歯並びがよくないと、日々の食事や会話などにおいて不便に感じる場面があります。
見た目も気になり、歯科クリニックで矯正治療を受けようと考える方もいるでしょう。
矯正治療は日々進化していて、従来の治療の欠点は少しずつカバーされています。
今回は、光加速矯正治療(プレシジョン矯正)について解説します。
目次
光加速矯正治療(プレシジョン矯正)の概要
光加速矯正治療とは、プレシジョン矯正とも呼ばれる最新の矯正治療法です。
赤外線ランプに似た近赤外線の光を使用し、矯正治療を行います。
光加速矯正治療では、赤外線ランプを用いて歯根周辺の骨や組織に直接エネルギーを送ります。
こうすることで組織が光エネルギーを吸収し、化学エネルギーに変換するのです。
その働きが細胞への刺激につながり、骨や軟部組織の再生と歯の動きが加速されるという仕組みです。
ちなみに、光加速矯正治療で使用する装置には2つの種類があります。
一つはオルソヒーリングと呼ばれるものです。
オルソヒーリングのみを使用する場合、矯正期間をこれまでの半分以下に短縮できます。
もう一つは、バイブアジャストメントというものです。
オルソヒーリングとバイブアジャストメントを併用すると、さらに治療期間は短くなります。
光技術を使用した治療自体は、他の医療においてはすでに採用済です。
例えば、痛みの緩和やシワの除去、増毛といった効果について知られています。
最近ではガン治療や心臓発作の減少といった医療分野でも活用されるようになりました。
以上のことから分かるとおり、高い実績と治療効果が認められた技術だということです。
こちらを矯正治療に採り入れたのが、光加速矯正治療です。
光加速矯正治療(プレシジョン矯正)のメリット
光加速矯正治療の主なメリットは以下の通りです。
・矯正期間が短い ・痛みが少ない ・自宅で使用できる ・多くの矯正治療で併用できる |
各メリットの詳細を説明します。
矯正期間が短い
光加速矯正治療の一番のメリットは、矯正期間が短いという点です。
赤外線が照射された歯周組織は、血流が増加します。
血流の増加により個々の細胞が活性化することで、歯の移動を従来よりも速めます。
また、硬い骨に埋まっている歯を移動させるには、歯周組織のリモデリングが不可欠です。
リモデリングとは、新しくつくり変えることを指します。
矯正治療は歯が移動するたびに前方の骨が溶け、後方に新たな骨がつくられます。
これらを何度も繰り返すことにより、硬い骨に埋まった歯でも移動させられるのです。
従来の矯正治療の場合、リモデリングのサイクルは決して早くありません。
光加速矯正治療には、歯根膜や歯槽骨のリモデリングを速める効果があります。
痛みが少ない
光加速矯正治療のメリットの一つが、矯正期間中に感じる痛みの少なさです。
従来の矯正治療では、歯が動き始めるタイミングで痛みが出るケースがありました。
時間経過によって痛みは緩和されますが、それまでの間に強い痛みとなって現れることもあります。
またワイヤー矯正の場合は、矯正器具を付けるときに痛みが生じることがあります。
歯が動くことにより生じる痛みだけでなく、歯の後ろ側から突出したワイヤーが粘膜を傷付けてしまい、痛みを感じるケースもあるのです。
一方、光加速矯正治療は従来の矯正治療のような痛みが生じにくい点が大きな特長です。
光加速矯正治療では、低光量の近赤外線を照射した治療が行われます。
照射される光には、炎症を抑え、痛みを軽減する作用があります。
ゆえに、歯の移動や器具の刺激などに伴う痛みが少なく、痛みに敏感な方にとっては大きなメリットになるでしょう。
自宅で使用できる
光加速矯正治療には、自宅で簡単に使用できるというメリットもあります。
なぜなら、光加速矯正治療で使用する装置は持ち運び可能であるからです。
近赤外線を使用した矯正治療と聞くと、院内での治療を想像する方もいるでしょう。
イメージとしては、オフィスホワイトニングを行う際の光照射のような治療です。
しかし、光加速矯正治療ではポータブルの装置を使用します。
