暑い日が続くと、ペットボトルの飲み物を飲む機会が増えます。
何気なく飲むペットボトル飲料ですが、「ペットボトル症候群」という言葉を聞いたことはあるでしょうか?
甘い飲み物の過剰摂取によって起こるもので、血糖値が急上昇し、さまざまな症状が表れます。
今回は、ペットボトル症候群について詳しく解説します。
ペットボトル症候群とは?
暑い日が続く夏は、熱中症を防ぐために塩分、水分を十分に摂取しなければなりません。
そのため、外出先でペットボトル飲料を飲むことも多いでしょう。
ペットボトル飲料を飲む機会が増加するのは避けられないかもしれませんが、飲みすぎるとペットボトル症候群になる恐れがあるため、注意が必要です。
清涼飲料水ケトーシスともいい、ペットボトルの飲み物すべてが対象となるのではなく、清涼飲料水、特に糖分が含まれているものが対象です。
糖分を多く含む清涼飲料水を短時間で大量に摂取することで、急性の代謝異常が引き起こされてしまうことをいいます。
血糖値が急激に上昇し、ケトン体という物質が体内で産生されるなど多岐に渡る症状が表れるのです。
聖マリアンナ医科大学から1992年に報告されて、当時普及が進んで手軽に入手できたペットボトルの名が付けられ、広く知られるようになりました。
血糖値は、通常の食事でも上昇します。
脾臓からインスリンというホルモンが分泌されてコントロールしているのです。
しかし、大量の糖分が含まれた飲み物を短時間のうちに飲んでしまうと、いくつかの問題が生じ、悪循環に陥ることがあります。
まず挙げられるのが、血糖値の急上昇です。
大量の糖分がまとめて体内に入ってくると、血糖値が急激に上昇し、インスリンの分泌が追い付かなくなるため、インスリンが相対的に不足します。
エネルギーが不足すると、産生されるのがケトン体です。
脂肪が分解されて産生されるケトン体は蓄積するとさまざまな症状を引き起こします。
ペットボトル症候群が発症しやすい人の特徴として、清涼飲料水を日常的に多く摂取しやすい30代以下の若年層があてはまります。
また、家族の中に糖尿病の病歴がある人がいる場合、遺伝的にインスリンの働きが弱い可能性があるため発症しやすいでしょう。
肥満傾向の方はインスリン抵抗性が高い傾向があるため発症のリスクが高い傾向があります。
さらに、ストレスが多い方もストレスホルモンが血糖値を上昇させるために発症しやすく、注意が必要です。
運動不足の方は糖の消費量が少ないため、体内に蓄積される糖が増えて血糖値が上昇しやすくなるでしょう。
歯科とどのような関係がある?
ペットボトル症候群は歯科と直接関係ないように思えるかもしれませんが、実は無関係ではありません。
ペットボトル症候群は糖分が含まれている清涼飲料水を多量に飲むことで起こる病気です。
ペットボトル飲料は、一気に飲むのではなく、ある程度時間をかけて飲むことが多いでしょう。
特に子どもはだらだらと飲み続けることが多いため、虫歯になるリスクが増大してしまいます。
糖分が含まれるペットボトル飲料を時間をかけて飲んでいると、口内は長時間糖分が付着した状態になってしまうでしょう。
虫歯の原因菌は糖分を餌にして酸を産生し、唾液がそれを中和しています。
しかし、酸の産出が頻繁になると中和が間に合わず、歯の表面が溶かされてしまうのです。
スポーツドリンクや乳酸菌飲料、野菜ジュースなどは健康的に思えるかもしれません。
しかし、大量の糖分が含まれていることもあるため、注意が必要です。
飲み物を選ぶ際は、糖分がどれくらい入っているのか成分表示をしっかりと確認しましょう。
また、ペットボトル症候群は糖尿病になるリスクが高いのが特徴です。
糖尿病になると炎症に弱くなるため、歯周病になるリスクも高まります。
症状の進行が早くなって重症化しやすくなり、歯周病によって糖尿病の血糖管理も難しくなってしうでしょう。
