歯並びが気になっていて矯正治療を考えていても、目立つ矯正装置を装着するのに抵抗があるという人は少なくないでしょう。
矯正治療を受けていることが他の人に知られにくい方法として挙げられるのが、舌側矯正とマウスピース矯正です。
舌側矯正のメリット、デメリットについて解説します。
舌側矯正のメリットは?
矯正治療には、主に表側矯正と舌側矯正、マウスピース矯正という3つの方法がありますが、舌側矯正についてはご存じでしょうか?
舌側矯正は裏側矯正とも呼ばれ、表側矯正において歯の表面に装着するブラケットやワイヤーなどの矯正装置を、歯の裏側に装着する矯正治療となっています。
舌側矯正は、矯正装置を診えないようにしたいという患者さんの声に応えて、日本人歯科医師が1979年に開発した矯正方法です。
最大のメリットとして、歯の舌側に矯正装置を装着して歯を動かすため、表側矯正とは違って外から見えないという点が挙げられます。
歯の裏側は普通にしていれば見えない場所です。
そのため、日常生活を送るうえで目立ってしまうことはないでしょう。
職業によっては人と接することが多いため表側矯正ができない、抵抗があるという人もいるのですが、舌側矯正であれば問題なく矯正治療ができます。
矯正治療では、歯の並ぶスペースが足りない場合に抜歯してスペースを確保し、スペースの分だけ前歯を下げることになります。
前歯を下げるときは、奥歯を固定源として前歯を引っ張り、後方へと移動させていくことになるのです。
表側矯正の場合は、固定源となった奥歯が逆に前へと引っ張られてしまい、歯の移動をコントロールするのが難しくなることもあります。
しかし、舌側矯正であれば固定源となる歯を後方に引っ張るのに向いているため、前歯も比較的スムーズに移動させることが可能です。
舌で前歯を押す癖があると、歯が押し出されて出っ歯になってしまうことがありますが、舌側矯正であれば、矯正装置が装着されているため、舌の癖を抑えることができるでしょう。
舌が正しい位置になく、つい前に出て行ってしまうような場合は矯正装置とぶつかって軽い痛みが生じるため、意識的にひっこめることができるのです。
歯は、舌が外側に押し出す力と、頬や唇が内側へと押し込む力とのバランスが釣り合う位置で並んでいます。
舌で押す力が強すぎるとバランスが崩れてしまうため、前歯だけが突出してしまう出っ歯になってしまうのです。
舌の癖がある場合には、先に癖を直さなければいくら矯正治療を受けて歯並びを整えたとしても、また元のように出っ歯となってしまうでしょう。
既述したとおり、舌側矯正の場合には舌癖を改善できるというメリットもあり、装置が舌癖を防止する役割もあります。
矯正治療中に舌癖を改善することができれば、矯正装置を外した後に癖による後戻りが起こるリスクを軽減できるのです。
また、舌側矯正のメリットとして、食べかすが付きにくいということが挙げられます。
矯正装置を装着している状態では、通常通り歯磨きをしていても歯ブラシが届かない場所が増えてしまい、装置の周囲には歯垢が付着してしまいます。
歯垢は虫歯や歯周病の原因となる細菌が多数含まれているため、見つけたらすぐに除去しなくてはなりません。
しかし、舌側矯正の場合は常に唾液が循環している歯の裏側に矯正装置を装着しているため、食べかすを洗い流してくれます。
加えて、唾液には殺菌作用があるため細菌の働きも抑制することができ、再石灰化作用によって再石灰化して固くなるなど、虫歯を防ぐ働きが優れているのです。
虫歯菌の増殖も抑制されますが、なかなか歯を磨くのが難しい状態なので丁寧に歯磨きをしなくてはいけません。
矯正装置を装着した状態で食事をすると、どうしても矯正装置の隙間には食べかすなどが挟まってしまうことがあるのです。
これに関しては、舌側矯正も表側矯正と代わりません。
ただし、仮に食べかすが矯正装置に挟まっても見えにくいという利点はあります。
女性の場合、矯正装置に食べかすが挟まっていないかは表側矯正であればかなり気になるでしょう。
その点、舌側矯正なら、食べかすが挟まっているかどうかを気にすることなく、食事を楽しむことが可能です。
舌側矯正のデメリットは?
