MRI検査は、体内に金属が埋め込まれていると磁力によって熱が生じてしまったり、検査が正常にできなかったりすることがあります。
歯科用インプラントにも金属は使われているため、MRI検査を受けて大丈夫なのか不安になる人もいるでしょう。
しかし、インプラントで使用されるのは主にチタンです。
チタンは磁力に反応しないため、問題ありません。
今回は、インプラント治療後のMRI検査について解説します。
MRI検査を受けられないケースは?
MRI検査とは、ガンの転移検査などで用いられるもので、身体を輪切りにしたような撮影ができる検査です。
一般的なレントゲン撮影は骨のように硬い組織を撮影しますが、MRI検査は体全体を断面的に撮影できます。
内臓や脊髄、脳、血管などの柔らかい組織も撮影できるため、レントゲンやCTなどと比較しても精密に検査できるのがメリットです。
磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging)の頭文字をとってMRIといいます。
MRI検査では放射線が出ないのも、レントゲンとの違いでありメリットといえます。
一方で、やや時間がかかるのが難点です。
横たわった状態で筒状の機械の中に入り、15~45分と時間をかけて撮影するため、負担に感じる患者様も多いでしょう。
特に、閉所恐怖症などがある人には大きなストレスとなるため、耐えきれずに撮影を拒否するかもしれません。
また、撮影中かなり大きな騒音が出るのもデメリットで、ストレスを感じてしまう人も少なくないのです。
撮影の際は強力な磁力が発生し、影響を受けると問題があるものを体内に埋めている場合には、検査できません。
他にも、「医療用インプラント」と呼ばれる、身体に埋め込むペースメーカーなどの医療機器を使用している場合には、MRI検査を受けるのは難しいでしょう。
体内に埋め込まれた医療機器が取り外しできないと、磁力によって熱が生じることで火傷してしまう危険性があるからです。
しかし、使用されている素材によってはMRI検査を受けても問題がないケースもあります。
そのため、事前にどのような素材が使われているのか確認が必要です。
なお、MRI検査を受ける場合には、アクセサリーや化粧、カラーコンタクトにも気を付けなければなりません。
金属が含まれていると皮膚が火傷する恐れがあるからです。
アクセサリーやカラーコンタクトは外し、化粧は落としましょう。
また、タトゥーや刺青にはインクに金属が含まれている可能性があります。
アクセサリーのように取り外しできるわけではないため、MRI受けられないでしょう。
インプラントがあっても大丈夫?
インプラントがあると検査を受けられるのか不安に思うかもしれませんが、歯科用に関しては、基本的に問題ありません。
金属が含まれているとはいっても、磁力に反応しない金属であれば検査には支障がないからです。
ただし、事前に歯科医院でインプラント治療を受けたことを医師に伝えてください。
また、中には検査が受けられない素材を使用しているものもあるため、必ず事前に確認しましょう。
受けられない可能性があるのは、オーバーデンチャーという治療です。
オーバーデンチャーとは、残った歯やインプラントを支えにして入れ歯を装着する治療法のことをいいます。
通常の入れ歯とは違い、しっかりと固定されるため、一般的な入れ歯よりもフィット感が優れています。
オーバーデンチャーには、磁石を取り付けて固定する仕組みのものがあります。
これを装着している場合には、MRI検査を受けることはできません。
検査で発生する磁力で熱が生じるため、歯茎や口内の粘膜が火傷してしまう可能性があるからです。
ただし、磁石を使用していないタイプのものであれば、検査を受けても問題がない可能性もあります。
歯科以外では、医療用インプラントを装着している場合に、MRI検査を受けられない可能性があります。
具体的には、心臓に使用しているペースメーカーや除細動器、輸液ポンプ、磁石性の義眼、人工内耳などです。
体内にある医療機器の素材に磁力と反応する金属が含まれていると、検査を受けられない可能性が高いでしょう。
金属の種類によっては検査時に発熱する原因となるため、医師の指導に従ってください。
どのようなインプラントなら問題ない?
インプラントの構造ごとに考えてみましょう。
インプラントには、アバットメントと呼ばれる連結部分と、フィクスチャーと呼ばれる人工歯根の部分があります。
この2つがチタンでできている場合、磁力が発生しないことからMRI検査を受けることが可能です。
また、最近では、アバットメントとフィクスチャーに金属を使用しないインプラントがあります。
人工ダイヤモンドとも呼ばれるジルコニアでできたインプラントです。
ジルコニアは、そもそも金属を使用していないことから、MRI検査において磁力に反応することはありません。
そのため、このようなインプラントについても、MRI検査を受けられるでしょう。
また、インプラントの上部構造である被せ物についても、金属が使用されていなければ問題ありません。
たとえば、ジルコニアやセラミック、ハイブリッドセラミックが該当します。
いずれも金属を使用していないため、MRI検査を受けることが可能です。
ただし、セラミックは磁力をはじくため検査結果に影ができるかもしれません。
とはいえ、検査の結果に悪影響を及ぼすわけではないため、検査を受けること自体は問題なくできるでしょう。
MRI検査を断られてしまったときの対処法
歯科用インプラントは基本的に、金属が使用されていても検査を受けるのに支障はありません。
ほとんどの場合は使用している金属が磁力に反応しないため、検査を受けても特段の問題はないのです。
しかし、場合によっては断られてしまうケースもあります。
検査を断られた場合、上部構造の人工歯部分だけを外すという対処法が考えられます。
インプラントは、顎の骨に埋め込むインプラント体、歯の代わりとなる上部構造という人工歯と、アバットメントというつなぐパーツの3つの構造から成り立っています。
全て取り外すようにいわれることはないため、外すように言われたときは人工歯だけで問題ないでしょう。
なお、人工歯はネジで固定されているため、一度取り外したとしても再び取り付けることが可能です。
その場合には、歯科医院で相談してください。
MRI検査を受ける場合、事前に歯科用インプラントを装着しているか確認されます。
インプラントで使用している素材によってはMRI検査に支障をきたす可能性があるため、事前に歯科医院で事情を話し、何を使用しているのか確認してください。
そのうえで、MRI検査を受ける前に、歯科用インプラント治療を受けていることと、インプラントで使用している素材を医師に伝えましょう。
まとめ
MRI検査は磁力を使用して体を輪切りにしたような撮影をする検査ですが、磁力と反応する金属があると発熱して火傷の原因になってしまいます。
歯科用インプラントで主に使用されているチタンは磁力に反応しないため、基本的には問題ありません。
しかし、病院によってはMRI検査を断るケースもあるため、事前にインプラントの素材を確認し、検査を受けても問題がないか歯科医師や担当医に相談しておきましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。