日常生活をいきなり脅かす災害は、いくら備えをしていても十分とは言えず、タイミング次第では準備が途切れてしまっていることもあるでしょう。
特に備えておくのが難しいものとしてオーラルケアがあるのですが、災害時や避難時には歯の病気が起こりやすくなるのです。
どのような病気が起こりやすいのか、解説します。
災害時に起こりやすい歯の病気は?
大きな災害が起こり、避難を余儀なくされるような事態になるとまず不足してしまうのが水で、普段は気軽に手に入る水が貴重なものとなってしまうのです。
水は生きていくために最も重要なものであり、さらに毎日の生活でもトイレ、お風呂、歯磨き、洗顔と大量に使用しています。
いきなり水が足りなくなった場合、飲料水を確保することが第一となるため、歯磨きに使用できる水の量は限られてしまうでしょう。
日本人のほとんどが生涯で1度は歯周病になるといわれているのですが、原因となる細菌は一度歯を磨かずに寝ただけで大幅に増殖してしまいます。
歯周病菌が増えてしまうと、影響は口内に留まらず肺に入り込んで肺炎の原因になったり、心臓病などの原因となったりすることもあるのです。
特に、高齢者は抵抗力が弱っているため肺炎を起こす可能性が高く、悪化すると命を落としてしまうかもしれません。
災害が起こったときは、口内のことが後回しになってしまうかもしれませんが、命に係わることもあるのです。
災害によって避難しているときは余裕がなく、歯磨きの心配をするのは後回しになってしまうことも多いと思います。
しかし、口の中では様々な病気が起こる可能性があり、口から肺につながっているため肺炎のリスクも増すことになるのです。
集団生活を余儀なくされる避難所での生活は、風邪などの感染症が流行しやすいのですが、歯磨きができなければさらに発症リスクが高くなります。
口内に常在している細菌の中には、粘膜を保護するたんぱく質を破壊してしまう性質を持つ者もいるのです。
歯磨きをしなければ最近は増殖し、喉の粘膜も破壊されて正常に機能しなくなるため、風邪やインフルエンザになるリスクも高くなってしまいます。
歯の病気以外にも糖尿病、高血圧になるというリスクもあるのですが、一見するとお口の衛生状態と糖尿病や高血圧は無関係のように見えるでしょう。
しかし、口の病気である歯周病は糖尿病と高血圧を悪化させるおそれがあることが指摘されています。
糖尿病と歯周病にはどのような関係があるのかというと、まず歯周病菌が歯ぐきの血管の中に入り、血液に混ざって全身を駆け巡っていくのです。
血液に侵入した歯周病菌は血糖をコントロールしているインスリンの働きをさまたげてしまうため、糖尿病の症状が悪化していきます。
高血圧と歯周病との関係は、まず歯周病菌が歯ぐきの血管の中に入り、血液に混ざって全身を駆け巡っていくのです。
血管内に侵入した歯周病菌が血管の内壁に炎症を起こし、炎症が起きた血管の内壁が動脈硬化をおこして血圧が高くなることで心筋梗塞や脳梗塞を発症するリスクが上がります。
歯の病気といえば代表的なものが虫歯で、避難生活では歯磨きができない状況が続く上、決まった時間に食事をとることも難しいでしょう。
食事が十分でない場合は栄養を摂取することを最優先に考えることとなるため、間食が増えて口内が不潔になってしまうこともあります。
不規則な時間に間食をすることが増えると口内が不衛生な状態になりやすく、虫歯にかかるリスクが上がってしまうのです。
災害時にできるオーラルケア
災害が起こったときはなかなか十分なオーラルケアができなくなるのですが、どうにかケアをするとしたらどのようにして行えばいいのか、解説します。
まず、歯ブラシがないときのオーラルケアの方法としては、何か食事をした後に30mlほどの少量の水か無糖のお茶で口をゆすぐのが効果的です。
避難所で生活しているときは生活物資が十分にそろっていない可能性があるため、歯ブラシも手に入らない可能性があります。
また、歯の表面に付着している汚れはこすれば落ちることが多いため、ティッシュやハンカチでぬぐうようにして取るという方法も効果的です。
また、水が少ないときにブラッシングする場合は、まず30ml程度の水をコップに用意してください。
用意した水で歯ブラシを濡らしたら歯磨きをして、歯ブラシが汚れてきたらティッシュペーパーやウェットティッシュなどを使って歯ブラシの汚れをふき取るのです。
汚れを落としながら歯磨きを続けていき、最後にコップの水をお口に含んで口の中をゆすいだら、歯磨きを終了します。
水をお口に含むときには1度に全部使うのではなく、2、3回に分けてすすいだ方がよりお口の中を綺麗にできるでしょう。
また、うがい薬、洗口液、液体ハミガキなどがある場合には使用してブラッシングをすると、より効果的に口内の衛生状態を保てるようになります。
唾液の分泌も重要
口の中で分泌される唾液には、お口の中の汚れを落とす自浄作用や、歯を虫歯から守る再石灰化を促進する働きがあるのです。
災害が起こってしまうと水の入手先は限られるため、水分補給をこまめに行い、鼻呼吸をして乾燥を防ぎましょう。
また、あごの付け根部分を指でもむようにマッサージしたり温めたりすることで唾液腺が刺激され、唾液が分泌されやすくなるでしょう。
さらに、キシリトールなど砂糖を含まないガムを噛むことも、唾液の分泌を促すのに効果があります。
普段、当たり前のように行っている行為も災害が起こるとできなくなることが多くなります。
面倒だったり手間が惜しかったりするなどの理由でさぼることも多い歯磨きですが、歯磨きができるというのは当たり前ではないのです。
災害が起こって避難生活を送ることになった場合、普段歯磨きが当たり前にできていたことがのに今はできなくなって悲しくなる可能性もあるでしょう。
自分自身がもし災害に遭ったときのことを思えば、ふつうに歯を磨ける、ということがどれだけありがたいことなのかを認識できるようになります。
今後は、頭の片隅で常に災害時にどのような方法でオーラルケアをするのかを意識しながら歯磨きを行うことを心がけましょう。
災害が起こる前はきちんと磨くことができるので、日ごろのブラッシングを通して万が一のときに備えておくべきでしょう。
災害が起こってから虫歯になってしまってもすぐに治療を受けることはできないため、より一層注意が必要となります。
歯をきれいにしておくだけではなく、歯質を強化して虫歯になりにくい歯にしておくというのも備えとして有効でしょう。
まとめ
災害が起こったとき、避難所生活を余儀なくされることも珍しくないのですが、避難所では歯を磨くための歯ブラシや水が不足しがちとなり、歯の病気になるかもしれません。
特に多いのは虫歯と歯周病で、歯磨きができずに口内の細菌が増殖してしまうことが原因で発症してしまうので、口内をなるべく清潔に保つ必要があるのです。
水や歯ブラシがないときのオーラルケアの方法については、事前に確認しておくことをおすすめします。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。