年齢を重ねると、体調に変化が訪れたりどこかが痛んだりすることが増えて、老化を実感する人は多いでしょう。
実は、なかなか自覚しづらいのですが歯も老化します。
見た目の変化をはじめ、歯にもさまざまな変化が訪れるのです。
歯の老化とはどのようなものか、解説します。
口内に起こる変化
年齢を重ねると、人間の体にはさまざまな変化が訪れます。
目に見える変化もあれば見えない変化もあるでしょう。
例えば、しわが増えたり肌の水分が失われたりするのは目に見える変化ですが、内臓が衰えたりするのは見えません。
人によっては腰が曲がってしまうなどの変化が起こることもありますが、実は歯も老化する部分です。
しかし、歯の老化に関しては見た目が変化することもありますが、内部が変化することもあるため、見える部分と見えない部分があります。
年齢を重ねることで口内に起こる変化として、まず挙げられるのは、歯の喪失です。
40歳になると、歯を1本も失っていない人が2人に1人しかいません。
80歳で20本の歯を残そうという8020運動がありますが、残念ながら70歳の平均本数は15本です。
また、40歳の人の約4割は、歯周ポケットの深さが4mm以上になっているため、日常のセルフケアや定期検診が重要になります。
年齢を重ねると口内にさまざまな変化が訪れるだけでなく、唇も委縮します。
若い頃と比べて弾力がなくなり、乾燥して荒れやすくなってしまうのです。
大きな口を開けにくくなり、無理に開けると裂けてしまったり、口角が下がりやすくなったりすることもあるでしょう。
歯は日常的に使い続けるものであるため、年齢を重ねるごとにだんだんと劣化してしまうことを、老化といいます。
さまざまなものを噛み、歯を磨くうちにすり減ってしまい、エナメル質も薄くなってしまいます。
そのため、虫歯になったときは象牙質や歯髄までたどり着くのが早くなるでしょう。
歯槽骨が年齢とともにやせ細っていくため、歯茎も下がり、知覚過敏や虫歯になるリスクが高くなってしまいます。
さらに、唾液の量も減少し、唾液によって抑制されている口臭や虫歯、歯周病のリスクも高くなるでしょう。
高齢者の場合は唾液が少ないと飲み込むのが難しくなり、嚥下障害を起こすケースが多くなります。
歯に寿命はある?
歯が老化するということは、歯には寿命があるということです。
歯の寿命はどのくらいなのでしょうか?
個人差もありますが、歯の寿命は現代では50年から60年ほどといわれていて、人間の平均寿命よりも短い期間となっています。
歯は人生を送る上での重要なパートナーですが、残念ながら寿命があるのです。
きちんとケアしなければ寿命は短くなってしまいます。
抜けることもあり、その場合には口内はもとより、体にも大きな悪影響を与えるでしょう。
既述したとおり、40歳になったときにすべての歯が残っている人は2人に1人といわれていますが、80歳で20本以上の歯が残っている人の割合も同様です。
できる限り歯を多く残すためにも、何かトラブルが発生してから歯科医院に行くのではなく、異常がなくても定期的に検診を受けて予防歯科に通うことが、歯の寿命を伸ばすことにつながります。
ちなみに、加齢に伴い摩耗によるすり減りが発生することを書きましたが、特に咬合面がすり減った状態を咬耗と呼びます。
歯の表面を覆うエナメル質がすり減っていき、さらに進行すると象牙質まで進んでしまうのです。
歯に強い力がかかると咬耗が進んでいくため、程度の差はあってもほとんどの人に見られる状態といえます。
また、象牙質は加齢に伴い、生理的第二象牙質が内側にだんだんと形成されていくため、歯髄腔が徐々に狭窄していきます。
歯質が欠損して象牙質まで及んだ場合は、歯髄腔側に生体防御反応が起こり、急速に象牙質が添加されていくでしょう。
