子どもに生えてきた歯をよく見ると、角のようなものがあったり中心部分がとがっていたりすることがあるでしょう。
実は、子どもの歯にはさまざまな形態異常がみられることがあります。
たとえば、中心結節という形態異常では、歯に角ができたり尖っていたりするのです。
主な原因や治療せずにいることで生じるリスク、治療法について解説します。
中心結節とは?
歯には形状が通常とは異なる形態異常が起こるケースがあり、中心結節も代表的とされている症状です。
歯から棒状に飛び出しているような形状で、下顎の前歯から数えて5番目の第二小臼歯にできる割合が多いことが知られています。
中心結節は一見すると大きな問題はないように感じるかもしれません。
しかし、噛み合わせや歯の機能に影響を及ぼすリスクがあり、激しい痛みや神経の壊死を引き起こす可能性があるのです。
また、歯磨きの際に邪魔になることもあります。
磨きにくくなることで汚れが溜まりやすくなり、虫歯を引き起こす要因になることもあるのです。
中心結節の原因は現状はっきりとしていませんが、胚発生の段階での発育異常による可能性が高いでしょう。
歯が形成されていくタイミングで異常が生じた結果、形状が変化するという形で影響を受けたものと考えられているのです。
また、妊娠中の母体の健康状態や栄養状況、あるいは妊娠中や授乳中に接種した薬の成分の影響によるものとも考えられています。
しかし、具体的に何が原因になっているのかはまだ仮説の域を出ていないため、予防策を構築することもできていません。
具体的な発生原因がわからないため、現状では予防よりも発見後の対応が重要とされているのです。
中心結節はどの歯にでも同じようにできるわけではありません。
できやすい歯とそうでない歯があり、特に、永久歯の第一小臼歯と第二小臼歯にできることが多いといわれています。
第一小臼歯と第二小臼歯は、前歯から数えて4,5番目の位置にある歯で、大臼歯と同じく食べたものを細かくすりつぶす機能を持った歯です。
そのため、異常があると特に咀嚼効率に影響を及ぼすこととなり、上顎と下顎では特に下顎の小臼歯に発生するリスクが高いとされています。
下顎の歯は噛み合わせの中でも重要な役割がある力の集まりやすい部分です。
そのため、小さな突起があるだけでも、噛み合わせ全体に大きな影響を与える可能性があります。
中心結節は乳歯に見られることはほとんどないため、永久歯へ生え変わる際に注意深く観察しましょう。
永久歯に生え変わる時期に歯科検診を受けておくことで、中心結節の有無を早期に発見し、迅速な対応を取ることができるのです。
治療せずに放置するリスク

歯に突起ができていることに気づいたとき、治療せずに放置しているとどのようなリスクが生じるのか解説します。
噛み合わせ面に突起ができていると、突起部分に力がかかりやすくなります。
そのため、食事などの際に突起部分が割れたり折れたりすることがあるでしょう。
実は、突起部分の内側には神経が通っていることが珍しくありません。
そのため、破損すると神経が露出し、痛みを感じやすくなるでしょう。
特に、硬い食べ物を噛んだときなどは破損するリスクも高まるため、注意しなくてはいけません。
神経が露出すると痛みを感じやすくなるだけでなく、細菌に感染して炎症を起こしたり、壊死したりするリスクがあるため、注意が必要です。
突起があると噛み合わせのバランスが崩れてしまいます。
そのため、全体的な噛み合わせが合わなくなる状態を引き起こす可能性があるのです。
噛み合わせの不良は、長期的に見ると顎関節に過度のストレスをかけます。
そのため、慢性的な痛みを引き起こす原因になるかもしれません。
また、突起があるために、顎にかかる負担が均一ではなくなります。
顎の一部にばかり負担がかかることから、顎関節症などの疾患につながるかもしれません。
さらに、既述したとおり、突起が歯を磨くとき邪魔になることもあります。
その場合、すみずみまできれいに磨けなくなり、歯垢や食べ物の残留物が溜まりやすくなるでしょう。
きちんと噛めなくなると突起物の周りに汚れが残りやすくなるため、虫歯のリスクが高まってしまいます。
中心結節の治療方法
中心結節ができた場合は放置せずに治療しましょう。
その場合、どのような治療方法があるのか説明します。
治療法の1つが、補強です。
レジンという硬質のプラスチック素材で突起部分を覆い、補強して折れにくくします。
突起を保護することで噛む力から歯を守り、中心結節が折れないようにするために行われる治療です。
ちなみに、レジンは保険診療で使われる歯科用プラスチックであり、白い素材であるため見た目の違和感が少なくなります。
中心結節ができたときに、少しずつ突起を削って無くしていく治療を行うこともあります。
ただ、この方法は神経を傷つけないようにしなくてはならないため、一気に削ることはできません。
一度削ったら数カ月おいて再び削るということを繰り返しながら、調整を重ねて削り落とす必要があります。
神経の様子を確認するためにレントゲン撮影を何度か行いつつ、状態を把握しながら削らなくてはなりません。
歯にできる突起は中心結節以外にもあり、種類によって治療方法が異なります。
たとえば、他の形態異常であるカラベリ結節は、上の歯の奥歯にできることが多い小さな突起のことです。
直接的な問題を起こすことはめったにありませんが、歯磨きの際に邪魔になることがあり、虫歯のリスクが高くなる点が問題です。
カラベリ結節は、歯科医院で定期検診を受けて異常がないか確認してもらったり、整えてもらったりすることで虫歯のリスクを抑制できるでしょう。
ほかに、主に舌の歯の奥歯の外側にできることが多い臼旁結節という結節もあります。
臼旁結節ができたとしても、基本的には大きな問題にはならないでしょう。
しかし、歯磨きが不十分だと結節の周囲に歯垢が溜まりやすくなるため、注意してください。
レジンを使用して突起部分を保護したり、少しずつ削って小さくしたりする方法で治療します。
切歯結節と呼ばれる、上顎の切歯に現れる小さな隆起も歯にできる突起の一つです。
特に上顎中央切歯に見られることがよくあります。
あまりにひどい場合には、発音が不明瞭になることもありますが、ほとんどの場合は、できても特段の問題を引き起こさないでしょう。
切歯結節は、他の種類の結節の治療方法と同様に、形を整える処置や削る処置を行うのが基本的な治療方法です。
犬歯結節は、上顎や下顎の犬歯に形成される小さな突起です。
通常、犬歯の形状は長く尖っていて、噛み合わせの役割を担っています。
しかし、異常が生じると歯全体のバランスが崩れることがあるのです。
他の歯や口腔内のトラブルを引き起こす可能性がある場合には、他の結節と同様に、周りを補強したり少しずつ削っていったりすることで治療を行います。
まとめ
中心結節は第一小臼歯や第二小臼歯にできることが多い突起のことで、噛み合わせや歯の機能に影響を与える可能性があり、神経が壊死する原因になることもあります。
治療せずに放置していると破損の可能性があります。
突起の中には神経が通っていることが多いため、破損すると神経が露出して痛みを感じたり、壊死したりするかもしれません。
治療の際は、多くの場合、少しずつ削っていったり周囲をレジンで囲んだりします。
他の結節についても、同様の治療を行います。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


