日常生活の中で、口の中が乾いていたりねばついていたりする人は少なくないかもしれません。
「大した問題ではない」「そんなに気にすることはない」などと思うかもしれませんが、しょっちゅう口の乾燥やねばつきを感じるようなら、注意が必要です。
実はドライマウス（口腔乾燥症）の症状という可能性がありま。
ドライマウスとはどのようなものでしょうか？
具体的な症状や対処方法について、解説します。
ドライマウス（口腔乾燥症）とは？
口の中が乾きやすいと感じた場合はドライマウス（口腔乾燥症）かもしれません。
ドライマウスになると、どのような症状が出るのでしょうか？
主な症状は、名前の通り口の中が乾燥することで、口の中が通常よりも乾いている場合はすべて当てはまります。
口内が乾いた状態を「気にする必要はない」と考えるのは、禁物です。
なぜなら、口臭を引き起こす可能性があるからです。
口内が乾燥しているということは、唾液が少ないということを意味します。
唾液には、口内を洗い流す自浄作用としての働きもあるため、食べかすをある程度洗い流します。
その唾液が少ないと、食べかすが洗い流せずに溜まっていき、エサにする嫌気性菌が増殖して口臭の原因となるのです。
よって、唾液の分泌を促すことは口臭防止につながるのです。
口内の乾燥が、舌の痛みを引き起こすこともあります。
舌痛症と呼ばれる、痛みで咀嚼や嚥下などに障害が出ることもある病気です。
もしも舌がひび割れたようになっている場合は、舌痛症の原因が口内の乾燥である可能性が高いでしょう。
口内が乾燥していると、口内に付着した食べかすをエサにして細菌が増えていき、歯には虫歯や歯周病の原因となるプラークが付着します。
このように、唾液が不足していると歯や歯茎の健康も損なってしまうのです。
唾液には粘膜を保護する働きもあるため、口内が乾燥してしまうと口内炎ができやすくなります。
また、乾燥によって舌の表面の味蕾が味を感じにくくなると、味覚障害を引き起こすでしょう。
味覚が鈍くなると味付けが濃くなりやすいため、高血圧の原因になるかもしれません。
唾液が不足していると食べ物が飲み込みづらくなるため、摂食嚥下障害が起こることもあるでしょう。
栄養の摂取量が減少するだけでなく、飲み込んだときに気管支や肺に入ってしまい誤嚥性肺炎が起こることもあります。
何が原因で乾燥する？
口内の乾燥には、いくつかの原因があります。
まず挙げられるのが、過度のストレスや緊張による自律神経の乱れです。
仕事やプライベートなど、日常生活のさまざまな場面でストレスを受けることがあります。
ストレスを受けていると、水分が少なくねばついた唾液が分泌されやすくなるのです。
また、加齢が原因になることもあります。
特に70歳を過ぎると、口内の乾燥が悪化しやすくなることがあるのです。
高齢になるに従い、水分摂取を控えるケースが多いというのも、原因の１つであるといわれています。
食事の際にきちんと噛まずに食べることが、原因になるケースもあります。
きちんと噛んで食べないと、唾液の分泌量が減少して口内も乾燥しがちになるでしょう。
歯が減ると噛む回数が減る傾向があります。
歯が減っていなくても、柔らかい食品ばかり食べていると噛む回数が減りがちです。
それほど噛まずに食べることができるため、顎の筋肉が衰えてしまいます。
口呼吸の習慣がある場合も乾燥の原因になります。
口内の水分が失われて乾燥しやすくなるため、鼻呼吸に改善した方がよいでしょう。
喫煙の習慣も口内の乾燥を引き起こします。
なぜなら、タバコに含まれるニコチンによって血流が悪くなり、唾液も分泌されにくくなるからです。
口内の乾燥を防ぐ意味でも、できるだけ禁煙しましょう。
アルコールや薬の副作用によって口内が乾燥するケースもあります。
そのため、口内が乾燥しやすい方はアルコールを控えたり、薬の種類を変えたりするとよいでしょう。
