矯正治療を受ける際は抜歯が必要になるケースがあります。
しかし、抜歯に抵抗があり、「できればしたくない」と思う人もいるでしょう。
抜歯は治療を簡単にするために行うわけではありません。
将来のお口の健康を考え、必要だと判断するからこそ行います。
矯正治療で抜歯をする目的とは何なのか、解説します。
矯正治療で抜歯が必要な理由
矯正治療を受けるために歯科医院で診断を受けた際に、歯並びを整えるのに抜歯が必要だといわれるケースがあります。
矯正治療では、必ずしも抜歯が必要となるわけではありません。
しかし、中には歯を抜かなければ矯正治療ができないケースもあります。
抜歯に対し抵抗がある人もいるでしょう。
しかし、相応の理由があって、抜歯が必要との判断を下しているのです。
まず挙げられるのが、顎の大きさと歯の大きさのバランスが悪いケースです。
顎の大きさは歯の大きさとは関係なく成長します。
そのため、歯が大きいにもかかわらず、顎の成長が不十分なケースも珍しくありません。
顎の骨が小さいと、すべての歯がきれいに並ぶためのスペースが不足します。
歯は上下で14本ずつ生えますが、もしも並ぶスペースが13本分しかなかった場合にはどうなるでしょうか?
1本分のスペースが不足していても歯は生えますが、きれいな状態にはなりません。
重なり合った状態で生えてきたり、歯列が乱れてしまったりします。
そんな状態で抜歯をせずに矯正治療を行っても、噛み合わせは整わず、将来、歯茎が下がる恐れがあります。
歯並びをきちんと整えられないと、矯正治療の本来の目的を果たせないため、行う意味がありません。
矯正治療で抜歯が必要になることが多いのが、噛み合わせの正常化を目的とするケースです。
特に噛み合わせが悪いケースとして挙げられるのは、いわゆる出っ歯の上顎前突や、受け口とも呼ばれる下顎前突などですが、どちらも歯並びのみならず、骨格にも原因があるケースがみられます。
骨格に原因がある場合には、矯正治療だけで改善を図るのは困難です。
歯並びが原因の場合には、前に出ている歯を後ろに下げることで、きれいに整えられます。
歯並びから押し出されるように前方へ飛び出した前歯を後ろへ押し込める必要がありますが、そのためには、移動先のスペースを増やさなければなりません。
このスペースを確保するために、抜歯を行います。
特に大人の場合、子どもとは違って顎の骨を成長させることはできないため、抜歯を選択するしかないのです。
また、歯を抜かずに矯正治療を行った場合に、顎の骨にズレが生じるケースも、抜歯が必要となります。
歯が並ぶスペースが不足した状態で歯並びを整えようとすると、顎の骨が押し出されて口元が前方に出る可能性があるからです。
理想的な横顔のラインとされるEラインよりも前に顎が出るため、矯正前よりも見た目が悪化します。
抜歯は避けない方が良い?

抜歯が必要だといわれても、「できれば抜歯せずに矯正治療をしたい」と希望する人もいるでしょう。
矯正治療には、非抜歯矯正という歯を抜かない矯正治療もあります。
しかし、非抜歯矯正には限界があり、全てのケースには対応できません。
非抜歯矯正が対応できるのは、抜歯しなくても歯並びを整えられるケースに限られます。
そのため、歯並びによってはどうしても抜歯を避けられないことがあるのです。
非抜歯矯正では、歯列を広げる、歯を少し削る、奥歯を後方へ移動させるなどの方法により、移動に必要なスペースを作ります。
子どもの矯正治療であれば、歯列を広げるのは比較的簡単です。
しかし、骨格が完成している大人になってからでは、顎を広げようとしても効果が出にくいでしょう。
歯を削る方法はディスキングといい、ほんの少ししか削りません。
そのため、数ミリ程度の隙間しか作れず、大きなスペースが必要な場合には不向きです。
奥歯の後方移動は矯正治療の中でも難易度が高く、親知らずなどがあるとできないケースもあります。
以上のとおり、非抜歯矯正で対応可能ないずれの方法も、抜歯した場合と比べて確保できるスペースは非常に限られます。
したがって、歯並びが少しだけ乱れている場合のみ対応可能です。
歯科医師の立場からみても、矯正治療を行う際の抜歯はできるだけ避けたいものです。
しかし、これまで書いたとおり、抜歯しなければ期待した効果が得られなかったり、むしろ悪化したりするケースもあります。
無計画に抜歯を勧めているわけではなく、良好な結果を得るためにはどうしても避けられないからこそ、提案しているのです。
以上のとおり、歯並びを理想的な状態にしたうえで、治療後の安定性を維持するために、抜歯が欠かせないケースもあります。
抜歯をしなければ、矯正治療を受けても思うような効果が得られないかもしれません。
歯科医師が専門的な見地から導き出した判断が、理想的な歯並びへの近道になるでしょう。
具体的な抜歯の方法
虫歯の場合、治療が困難になるほど感染が進み、保存できないと判断した歯を抜きます。
つまり、悪くなった歯を抜きますが、矯正治療の場合はそうではなく、健康な歯を抜歯します。
矯正治療で抜歯するときの判断材料となるのが、抜いても噛み合わせや歯の機能に大きな影響を及ぼさないか否かです。
個人差はあるものの、多くの場合は第一大臼歯か第二大臼歯、犬歯の奥かさらに奥の歯を抜歯することになります。
小臼歯は大臼歯よりも機能面での影響が少ないうえに、他と比べて抜きやすく、位置的にもちょうどいいところにある歯です。
ただし、親知らずが生えていてスペースを圧迫している場合には、まず親知らずの抜歯を考えます。
また、矯正治療を行ううえで、小臼歯以上にちょうどいいスペースとなる歯があれば、そちらを抜歯することになるでしょう。
抜歯の際は、口内の状態を念入りに確認したうえで抜く歯を決定し、処置後に腫れや炎症が起こらないよう十分に注意を払います。
抜いたときの痛みは、通常は数時間程度で治まります。
ただし、親知らずを抜いた場合には、痛みが数日続くこともあるでしょう。
抜歯の直後は歯茎に空洞ができますが、数週間で塞がるため、過度に心配する必要はありません。
また、治療中は歯の間に隙間ができることもありますが、時間の経過とともにバランスがとれて全体の歯並びが整います。
抜歯によって歯や歯茎に過度な負荷がかからなくなり、歯並びもきれいに整えられます。
抜歯後の歯並びを基に最適な噛み合わせを調整するため、将来的な口内トラブルや顔の歪みを防止できるのです。
既述したとおり、抜く必要があるのに抜かないで治療すると、どうしても無理が生じます。
抜かないことが正しいのではなく、抜く必要がある場合には抜き、影響を最小限にとどめることが正しい矯正治療です。
抜歯を提案された場合には、その必要性がよく理解できるまで歯科医師に話を聞くことをおすすめします。
後悔しないためにも、十分に納得したうえで矯正治療を受けましょう。
まとめ
矯正治療で抜歯を提案されることがありますが、安易に勧めているわけではありません。
お口の健康と理想的な歯並びの両立には不可欠だと判断した結果、提案しているのです。
上顎前突や下顎前突などの歯並びを矯正する場合や、歯と顎の大きさのバランスが合わない場合、矯正治療を行うことで骨にズレが生じる場合などに抜歯を行います。
主に、機能や噛み合わせに与える影響が最も少ない小臼歯を抜歯しますが、より適した歯があれば、そちらを選択します。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