加齢に伴って歯髄腔全体に起こる象牙質の添加を第二象牙質といい、特に局所的に起こるくさび状の欠損で歯髄腔側に添加される象牙質は第三象牙質といいます。
また、高齢になると歯髄内に出現した石灰化物の象牙質粒の出現頻度が高くなってしまうでしょう。
くさび状に欠損する原因として、ブラッシング方法が間違っていたり噛む力が強すぎたりすることによる破壊などが考えられます。
また、歯頚部に虫歯ができたときは歯質が欠損し、歯髄に第三象牙質が形成されることもあるでしょう。
高齢になると、象牙細管の内部で二次的石灰化が起こり、透明な象牙質が出現することもあります。
また、加齢に伴いセメント質が歯根膜側に増えて、厚くなってしまいます。
特に歯端部や根分岐部は、細胞セメント質が肥厚することがあるでしょう。
歯端部に添加された場合は、歯端孔が狭くなり、歯髄に血管や神経が侵入する際の妨げになってしまいます。
歯の老化を食い止めることはできませんが、事前に何が起こるのかを知っておくことで対策し、老化を遅らせることができるでしょう。
歯科医院を定期的に受診して、歯の老化の兆候があるか、老化に対してどのような対策が有効か相談してみてください。
歯を失う原因と寿命を延ばす方法
歯は、さまざまな原因によって失われることがあります。
主にどのような原因により、失くしてしまうのでしょうか?
最も多い原因が歯周病で、全体の4割を占めているといわれています。
痛みがないため、自覚しづらいまま重症化していくのが、歯周病の恐ろしいところです。
原因となるのは歯周病菌と呼ばれる何種類かの細菌で、歯にプラークが付着して歯石となった場合などに増殖し、歯周病が発症します。
加齢が原因となる病気ではありませんが、年齢を重ねると抵抗力が下がり、感染しやすくなる傾向があるのです。
高齢になってから歯周病になると治りにくく、進行速度も速くなるため、普段から予防に取り組み、定期検診で早期に発見することが重要となるでしょう。
虫歯も歯を失う原因となる病気です。
特に歯の表面のエナメル質が加齢によって薄くなると、虫歯の進行も早くなってしまいます。
虫歯も何種類かの細菌が原因となる病気で、プラークがあると増殖して薄くなったエナメル質を溶かし、内部まで感染が進んでしまいます。
「歯科医院といえば、虫歯治療」というイメージがあるくらい、一般的な歯の病気ですが、侮ってはいけません。
虫歯は口内にトラブルを発生させるだけでなく、全身にも悪影響を与えるからです。
悪化すると動脈硬化のリスクが高まり、糖尿病になるケースもあります。
さらに、肺炎などを引き起こすこともあるため、悪化させないことが重要です。
虫歯や歯周病の可能性があると感じたときは、放置せずにすぐ歯科医院で診断してもらい、なるべく早い段階で治療しましょう。
また、セルフケアもしっかりと行い、歯磨きだけではなく歯間ブラシやデンタルフロスも使用して、歯の間の汚れもしっかりと落としてください。
歯の寿命を延ばすためには、一緒に歯を守ってくれて気軽に相談できる、信頼できる歯科医を探してケアしてもらうことが大切です。
歯科医院で、2~3カ月おきに定期検診を受けて歯の汚れを落としてもらうことで、虫歯や歯周病を防ぐとともに、歯の寿命も延ばすことができます。
まとめ
年齢を重ねると体のあちこちが老化して不調になることが増えます。
実は、歯にも寿命があり、老化によって失うケースが多くなるのです。
歯の寿命は50~60年ほどといわれていますが、虫歯や歯周病などが原因で、寿命を迎える前に失うこともあります。
歯を大切にして寿命を延ばすには、セルフケアをしっかりと行って歯の汚れを落とし、定期検診を受けて虫歯や歯周病を早い段階で発見し、治療することが肝要です。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。