糖尿病やシェーグレン症候群などの病気にかかっている場合も口内が乾燥やすくなるため、病院で診断された場合はきちんと治療を受けてください、
糖尿病になると、血中からブドウ糖を排出するために水分を排出しようと、頻尿や口内の乾燥などの症状が表れてしまいます。
シェーグレン症候群は自己免疫疾患の１つで、本来病原体を攻撃する免疫システムが、誤って涙腺や唾液腺を攻撃して壊してしまうのです。
ドライマウスの予防や対策
口内が乾燥しやすくなってドライマウスが疑われる場合、ある程度は自分で予防や対策ができます。
そもそも乾燥によって起こる症状であるため、水分をしっかりと摂取できれば症状もある程度改善されるでしょう。
食べ物にも、ドライマウスの改善に役立つものがあります。
例えばレモンやはちみつのような酸味が強い食べ物は、唾液の分泌を促してくれるのです。
「酸っぱいものは避けたい」という人は、昆布茶など旨味が強く、唾液の分泌を促してくれるものでも効果があります。
唾液の質を高めるために、摂取する食べ物を工夫しましょう。
チーズをはじめとした乳製品やキムチなどの発酵食品、食物繊維が豊富なサツマイモなどを積極的に摂取するのがおすすめです。
乳製品や発酵食品には善玉菌の乳酸菌が含まれているため、口内の悪玉菌を抑制できます。
また、腸内環境を整える役割もあるため、体の免疫力を高めて唾液の質を向上させることにもつながるのです。
口内の乾燥が明らかである場合や寝る前に予防ケアをする場合には、口の粘膜に植物性の油を塗ることで乾燥を防止できます。
保湿成分が含まれる薬品を配合したうがい薬などの使用も、乾燥防止に役立つでしょう。
白虎加人参湯や五苓散、麦門冬湯、加味逍遙散といった漢方薬を服用することでも、ドライマウスを改善できます。
ただし、適した漢方薬は原因や症状によって違いがあるため、服用する前にまずは専門家に相談しましょう。
唾液腺を刺激するのも有効です。
頬骨の下の耳側にある下関や耳たぶの後ろにある翳風などは、耳下腺を刺激して唾液の分泌を促進します。
頬車という、下顎の骨の角と耳たぶの下の中間にあるツボは、顎下腺という唾液腺の刺激に効果的です。
睡眠時に自然と口呼吸になっていると口腔内が乾燥しやすいため、鼻呼吸を促すテープを活用しましょう。
専用のテープも市販されていますが、口にテープを縦に貼って眠るだけでも効果があるため一度試してみてください。
個人で行う対策には限界があるため、さまざまな対策を行っても改善されない場合には、歯科医院や口腔外科で検査を受けることをおすすめします。
なお、ドライマウスを検査するときは、唾液量検査などいくつかの検査が必要となります。
どのような検査を行うのかというと、まずはサクソンテストという、ガーゼを２分間噛んで重量の差を測定することで唾液量を計測する方法が挙げられます。
唾液量の目安としては2g以上で、不足している場合は、唾液の分泌量に異常があって少ないと判断されるのです。
ガムを噛んで分泌された唾液の量を測るテストもあります。
ちなみに、シェーグレン症候群の場合、基準量は10mlです。
他に、下唇から小唾液腺を摘出して検査する口唇唾液腺生検や、血液検査などを必要に応じて行うことがあります。
まとめ
口内が乾燥しやすい場合はドライマウスの可能性があります。
乾燥が続くと口内では細菌が増えやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクが高まってしまうのです。
ドライマウスは、ストレスや加齢による唾液の分泌量の減少や、口呼吸によって唾液が蒸発するなど、さまざまな原因があるのです。
自分でも食事内容に気を配るなどの予防や対策を行うことはできますが、改善しない場合には歯科医院を受診してください。
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