舌側矯正には多くのメリットがあるものの、デメリットもあるため治療を受ける前に把握しておきましょう。
まず、矯正装置は口内において異物といってもいいものなので、装着したばかりのころは違和感があるでしょう。
また、慣れないうちは舌がぶつかって傷がついてしまったり、口内炎になってしまったりする可能性もあります。
装着してから2週間ほどで、ほとんどの人は違和感もなくなり装着していることに慣れるでしょう。
舌側に矯正装置があるため、舌がぶつかって発音する際に邪魔になってしまうこともあります。
日本語の場合は、さ行やた行、ら行などが、英語ではl、r、thの発音が難しくなってしまうことが欠点です。
ただし、発音がしづらい状態が矯正治療を装着している間ずっと続くわけではありません。
おおよそ1週間から1ヶ月で慣れ、きちんと発音できるようになります。
すでに書いたとおり、舌側矯正においても食べ物が装置に挟まってしまったり、食事の際に噛みにくかったりなどのストレスを感じることがあります。
特に、繊維質のものや麺類は装置に挟まりやすく、硬いものは食べにくくなり、頬や舌を噛んでしまうかもしれません。
装置に挟まってしまった食べ物は外れるまで飲み込むことができないため、口に食べ物が残っていることにストレスを感じる人もいるでしょう。
また、歯磨きがしにくいことも難点です。
歯を磨く際、舌側が見えないため矯正装置をつけていない状態でも磨きにくいのですが、矯正装置を装着することでより磨きにくくなってしまいます。
磨き残しがあると歯垢になり、虫歯や歯周病の原因となる細菌が増殖し、口臭の原因にもなってしまうでしょう。
矯正治療中は、普段よりも丁寧に舌側を磨く必要があるため、定期的に歯科医院でクリーニングを受けることをおすすめします。
矯正治療には高額の費用が掛かりますが、表側矯正と比べて舌側矯正は高度な技術が必要です。
その分、かかる費用も高額になります。
目安としては表側矯正の1.5倍といわれていて、矯正装置がオーダーメイドとなることも費用が高額になる原因です。
マウスピース矯正との違いは?
マウスピース矯正は、舌側矯正と同じく外から見えない矯正治療ですが、どのような違いがあるのでしょうか?
マウスピース矯正は、歯磨きや食事の際には矯正装置を外すことができ、再度取り付ける際も自分でできるため、邪魔にはなりません。
また、矯正治療の際は歯を動かすのに痛みが生じますが、マウスピース矯正の方が舌側矯正を含むワイヤー矯正よりも痛みが少ないといわれているのです。
滑らかなプラスチックでできているため、口内でぶつかっても舌や頬、唇などを怪我することもありません。
マウスピース矯正にはいくつかの種類がありますが、費用に関しては押しなべて舌側矯正よりも低いことが多いのも特徴です。
以上のとおりさまざまなメリットがあるため、近年ではマウスピース矯正を選ぶ人がかなり多くなっています。
なお、マウスピース矯正の場合、1日20時間以上など装着時間の下限が定められているため、外出時も装着しなくてはなりません。
ただし、透明なので目立ちにくく、人目をそれほど気にしなくて済むのがメリットです。
まとめ
舌側矯正は裏側矯正とも呼ばれる矯正方法で、歯の表面ではなく舌側、つまり裏に矯正装置を装着することで歯を動かします。
舌側矯正は、外から見ても目立ちにくく抜歯が必要になった際も固定源を後方に引っ張るのに向いています。
また、葉の裏側に矯正装置を装着することから、前歯を舌で押し出す癖がある場合も改善が可能です。
しかし、舌側はきれいに磨くのが難しい場所であり、矯正装置を装着するとさらに磨きにくくなるため、注意しましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。