インプラント治療を行うにあたって、歯ぎしりや食いしばりの癖があると治療を受けるのが難しいといわれています。
インプラントにとっては大きなリスクとなってしまうため、敵といわれることもあるのですが、治療は可能なのでしょうか?
治療が可能かどうか、どのような治療方法が適しているのかを解説します。
歯ぎしりや食いしばりの癖があっても治療は可能?
インプラント治療を検討している人の中には、歯ぎしりや食いしばりの癖がある人もいるでしょう。
これらの癖がある場合、インプラント治療ができないという話を聞いたことがあるかもしれません。
心当たりがあると「治療ができない可能性があるのでは?」「インプラント以外の治療法を選択するしかないの?」と不安に思うかもしれませんが、実はインプラント治療を受けることはできます。
インプラントは天然歯と違ってクッションとなる歯根膜がないため、強い力がかかったときに逃がすことはできないでしょう。
歯ぎしりや食いしばりのように過剰な力がかかってしまうと、上部構造の破損やインプラント体を傷つけてしまう可能性があります。
だからといってインプラント治療ができないというわけではありません。
事前にわかっていれば、影響を抑える設計や適切な補助装置を使用して治療できるからです。
歯ぎしりや食いしばりの習慣があることを正しく診断し、治療計画に反映させることが重要となります。
無意識に続けてかかる力には特に注意が必要で、意識がない睡眠中などに大きな力が毎日のようにかかると、インプラントはかなりのダメージを受けてしまうでしょう。
上部構造が割れるだけなら交換できますが、インプラントを支える骨に炎症が発生し、支えが緩んでしまうこともあります。
また、周囲の歯が影響を受けて天然歯とのバランスが崩れてしまう事例も報告されています。
そのため、インプラント治療では全体のバランスを見る必要があるのです。
インプラント治療ができないと判断するのではなく、長く快適に使うにはどうしたらいいのかを考えなければなりません。
歯にかかる圧力を複数本のインプラントに分散したり、特定の歯に負荷が集中しないよう設計したりすることで対応が可能です。
インプラントを埋入してから受けるメンテナンスも重要で、定期的に噛み合わせを調整したり生活習慣の見直しをしたりすることで、長期的に安定させることができます。
「歯ぎしりをしてしまうから」「無意識に歯を食いしばってしまうから」とインプラント治療を諦めるのではなく、一度専門の歯科医に相談してみてはいかがでしょうか?
歯ぎしりや食いしばりに弱いのはなぜ?
歯を失ったときの治療方法としてインプラントが人気なのは、天然歯と見た目や機能が近いからという理由があります。
ただし、大きく異なる点もあることに留意が必要です。
最も大きな違いは歯根膜の有無で、天然歯にはクッションの役割を持つ歯根膜がある一方、インプラントにはありません。
強い力がかかったとき、歯根膜があれば力を適度に分散し吸収する働きがありますが、インプラントの場合は直接本体や周囲に伝わってしまいます。
とりわけ、歯ぎしりや食いしばりの癖があると無意識に長時間歯に強い力をかけ続けてしまうため、インプラントにかかる負担が大きくなってしまうのです。
天然歯ならそれほど問題ありませんが、インプラントにはしなやかさがないためダメージがかなり深刻なものになってしまいます。
上下の歯が正しい位置からズレた状態で歯ぎしりや食いしばりをして、強く接触することもあります。
本来とは異なる噛み合わせが続くと特定の歯にだけ異常な力が集中してかかることで、セラミックが割れたりインプラント体が脱落したりすることもあるのです。
歯ぎしりや食いしばりが習慣になっている場合は頬や舌などにも力が入りやすくなり、噛み合わせも変化してしまうことがあります。
インプラントは一度埋入すると微調整が難しいため、噛み合わせが変化すると対応できなくなって不具合を起こしやすくなるのです。
インプラントの寿命には噛む力のコントロールが大きく影響し、無意識に強い力がかかるとインプラントの周囲の骨には小さなダメージが蓄積していきます。
蓄積したダメージはインプラント周囲炎を引き起こす原因にもなり、骨吸収が進行してインプラントの脱落につながる可能性もあるでしょう。
咬合力を考慮しないで設計したり素材の選び方が不適切だったりすると数年以内にトラブルが発生することも多いため、計画の中できちんと対応策を講じておきましょう。
噛む力を自分でコントロールできない場合には、歯科医と連携して治療を進めることで安全な治療が可能です。
歯ぎしりをしていても治療をするには
歯ぎしりや食いしばりなど、歯に大きな負担をかける癖がある場合でも適切に対策することでインプラント治療を受けられます。
ポイントとなるのは治療前の精密検査と力の分散設計で、歯ぎしりによって奥歯を失った人でも治療を受けることが可能です。
治療を進める際は、噛み合わせの状態や咬合力の強さ、顎関節の動きなどを詳細にチェックして、CTによって骨の状態もしっかりと確認します。
強い咬合力が一部の歯列にだけ集中しているようなら、通常よりも太いインプラントを複数本使用して噛む力を分散することも大切です。
また、就寝中に歯ぎしりのダメージを軽減するためにナイトガードを装着するという選択肢もあります。
定期検診も重要です。
3ヶ月おきに受診し、噛み合わせのズレやインプラント周囲炎などのリスクをチェックする必要があるでしょう。
インプラントを長期的に安定して使用するには、歯科的な対策以外に生活習慣の改善も必要となります。
日中に食いしばりをしているようであれば気付くためのトレーニングを行いましょう。
ストレスも歯ぎしりの原因になることがあるため、就寝前にリラックスして、ストレスをためないように空いた時間は趣味に取り組むなど、気分転換ができるよう工夫してください。
歯科医に治療してもらうだけではなく、患者さんも積極的に治療へと取り組む必要があると認識することが、治療を成功させるための大きな要因となります。
ただインプラントを埋入して終わりということではなく、今後はインプラントと一緒に暮らしていくのだと認識しなければなりません。
歯ぎしりや食いしばりの癖があっても、インプラント治療を受けることを諦めなくてもいいのです。
適切な診断を受けて予防策を講じ、信頼できる歯科医院で一貫したサポートを受けるようにすれば、十分成功する可能性があります。
「自分は治療を受けても無駄になるかもしれない」と思っている場合でも、専門医に相談すれば成功事例も少なからずあり、自分に該当するかもしれません。
インプラント治療を希望するのであれば、「きっと無理だ」と思い込まず、専門医にきちんと相談したうえで問題点を明らかにし、対策すれば治療が可能となります。
まとめ
インプラント治療を受けるうえで歯ぎしりや食いしばりの癖があると治療ができないといわれることもありますが、実際には治療ができる事例もあります。
治療を成功させるには、歯にかかる負担を軽減することが大切なので、ナイトガードなどを使用しましょう。
メンテナンスもきちんと受けて、歯科医の注意をしっかり守ることで、インプラントの寿命も伸ばすことが可能です。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。