歯並びは、骨格や歯の大きさなど先天的な要因によって悪くなることもありますが、習慣や癖など後天的なものが原因となることもあります。
身についた癖のうち、口や顎に悪影響を与えるものを口腔悪習癖と呼びますが、具体的に歯並びを悪化させてしまうのはどのような習慣や癖でしょうか?
具体的にどのような癖があるのか詳しく解説します。
歯並びが癖に影響を受けることはある?
歯並びは、顎や歯に関する遺伝によって悪くなることもありますが、意識していない癖によって悪化することもあります。
実は、遺伝が歯並びに悪影響を与える割合はさほど大きくありません。
むしろ、日常生活における悪癖のように、後天的な要因のほうが割合としては大きいのです。
歯並びに悪影響を及ぼす癖のことを口腔悪習癖と呼びます。
6歳までに上顎の歯はほとんど成長してしまうため、癖が歯並びの成長に大きく関与するのです。
歯並びは、舌が内側から押す力と頬や唇が外から押す力の均衡がとれている状態が正常です。
しかし、この均衡が崩れると、歯並びが悪くなります。
子どもの歯並びに影響を与える癖としてまず挙げられるのが、指しゃぶりです。
他にも口呼吸や姿勢の悪さ、食べ物を噛む回数が少ないなど、いくつかの悪癖があるでしょう。
ほとんどの乳児は指しゃぶりをしたことがありますが、3歳頃になると、ほとんどの子どもが自然にやめてしまいます。
しかし、4歳以降も指しゃぶりを続くようだと、指が上下の歯に挟まれた状態が続き、歯並びに悪影響を与えてしまうでしょう。
前歯が押されて位置にずれが生じ、外側に広がっていくと、前歯の間に隙間ができることもあります。
爪や下唇を噛む癖も、同じように歯並び悪化の原因になるかもしれないため、注意が必要です。
また、口呼吸も歯並びに悪影響を与えます。
なぜなら、舌が適切な位置からずれるため、唇や頬から歯にかかる力のバランスが崩れてしまうからです。
舌の正しい位置は、上顎に密着した状態です。
しかし、口呼吸をすると舌が下がり、歯を外側に押し出す力が弱くなってしまうのです。
また、口呼吸により口周りの筋力が低下するため、前歯を内側に押し返す力も弱くなってしまいます。
子どもが口呼吸を続けたまま成長すると、上顎の骨の成長が妨げられて歯列の幅が狭くなるため、上顎前突や乱杭歯などの原因になる可能性があるでしょう。
さらに、舌を前に出す癖にも注意が必要です。
歯が前方に押され、かかる力が弱くても長く続いていると、歯並びに影響を与えるかもしれません。
舌を前に出して歯を押したり、上下の歯に舌を挟んだりする癖を舌癖といい、嚥下の際に舌で前歯を押しながら飲み込む癖を、異常嚥下癖といいます。
柔らかい食べ物ばかりを口にしていたり、すぐ飲み込んでしまったりすると、口周りの筋肉が十分に発達しないため顎の成長が不十分なものになるでしょう。
食べ物が柔らかければ簡単に噛み砕くことができるため、小さくなって自然に食道に流れて行ってしまいます。
反対に、食べ物が硬いときは歯で噛むだけでなく、すりつぶしたりさまざまな筋肉を使用して飲み込んだりしなければなりません。
筋肉の発達を妨げるとともに顎も成長しづらくなるため、永久歯がきれいに並ぶことができず乱杭歯になる可能性が高いでしょう。
姿勢にも影響があり、背中が丸まった姿勢を続けると、顎が適切な方向へ成長できず歯並びが悪くなります。
さまざまな癖によって顎にかかる力のバランスが崩れてしまい、歯並びが悪くなる原因となるのです。
癖を改善するには?