歯科クリニック内で大がかりな機器を用いて行うものではありません。
使用方法も簡単かつ手軽で、1日8分間口にくわえるだけです。
上下の顎で各4分程度使用することで、矯正効果が得られます。
さらに、光加速矯正治療で使用する装置は、自宅で好きな時間に装着することが可能です。
そのため、テレビを観賞するなど、くつろぎながら使用できます。
常に鏡の前に立って行う必要はなく、時間に余裕がない方でも治療を継続しやすいでしょう。
多くの矯正治療で併用できる
多くの矯正治療で併用できるところも、光加速矯正治療のメリットです。
前述した通り、光加速矯正装置は口に加えて歯に光を照射するだけで使用可能です。
そのため、他の矯正治療と併用し、矯正効果を高める目的で用いられます。
例えば、審美性が高いインビザラインとの併用は特にメリットが大きいです。
インビザラインはマウスピース矯正が無色透明のため、ほとんど目立ちません。
また食事の際には取り外すことができ、痛みが少なく使用しやすいです。
ただし、インビザラインの場合、不正咬合が比較的軽度なケースに向いているため、歯の移動が大きいケースでは治療が難しい可能性があることが難点です。
しかし、光加速矯正治療を併用すれば、デメリットをカバーできる可能性があります。
光加速矯正治療は、ワイヤー矯正との併用にも対応しています。
ただし振動を与えるバイブアジャストメントは、ワイヤー矯正との併用はできません。
光加速矯正治療がおすすめの人
前述したメリットを踏まえると、光加速矯正治療は以下のような方に向いています。
・なるべく早く矯正治療を終わらせたい ・何年も矯正器具を装着したくない ・矯正していることがばれたくない ・痛い治療を受けたくない |
光加速矯正治療を受ければ、治療期間を従来の半分以下に抑えられる可能性があります。
矯正治療期間中は何かと不便な点が出てくるため、期間の短縮により得られるメリットは大きいです。
また、光加速矯正治療は固定式の器具を併用しなければ、矯正治療中であると周りにばれることがありません。
光を照射するのは自宅であるため、友人や同僚などの目を気にせず使用できます。
ちなみに、過去矯正治療で痛みを感じたことがある方にもおすすめです。
ほぼ痛みなく受けられる矯正治療は、ストレスフリーで今までの矯正治療のイメージを大きく変えるでしょう。
光加速矯正治療(プレシジョン矯正)の注意点
光加速矯正治療は、残念ながら健康保険の対象外です。
場合によっては、数十万円~百万円前後の治療費がかかります。
そもそも、矯正治療は保険適用外になります。
なぜなら、病気やケガを治すものではなく、審美的な目的で行われるからです。
つまり他の矯正治療を併用する場合には、2つの治療が自由診療になるということです。
経済的な余裕がない方にとっては大きな負担となるため、デメリットです。
ただし、歯科クリニックによっては、月々数千円の分割払いができることもあります。
光加速矯正治療は、患者さんの状況によっては継続しにくいものになることに注意が必要です。
自宅に帰れない状態が頻発する場合には、継続が難しいでしょう。
なぜなら、光加速矯正治療は毎日自宅に帰宅できる環境で行うことを前提としているからです。
前述した通り、光加速矯正治療は1日8分口にくわえるだけの簡単な治療であり、自宅で行います。
しかし、航空会社に勤務する方など、数日に1回しか帰宅できない仕事をしている場合には、正しい使用方法や頻度を継続することが困難です。
まとめ
新しい矯正治療である光加速矯正治療には、数多くのメリットがあります。
光加速矯正治療で歯並びが改善すれば、コンプレックスの解消や発音の良化にもつながるだけでなく、虫歯や歯周病のリスクも軽減されます。
興味がある方は、取り扱いのある歯科クリニックに相談してみましょう。
東京都品川区五反田周辺で歯科治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。