また、歯茎に炎症が起こると血糖コントロールが悪化し、糖尿病のリスクも高まって互いに悪影響となってしまうのも問題です。
診断と検査、治療の方法
医療機関でペットボトル症候群の診断を受ける場合には、いくつかの点を確認して総合的に判断します。
問診で確認するのは、清涼飲料水をどのくらい飲んでいるのか、症状が出てからどのように変化しているか、家族に糖尿病の人がいるかなどです。
血液検査も行い、血糖値やケトン体の測定、血液ガスの分析、電解質バランスなどを確認していくことになるでしょう。
尿検査では、尿糖と尿ケトン体について確認し、検査結果と問診の結果から判断することになります。
医療機関を受診する前に、いくつかの点を自宅でチェックしてみると発症の可能性について判断できるでしょう。
喉の渇きやトイレの回数、疲れやすさ、食欲、体重の減少、甘い飲み物を1日に1L以上飲んでいるかという点もチェックしましょう。
3つ以上当てはまるようなら発症している可能性が高いため、なるべく早く医療機関を受診して確認しましょう。
発症していると診断された場合、症状の程度に応じて異なる治療が必要となり、治療にかかる期間も異なります。
軽症であれば清涼飲料水を飲まないようにして、水やお茶で水分補給をするようにしながら経過観察を行うことになるでしょう。
中等度になると、点滴によって水分や電解質を補給する必要があり、血糖値が高いようならインスリンを投与することもあります。
自宅では管理が難しいようであれば、入院の可能性もあるため、注意が必要です。
症状が改善した回復期も食事療法が必要となるため、糖分が多く含まれている飲食物は制限しなくてはいけません。
糖質に偏りすぎず、食物繊維もしっかり摂取できるバランスの取れた食事にして、規則正しい食事時間を守り生活習慣を改善する必要があるでしょう。
適度に運動をして睡眠は十分にとり、ストレスが溜まり過ぎないよう管理しつつ定期的な経過観察をしていきましょう。
ペットボトル症候群を予防したいのであれば、飲み物は水が最も理想的です。
他にもお茶類やコーヒー、炭酸水などで砂糖が含まれていないものを選んでください。
また、注意が必要な飲み物として、人工甘味料を使用しているゼロカロリー飲料や、野菜ジュース、スムージーなどが挙げられます。
水分補給の方法にもコツがあり、一度に大量ではなく、コップ1杯程度の少量を定期的に少しずつ摂取してください。
また、大量に汗をかいたときは塩分も一緒に補給する必要があります。
飲み物の温度は冷たすぎると胃腸に負担となるかもしれないため常温が良いでしょう。
飲むタイミングも重要で、食後30分以上経ってから飲んでください。
生活習慣の改善ポイントとして重要なのは、1日3食規則正しく食べることや野菜を中心としたバランスの良い食事です。
食物繊維を多く含む食品を摂取して、間食は控えめにしつつ運動する習慣も確立させましょう。
週3回以上の有酸素運動、1回30分程度のウォーキング、筋力トレーニングの併用も行い、階段の利用などで日常生活でも運動量を増加させるといいでしょう。
ストレス管理も重要です。
十分な睡眠時間を確保し趣味やリラックスタイムなども決めておき、深呼吸や瞑想などのリラクゼーション法も覚えておきましょう。
まとめ
ペットボトルに入った清涼飲料水を多く飲んでいると、含まれている大量の糖分によって血糖値が急上昇してしまい、体調不良の原因となることがあるでしょう。
糖分が含まれる飲み物をだらだら飲んでいると虫歯のリスクが高まり、糖尿病になると歯周病のリスクも高まり悪化しやすくなってしまいます。
糖分が含まれていない清涼飲料水であれば問題はなく、適切な運動やストレスの管理などを行うようにするといいでしょう。
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