歯を失ったとき、原因が加齢や病気であれば仕方がないものとして諦め、放置する方もいるかもしれません。
しかし、たった1本であっても歯がない状態は、食事が不便になるだけではなく全身の健康にも影響が出てしまうことがあるため、放置は禁物です。
この状態を改善するにはインプラント治療がおすすめです。
実は、インプラント治療はオーラルフレイル予防にも最適ですが、それがどうしてなのかを解説します。
オーラルフレイルとは?
高齢者が虚弱になることをフレイルといいます。
フレイルの前段階といわれているのが口内の機能が弱るオーラルフレイルです。
食べ物を噛んだり飲み込んだりする力や明瞭な発音などは口腔機能によるものですが、加齢によって衰えるとうまく機能しなくなってしまいます。
機能が衰えると、食べこぼしが増えてしまったりうまく飲み込めずむせやすくなったり、会話をするときに活舌が悪くなったりするのです。
口腔機能が低下しているのに放置していると、全身が衰えるきっかけになってしまうこともあるため、早めの対策が必要となります。
特に、噛む力が低下すると栄養が不足して体力の低下にもつながり、さらに認知症や寝たきりになるリスクも症状してしまうため、軽視することはできません。
歯を失った場合は特にオーラルフレイルが進む原因となります。
この治療方法とし特に有効とされているのが、インプラント治療です。
インプラントは顎の骨にインプラント体を埋入して固定するため、他の治療方法と比べて天然歯に近い強さで噛むことができ、機能的な差があまり生じません。
硬いものもしっかりと噛めるため、食事をする際にあまりストレスを感じることはなく、バランスよく栄養を摂取できます。
よく噛めないまま食事をするとストレスが溜まってしまうでしょう。
しっかり噛めるようになればストレスが軽減されて食欲や生活意欲の向上につながるのです。
しっかりと噛むことができれば脳に刺激が与えられます。
その結果、脳の機能を保つことができ認知機能も維持しやすくなるのです。
さらにインプラント治療は、周囲の歯への影響がほとんどないという点もメリットといえます。
残った歯を削ったり負担をかけたりすることがないため、口内全体の健康を維持しやすいのです。
以上のとおり、歯を失ったときの治療としてインプラントを選択した場合には、噛む機能を維持することができてオーラルフレイルを防ぐことにもつながります。
噛むことは認知症リスクにどう影響する?
噛む力の低下と認知症リスクの上昇との関連について、研究結果から指摘されることがあります。
以前行われた研究結果によれば、奥歯で噛む機能が低下すると認知機能も低下しやすいということが判明しました。
歯を失っても治療を受けないままでいると、脳の中の重要な部位が委縮しやすくなってしまうということも報告されています。
2018年に行われた大規模な調査の結果でも、歯が少なくなればなるほど認知症になりやすいということが分かっているのです。
歯が10本以下になってしまうと、20本以上の歯がある人よりも認知症のリスクが2倍近くになってしまうといわれています。
また、歯がほとんど残っていない状態になったのに何の治療もしてい場合にも、認知症になるリスクが大幅に上がってしまうのです。
裏を返せば、何らかの理由で歯を失った場合は、きちんと治療をすることで、認知症の発症リスクを低減できる可能性があるということになります。
実際、先述の研究でも噛めるかどうかが脳の健康に深く関係していると結論付けられているのです。
以上のように、噛む力の維持は認知症予防の観点からも重要であり、インプラント治療が適しています。
きちんと噛んで食事ができるようなら、食生活が満足のいくものとなり、将来的には認知機能の低下を防ぐことにもつながるのです。
ちなみに、日本では「80歳で20本以上自分の歯を保つ」ことを目標とした8020(ハチマルニイマル)運動というものがあり、多くの人が取り組んでいます。
20本の歯を確保し続けることは、健康寿命に直結するのだということが多くの人の認識となっているからです。
実際、2016年の調査では80歳で2人に1人は自分の歯が20本以上あるという結果になっており、平均本数もかなり増えています。
インプラント治療を受けることが歯を多く残すことにもつながり、健やかな老後を支える大きな力となるでしょう。
噛むことが健康にどう影響する?
しっかり噛めるということは、食事が楽しくなるだけでなく、全身の健康を維持することにも関係します。
歯が欠けたままだったり、うまく噛めない状態が続いたりしていると、さまざまな悪影響が生じる可能性があるのです。
噛むことで脳に刺激が伝わって活性化され、認知機能の維持に役立つとされているため、認知症のリスクを下げることにつながります。
反対に噛む機能が低下すると、脳の海馬や前頭葉への刺激が減り、記憶力や判断力の低下につながる恐れがあるのです。
噛みにくくなると、どうしても柔らかい食品を選びがちになり、麺類や柔らかいパン、甘いお菓子などに偏ってしまいます。
野菜や肉類など栄養価の高い食品を避けてしまうことがあるため、タンパク質やビタミン・ミネラルが不足し、筋力低下や免疫力の低下を招く可能性があるのです。
歯が抜けたままだったりうまく噛めなかったりすると、口内が見えるのを嫌がって人前では口を開けづらくなります。
人によっては、誰かと会うことを避けてしまうケースもあるでしょう。
歯がないところを人に見られたくないという理由から人との関わりを減らしてしまうと、ストレスが溜まり、結果的に心身の健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
噛む力や飲み込む力が衰えると、食べ物や唾液を誤って気道に飲み込んでしまう誤嚥が起こる可能性が高まります。
誤嚥によって起こる肺炎を誤嚥性肺炎といい、高齢者の重篤な健康問題になっているのです。
誤嚥性肺炎は日本人の死因の6位と上位に位置しているため、十分に気を付けなくてはなりません。
噛んだり飲み込んだりする口の機能を維持していれば、命に関わるさまざまなリスクを軽減することにもつながります。
しっかりと噛むことが難しい状態になると、食事が不便になるのはもちろん、全身の健康リスクにもなり得るでしょう。
インプラント治療を受けることでしっかりと噛むことができるようになり、栄養状態が改善されて健康寿命を延ばすことにもつながります。
しっかりと噛むことができれば、オーラルフレイルを防止して全身のフレイルも防ぐことができるため、インプラント治療は重要なのです。
また、食事の選択肢が豊富になる分、人生の楽しみが増えて、充実した毎日を送ることができるでしょう。
高齢になってからインプラント治療を受けることは決して無駄にならないため、歯を失ったときの治療方法としておすすめです。
まとめ
オーラルフレイルは全身のフレイルにもつながるため、その兆候が見られるようになった際はなるべく早く対処する必要があります。
高齢になってから歯を失うと認知症の発症リスクを高めることにもつながるため、歯を失ったときは放置せずインプラント治療を受けるのがおすすめです。
インプラントは噛む力が天然歯と遜色ないため、噛む機能を失わず、オーラルフレイルの予防にもなります。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。