最近では矯正治療といえばインビザラインを始めとしたマウスピース矯正を思い浮かべる人が多いのですが、昔はワイヤー矯正が主流でした。
しかし、ワイヤー矯正は目立つため嫌がる人も多かったのですが、昔は何故ワイヤー矯正が主流だったのでしょうか？
昔の矯正治療について、解説します。
矯正治療の歴史
矯正治療は近代から始まったものだと考えられているのですが、実はギリシャ時代や古代ローマの頃から矯正装置があったことが分かっているのです。
矯正治療は、ローマの医師が言及したことが始まりで、当時から歯並びや噛み合わせを整えた方がいいといわれていました。
しかし、ギリシャの医師が歯並びだけではなく、子どもの頭蓋の成長発育についてや、顔や歯の奇形について言及しているのです。
当時からホワイトニングやインプラントも存在しているといわれており、歯に対する考え方が進んでいたことが分かります。
現在の矯正治療につながる研究は、1700年頃に進展した歯科矯正学が元になっていて、第一人者であるフランスの医師が近代歯科医学の祖と呼ばれたのです。
歯科医学の本も出版していて、2冊目の本には歯周病に関する記載もあり、歯石を除去することの重要性にも言及されています。
さらに発展させて現代の矯正治療の基礎を築いたのが1900年代のアメリカの歯科医師で、歯科矯正の父とも呼ばれているのです。
不正咬合の分類や不正咬合に適応した治療法を確立して、歯科矯正学の塾も創立して矯正治療について広めていきました。
当時はエッジワイズ法という、強い力で歯を動かしていくという方法が開発されていたのですが、25年後にはベッグ法という新たな方法が開発されたのです。
オーストラリアの矯正歯科医が開発した方法で、弱い力で歯を動かしていくという概念に基づいた方法になっています。
歯を複雑に移動させたり、微調整をしたりするのにはエッジワイズ法の方が向いているため、ベッグ法はあまり取り入れられませんでした。
しかし、後々エッジワイズ法に対して大きな影響を与える治療方法となり、さらにマウスピース矯正とも似ているところがあります。
日本で矯正治療が始まったのは、エッジワイズ法を塾で学んで帰国した日本人からで、日本でさらに改良が重ねられて現在の矯正治療になったのです。
1960年代には裏側矯正も開発されたのですが、歯列矯正が発達したアメリカでは開発が進まなかったため、日本で特に人気の治療方法となりました。
ワイヤー矯正が昔は主流だったことに疑問を抱く人も多いのですが、矯正治療はワイヤー矯正から始まり、他にはなかったのです。
昔と今の違い
昔と比べると今はデジタル化が加速し、矯正治療だけでなく歯科医療の技術が向上していて、コンピューターによって設計を行うCAD/CAMシステムも活用されています。
ハイブリッドレジンという白い素材を使用した被せものを使用する治療で、以前は自由診療でしたが2020年以降はほとんどの歯が保険診療となっているのです。
また、近年では3Dのシステムを使用して矯正装置を作製するマウスピース矯正を選ぶ人が増えています。
マウスピース矯正は、歯型をスキャンしてデータ化し、データを基にして3Dプリンターで造形されてマウスピースを作製するのです。
マウスピース1枚につき0.25mmずつ移動するように設計されていて、一定期間ごとに新しいものに交換していくことで目的の場所まで動かします。
弱い力で動かしていくため、歯の負担は最小限にすることができ、痛みも少ないようにして正確に歯を整えることができるのです。
透明なマウスピース型の矯正装置は、日本では10年以上から導入されていて、海外では1997年にインビザラインが開発されています。
アメリカでは1999年に治療が始まり、日本でも2006年から導入されたのですが、当時はまだ精度が劣っていて症例数も少なく、対応できる歯並びも限られていたのです。
導入している歯科医院も少なかったのですが、現在では精度も高まり、対応する歯並びも増えたため世界中で最も多くのシェアを占めている治療方法となりました。
また、インビザラインの特許が切れたことで、多くのメーカーがマウスピース矯正に参入してきて、歯科医院ごとに扱う矯正が異なるようにもなったのです。
マウスピース矯正は、強力に歯を動かすため矯正治療にかかる時間を短縮することができ、治療費も比較的安いというメリットがあります。
また、歯の裏側にワイヤーを装着する裏側矯正であれば、目立たずに矯正治療を進めることができるでしょう。
10年前はワイヤー矯正が主流だったのですが、今はマウスピース矯正も増えていて選べるようになっています。
ワイヤー矯正の方がまだ対応する歯並びは多いのですが、マウスピース矯正でも徐々に増えているため、今後はますます選ばれるようになっていくでしょう。
まとめ
ワイヤー矯正は、歯の表側に装着していると目立ってしまい、矯正治療を受けていることがすぐにわかってしまうため、あまり好まないという人もいます。
しかし、昔はワイヤー矯正が主流で、他の治療方法はあまりなかったのです。
矯正治療の歴史は古いのですが、今の矯正治療の原型となったのは20世紀になってからで、以降も進歩を続けてマウスピース矯正もできるようになりました。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。