。
まず1つは、歯を削る量が少ないという点です。
ラミネートベニアは大幅に歯を削り、セラミックのチップを貼り付ける治療ですが、ルミネアーズはほとんど歯を削りません。
またルミネアーズでは、ラミネートベニアよりも薄くて丈夫な膜を使用します。
ルミネアーズで使用する極薄の膜は、圧倒的にセラミックのチップより薄いにもかかわらず、陶器と同等の耐久性を持っています。
さらに治療の回数が短い点、予防歯科効果がある点も、ラミネートベニアより優れていると言えます。
ルミネアーズの治療回数は最大4回であり、ラミネートベニアよりも少ないケースが多いです。
そして、治療を受けるだけで虫歯予防効果も得られます。
ちなみにチップの寿命に関してはいずれの治療方法も長いですが、ラミネートベニアが10~20年ほどなのに対し、ルミネアーズは25年以上持つことが実証されています。
ルミネアーズの治療を受ける際の注意点
前述の通り、ルミネアーズは非常に優れた治療法であり、仕組みが似ているラミネートベニアを大きく進化させています。
しかし、治療を受ける際は以下の点に注意しなければいけません。
・作製に時間がかかる
・極端に歯並びが悪い場合は適用できない
・治療の制限が設けられる場合がある
・費用が高い
・歯の厚みが出ることがある
・歯ぎしりが強いと割れることがある
・取り扱う歯科クリニックが少ない
各項目について詳しく説明します。
作製に時間がかかる
ルミネアーズは、治療回数自体はラミネートベニアよりも少なくなっているものの、歯に貼り付ける膜の作製にはある程度時間がかかります。
一般的には1ヶ月ほどかかるケースが多いです。
そのため1回目と2回目の治療の間隔が空いてしまい、治療回数は少ないにもかかわらず、通院が億劫に感じてしまうこともあります。
また、とにかく即効性を重視した審美歯科治療を求めている方にとっても、1ヶ月は長く感じるかもしれません。
極端に歯並びが悪い場合は適用できない
ルミネアーズはほとんど歯を削らない治療であるため、多くの症例に適用できます。
例えば、すきっ歯や些細な歯列のずれには対応できますが、極端に歯並びが悪い場合は治療が難しくなります。
例えば叢生や交叉咬合、過蓋咬合などの不正咬合が見られる場合は、治療を慎重に判断しなければいけません。
叢生は乱ぐい歯とも呼ばれるもので、わかりやすくいうと歯が重なり合い、デコボコになっている状態です。
また交叉咬合は、歯の前後的位置が1本か2本逆の状態を指し、ひどい場合はものを強く噛んだり、歯を食いしばったりすることができません。
さらに過蓋咬合は、上の歯が下の歯に必要以上に覆いかぶさっている状態です。
深く噛み込んでしまうため、歯の接触がきつく歯をすり減らしてしまいます。
これらの不正咬合がある場合、先に矯正治療を受けなければいけないこともあり、そうなると治療期間は長期化しますし、当然治療費も高額になります。
治療の制限が設けられる場合がある
ルミネアーズは、極端に歯並びが悪い場合は受けられない可能性があるという風に解説しました。
場合によっては、これ以外にも治療の制限がつく場合があります。
歯科クリニックの中には、ルミネアーズの治療を受ける場合、前歯6本以上から対応可能というルールを設けているところが多いです。
このような制限がある場合、「1本だけルミネアーズでキレイにしたい」という方は治療を受けられません。
また前歯6本以上から対応するということは、最低でも前歯6本分の費用がかかるということになります。
そのため、治療を受けられる状況であったとしても、思いの外治療費が高くなる可能性があります。
費用が高い
ルミネアーズは審美歯科治療であり、他の治療と同じで保険が適用されません。
そのため、治療費は患者さんが10割負担する必要があります。
またセラミック治療などの審美歯科治療はいずれも高額ですが、ルミネアーズはその中でも費用が高い部類に入ります。
具体的な費用相場は、歯1本につき35,000~50,000円程度です。
先ほども触れたように、ラミネートベニアは前歯6本以上からしか対応できないことも多いため、1回の治療で数十万円かかるケースも珍しくありません。
歯の厚みが出ることがある
ルミネアーズは、ラミネートベニアと同じように歯に膜を貼り付ける治療です。
このとき貼り付ける膜は、ラミネートベニアが0.8~2mm程度なのに対し、ルミネアーズは0.1~0.5mmと非常に薄いです。
しかし、それでも歯に膜を貼り付けていることは事実であるため、多少歯の厚みが出ることは考えられます。
また人の口内における感覚は、他の部位と比べてもかなり敏感です。
細い毛が1本口内に入っただけでも、人はすぐに異物感を覚えるほどです。
そのため、ルミネアーズの膜を装着した直後は、慣れるまで多少口内に違和感が出ることも考えられます。
歯ぎしりが強いと割れることがある
ルミネアーズに使用する膜は、天然歯のエナメル質全体にピッタリと接着されるため、強度に優れています。
しかし、就寝時の歯ぎしりが強い方などは、負担がかかりやすく割れてしまうリスクが高まります。
人間が思いっきり噛み締めたときの噛む力は、およそ70kgだと言われています。
一方、無意識に行っている就寝中の歯ぎしりの場合、顎骨にはなんと500kg以上もの力がかかっています。
どれだけ強度が高いルミネアーズであっても、500kg以上もの力を日常的に受けていれば、劣化は進みやすくなりますし、破損する可能性も高くなります。
さらに歯ぎしりを放置していると、ルミネアーズの膜が割れるだけでなく、天然歯が擦り減ってしまったり、顎関節症を引き起こしたりする可能性もあります。
ちなみに歯ぎしりの代表的な治療法としては、スプリント療法が挙げられます。
スプリント療法は、上下の歯が直接噛み合わないよう、マウスピースを装着する治療法です。
通常は就寝中に装着するもので、上下すべての歯を均等に接触させるタイプや、前歯のみが接触するタイプなどがあります。
すでに歯ぎしりがある方は、ルミネアーズの破損リスクを減らすために、こちらの治療を受けなければいけない可能性があります。
取り扱う歯科クリニックが少ない
ルミネアーズはラミネートベニアの進化版であり、審美歯科治療の中でも非常に完成度が高いです。
しかし、取り扱う歯科クリニックは決して多いとは言えません。
ルミネアーズは、その製造が独占所有権で守られていて、認定を受けた歯科医師のみが取り扱いを認められています。
そのため、技術的に未熟な歯科技工士によって安価に製造された商品を、歯科医師が使用することはできません。
こちらは、言い換えれば必ず質の高い治療が受けられるということですが、近くに取り扱う歯科クリニックがない場合は、通院の手間がかかります。
まとめ
ルミネアーズでは、ラミネートベニアでは改善できなかったポイントをいくつも改善しています。
そのため、歯をキレイにしたい方にとっては、必ず選択肢に入れておきたい治療だと言えます。
ただし、世の中に欠点のない完璧な治療は存在しません。
こちらはルミネアーズにも言えることであり、治療を受けようとする方は、前もって今回解説した注意点を押さえておかなければいけません。
東京都品川区五反田周辺で審美歯科治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。