口内の健康状態をチェックするときに欠かせないのが歯周ポケットです。
深さが歯周病の進行度合いを示すバロメーターとなっています。
しかし、「どのくらい深いと問題とみなされるの?」「歯周病と判断される深さはどれくらい?」など疑問を抱く人もいるでしょう。
今回は、歯周ポケットと歯周病の進行との関係について解説します。
歯周ポケットの深さと歯の健康状態
歯の生え際と歯肉との間にできる溝のことを歯周ポケットといいます。
健康な状態では浅いため、内部に汚れや細菌はあまり溜まりません。
しかし、歯周病になった場合は、悪化するほど溝が深くなっていき、内部では細菌が増殖してしまいます。
増殖した細菌は、歯肉をはじめとした歯周組織に炎症を起こして破壊していきます。
進行すると、歯は支えを失い抜けてしまうこともあるのです。
なぜ歯周ポケットの深さが歯の健康を示すバロメーターになるのかというと、炎症と歯周ポケットの深さとの間に関係があることが理由です。
歯茎に炎症が起こった場合、歯周ポケットの深さから進度を判断します。
歯周病の初期段階では歯茎が腫れたり出血したりするようになり、歯周組織が弱ってくると、歯周ポケットが深くなっていきます。
どのくらい深くなっているのかを確認することで、炎症がどの程度進んでいるのか、進行度合いが判断可能です。
歯周病が進行すると、歯を支える歯槽骨という顎の骨が徐々に溶かされていきます。
骨が溶けるほど溝も深くなっていくのです。
また、歯周ポケットが深くなると奥まで酸素が届きにくくなるため、酸素を嫌う嫌気性菌が増殖しやすくなります。
歯周病の原因菌も嫌気性菌であるため、歯周病が悪化しやすくなり、歯周ポケットはさらに深くなっていくという悪循環に陥ってしまうのです。
歯周病の治療方針は歯周ポケットの深さによって異なります。
クリーニング、歯石除去、あるいは外科処置など必要な治療を、歯周ポケットの深さから判断するのです。
歯周ポケットの深さは単なる数値ではありません。
深さによって歯茎や骨がどのような状態かがわかるようになっているのです。
深さが何ミリあれば歯周病?
歯周ポケットの深さを測定する際は、専用のプローブという器具を使用します。
ここからは、深さによる違いについて解説します。
深さが2mm以下であれば健康な状態です。
したがって、炎症や出血などもほとんどみられることはないでしょう。
毎日の食後・就寝前の歯磨きや、定期的な歯科医院でのクリーニングのみであっても、健康な状態を維持するのは難しくありません。
深さが3~4mmほどになると軽度の歯周病の可能性があります。
歯茎には軽度の炎症が起こっているでしょう。
歯を磨いたときに出血することはありますが、骨はまだ破壊されていないか少しだけ破壊された状態です。
この段階では、正しくセルフケアをしていれば改善されるケースもあります。
深さが5~6mmに達している場合は中度の歯周病となっていて、歯を支える歯槽骨が吸収され始め、歯がぐらついてくる状態です。
歯茎には腫れが見られて出血することも多くなります。
口臭も悪化していることが多く、専門的な治療を受けなければなりません。
深さが7mm以上になると重度の歯周病です。
歯槽骨はかなり破壊が進み、歯も大きく動くようになっているでしょう。
痛みが生じたり膿が出てきたりすることもあります。
中には抜歯が必要となるケースもあるため、早急に専門的な治療を始めることをおすすめします。
以上が深さと歯周病の進度との関係です。
ただし、例外となるケースもあるため、注意してください。
たとえ歯周ポケットが浅くても、出血したり膿が出たりしているようなら歯周病の可能性があります。
歯茎には問題がなくても骨が破壊されて吸収されている可能性もあるため、検査は定期的に受けなくてはいけません。
歯周病は自覚症状が少ないため、深さだけで判断するのではなくきちんと歯科医院で検査を受け、歯科医に診断してもらうことが大切です。
歯周ポケットの深さは歯周病のバロメーター
口内には多くの細菌が棲息していますが、好気性菌と嫌気性菌の2つに大別できます。
簡単にいえば、空気、特に酸素のあるところが好きか嫌いかで分かれているのです。
歯周病の原因となる細菌はいくつかの種類がありますが、基本的に嫌気性菌です。
したがって、酸素があるところは好みません。
隠れて増殖するというイメージが強いため、歯石の内部など空気が届きにくいところで増えていきやすい傾向があります。
また、歯茎の中も空気があまり届かないため、嫌気性菌が好む環境です。
奥に行けば行くほど空気が入ってきにくいため、歯周病の原因菌にとっては快適で、歯周ポケットを深くしていきます。
なお、昔より歯周ポケットが深くなった場合に「加齢のせいで深くなった」と考える人もいるかもしれませんが、加齢によって深くなることはありません。
あくまで歯周病が進行したことで深くなっているのです。
加齢によって免疫力が低下し、歯周病が悪化しやすくなったという理由はあるかもしれませんが、たとえ20代でもきちんと歯磨きができなければ歯周病になります。
年齢にかかわらず、きちんと治療しなければ悪化して歯周ポケットもだんだん深くなっていくため、加齢が直接的に関係するとはいえないのです。
歯周病になる年代で多いのは30~40代です。
そのため、30歳を過ぎたら一度歯科検診を受けてみて、歯周病になっていないか確認することをおすすめします。
歯周病検査を受けた場合は、歯周ポケットの深さを測定することで歯周病の状態を確認するほか、いくつかの検査を行います。
歯周ポケット以外で確認するのは、歯の動揺度です。
歯がどのくらい動くかを確認し、歯周病が進行していないかを調べます。
歯は通常でも少しだけ動きますが、歯周病が悪化すると動く幅が大きくなってしまいます。
なぜなら、歯周病が進行すると歯を支える歯槽骨が溶かされてしまうからです。
歯槽骨が歯を支えられなくなった結果、以前よりも歯が動くようになります。
歯の動揺度についての評価は、動く度合いと方向によって4段階に分かれているため、動く方向が多いほど悪化しているといえるでしょう。
レントゲン検査も行い、歯を支える歯槽骨の量を調べて骨がどれだけ溶かされているかで歯周病の進行度合いを確認します。
溶かされている範囲が大きいほど歯周病が進行していることになるため、歯槽骨の量が少なくなっている場合には、早急に治療を受ける必要があるでしょう。
なお、歯周ポケットが深くなること自体が歯周病のきっかけになるというわけではありません。
あくまで、歯周病という病気の症状の中でも特に特徴的ということです。
歯科医院で歯周ポケットが深くなっているといわれた場合には、なるべく早く歯周病治療を受けましょう。
歯周病の治療は、症状が悪化するほど完治するまでに時間がかかるため、なるべく早く始めるに越したことはありません。
まとめ
歯の根元にできる歯茎の溝のことを歯周ポケットといい、歯周病の進行に伴い悪化していきます。
悪化するのは、歯周病が進行することで歯を支える歯槽骨が破壊されてしまうことが原因です。
歯槽骨が破壊されるほど、歯周ポケットは深くなります。
歯周ポケットの深さについては、歯科医院で定期的に検査を受けて調べましょう。
同時に検診やクリーニングなども受けることが大切です。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。