子どもの歯並びは癖が原因で悪くなってしまうことがあります。
癖の内容によっては、早いうちに改善に取り組むことで、歯並びの悪化を防ぐことができます。
たとえば、指しゃぶりについてはどうでしょうか。
既述したとおり、3歳頃までの指しゃぶりは歯並びに影響を及ぼさないため、無理にやめさせる必要はありません。
しかし、4歳以降は悪影響が出てしまうのです。
指しゃぶりをやめさせるには、子ども本人に対してなぜダメなのか、理由を根気強く説明してください。
頭ごなしに禁止して、大きな声で叱るなど、怖がらせるのは禁物です。
おもちゃを使って遊ぶなど、他の遊びをすることで気がそれて、意識が指しゃぶり以外に向かうかもしれません。
子どもは暇なときに指しゃぶりをすることが多いため、積極的に声をかけて気をそらすといいでしょう。
口呼吸が続く場合には、鼻づまりや歯並びが原因である可能性が考えられますが、本人の努力だけでは改善できないかもしれません。
病院で診察し、必要に応じた治療を行い、自然に鼻呼吸ができる環境を整えてあげるといいでしょう。
鼻づまりがなければ、意識的に口を閉じておき、鼻呼吸をするように声をかけてみてください。
意識的に鼻呼吸をさせることで、口を閉じる時間が長くなり、口周りの筋肉が鍛えられるのです。
舌癖をやめさせるためには、子どもに舌の正しい位置や嚥下方法を教え、習慣化させてください。
また、口呼吸によって生じている舌の悪癖は、口周りの筋肉を鍛えることで改善されることもあります。
マウスピースで舌の位置を誘導する治療方法もあるため、一度相談してみるのがおすすめです。
噛まなくていいものを多く食べると噛む回数が減ってしまい、顎や周囲の筋肉の成長が妨げられてしまいます。
適度に硬いものや大きいものも食べ、よく噛む習慣をつけてください。
また、食事を急かされると丸飲みすることもあるため、ゆっくりと楽しんで食事ができるように工夫してみることも大切です。
食事中に足が台や床につかず、背中を丸めて前かがみになっていると、食べ物を噛む力が鍛えられず、テレビを見ていれば姿勢が悪くなります。
食事中は正面を向き、足をきちんとつけて姿勢よく食べられるよう、環境を見直しましょう。
歯並びが悪くなった場合のリスクは?
子どもの歯並びが悪い状態をそのままにすると、心や身体にさまざまな悪影響を及ぼすため、なるべく早く相談してください。
子どもの歯並びが悪いまま放置するリスクとして、まずは虫歯や歯周病のリスクが高くなってしまうという点があるでしょう。
歯並びが悪いと、歯が重なった部分に磨き残しが生じ、細菌が増加しやすい口内環境になります。
その結果、虫歯や歯周病になるリスクが高まるのです。
また、受け口や出っ歯の場合は口を閉じにくいため、口内が乾燥して細菌が繁殖し、虫歯や歯周病になる可能性が高くなります。
さらに、歯並びが悪いと発音にも支障が出ることがあります。特にすきっ歯や受け口の場合は発音に支障をきたす可能性が高いため、注意が必要です。
すきっ歯の場合は歯と歯の隙間から空気が漏れやすいためイ段の発音が難しくなり、受け口の場合は舌の位置が悪く、サ行やタ行の発音が不明瞭になることがあるでしょう。
以上のとおり、歯並びが悪いと身体面だけでなく精神面にも影響を及ぼすことがあり、笑顔に自信を持てずに精神的なストレスを感じるかもしれません。
特に、幼少期や思春期には消極的な性格になるきっかけとなってしまう可能性があるのです。
まとめ
子どもにはさまざま癖がありますが、特に指しゃぶりや舌癖など口内に関わる癖があると、歯並びが悪化する原因になってしまうことがあるのです。
歯並びが悪くなるのは骨格が原因となるケースもありますが、癖によって悪化することもあるた、悪癖はなるべく早く治した方が良いでしょう。
歯並びが悪いまま放置していると、虫歯や歯周病になるリスクが高まってしまうケースもあるため、注意してください。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
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