矯正治療に使用する矯正装置にはいくつかの種類があります。
マルチブラケットも、代表的な矯正装置の1つです。
歯にブラケットという装置を装着してワイヤーによって歯を移動させる方法で、多くの症例に対応しています。
今回は、マルチブラケットで歯が動く原因について解説します。
マルチブラケットで歯が動く仕組み
矯正治療で使用する矯正装置にはさまざまな種類があります。
中でも多くの症例に対応できる装置がマルチブラケットです。
マルチブラケットは歯の表面、もしくは裏面に、ブラケットという金属やセラミック、樹脂でできたパーツを装着し、ワイヤーを通すことで固定して歯を動かします。
ブラケットには溝があり、ワイヤーを通して固定することで歯に圧力をかけ、目的とする場所まで動かしていくのです。
そもそも矯正治療はマルチブラケットを使用したワイヤー矯正が始まりで、100年以上前から使用されています。
ほとんどの症例に対応できる治療方法で確実性が高いため、他の矯正装置よりもマルチブラケットの方が適しているケースも多いのです。
マルチブラケットには、メタルブラケット、クリアブラケット、リンガルブラケットの3種類があります。
メタルブラケットは最も一般的なもので、矯正治療といえばこれをイメージする人も多いでしょう。
歯に装着するブラケットが金属でできていて、頑丈である反面、目立ちます。
クリアブラケットは樹脂やセラミックでできたブラケットで、白や透明であることから、歯に着けてもあまり目立ちません。
歯の裏側にブラケットを装着する方法をリンガルブラケットや裏側矯正といいます。
表面には何もないため最も目立ちにくい方法です。
マルチブラケットによる矯正治療を受ける場合には、1ヶ月から1ヶ月半おきに通院する必要があることに留意してください。
歯並びを改善するだけでなく、噛み合わせを整えるための治療にも適しているのがマルチブラケットです。
既述したとおり、マルチブラケットによる矯正治療では、歯の表面にブラケットを接着し、ワイヤーを通すことで歯に力を加えて動かしていきます。
とはいっても、単に動かすのではなく、歯を支える歯槽骨という骨の新陳代謝を利用するのです。
歯は歯槽骨に埋まるようにして支えられていますが、間には歯根膜という歯根部分を覆う膜状の組織があり、歯にかかる噛んだときの力を吸収・分散します。
歯根膜にはクッションのような役割があり、矯正治療の際は特に重要な働きがあるのです。
マルチブラケットによる矯正治療によって歯根膜に力が加わると、力が加わった方の歯根膜が収縮し、反対側では伸びます。
収縮した方の歯根膜では、破骨細胞の働きによって歯槽骨が吸収され、反対側では骨芽細胞の働きで歯槽骨が再生します。
歯槽骨が一方で吸収され、もう一方で再生することで一定の厚さが保たれるという仕組みを利用し、歯を動かしていくのです。
マルチブラケットによる矯正治療は、さまざまな不正咬合の改善にも有効です。
歯冠や歯根の傾斜移動や回転、低位歯や高位歯の修正、歯体移動などを改善します。
また、傾いた歯をまっすぐにして歯列のバランスを整えることが可能です。
隣の歯とぶつかってねじれている歯も、回転させて正しい位置へと移動させることができます。
さらに、歯が低い位置にあれば押し上げ、高い位置にある場合は押し下げて、高さを調整可能です。
特に、歯根の傾斜移動や歯体移動などはマウスピース矯正では難しいため、マルチブラケットでの矯正治療が必要です。
歯並びや噛み合わせの細かい調整が可能なので、マルチブラケットであれば幅広い症例に対応できます。
マルチブラケットのメリットとデメリット

マルチブラケットとは、歯に装着するブラケットと歯を動かすためのワイヤーによる矯正装置全般のことをいいます。
マルチブラケットは装着する場所の違いを基準として分けることも可能です。
一般的なマルチブラケットによる矯正治療では、歯の表側にブラケットやワイヤーを装着します。
しかし、一部の症例では、歯の裏側にブラケットやワイヤーを装着するリンガルブラケットも選択可能です。
リンガルブラケットなら矯正装置はそれほど目立ちませんが、発音に影響が生じたり、装着中に違和感があったりするでしょう。
加えて、費用が高額になることが問題です。
歯だけリンガルブラケットで、下の歯には表側に装着するハーフリンガルという矯正治療にする、という選択肢もあります。
また、素材の違いによって種類を分けることもあります。
一般的にブラケットは金属でできていますが、セラミックや樹脂などにすれば、装着していても目立ちにくいでしょう。
ワイヤーも通常の銀色ではなく白く塗ることで目立ちにくくなります。
そのため、目立たず治療したい場合は一度相談してください。
なお、ブラケットに適したワイヤーが外れないようにゴムで固定しますが、カラーゴムというカラフルなものにすることも可能です。
マルチブラケットを矯正装置として選択する理由として、歯の動かし方が根本から異なるため、多くの症例に適応しているという点が挙げられます。
額間ゴムやパワーチェーン、太さが異なるワイヤーなどの装置を使用して歯を精密に移動させられるため、理想の歯並びを目指せるのです。
マルチブラケットは基本的な矯正治療の装置であるため、多くの歯科医師が対応できます。
引っ越した場合でも、他の歯科医院で治療を引き継ぐことが可能です。
しかし、自力では装置を外せないうえに、装着していると目立つのはデメリットといえます。
硬いものや粘着するものを食べたときは、矯正装置が破損する可能性もあるため、避けなければなりません。
矯正装置には食べ物が絡みつきやすいため、食後の歯磨きは普段より念入りに行いましょう。
装置と歯の隙間に食べ物が入った場合には虫歯の原因となるため、早期の対応が必要です。
矯正装置を装着していることで痛みや違和感が生じることもあり、口内の粘膜とぶつかって口内炎の原因となることもあるのです。
マルチブラケットの矯正治療の進め方
マルチブラケットによって矯正治療を行う場合の流れを解説します。
まずは初診で現在の歯並びの問題点を相談し、精密検査を行って正確な歯の位置や原因を確認することになるでしょう。
虫歯や歯周病の有無も確認し、問題なければブラケットを装着して治療を行っていきます。
装着後は定期的に歯科医院を受診し、適宜調整してもらわなければなりません。
一定期間が過ぎて歯が理想的な位置まで動いたら治療は完了しますが、しばらくは保定が必要です。
ブラケットを装着してから治療が終わるまでおおよそ2~3年ほどかかります。
さらに、治療後に保定装置を着け、1~2年は保定を行わなければなりません。
まとめ
マルチブラケットとは歯にブラケットという装置を装着し、ワイヤーを通すことで歯に圧力をかけて動かす矯正治療の方法です。
歯の根元を覆う歯根膜が、伸び縮みしながら歯槽骨の吸収と再生を繰り返すことで、歯を徐々に動かしていきます。
マルチブラケットは100年以上前からある矯正治療で、多くの症例に対応可能です。
ただし、金属製で目立つことがあるため注意してください。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


