風邪をひいたときに歯が痛くなった経験がある人もいるのではないでしょうか?
実は、虫歯や歯周病などの口内の病気以外の原因が歯の痛みを引き起こすこともあるため、風邪とは無関係とはいえません。
風邪と歯の痛みとの間にどのような関係があり、どう対処するべき解説します。
風邪と歯痛にはどのような関係がある?
体の中の組織はお互いに影響しあっています。
したがって、一見するとまったく関係がなさそうな場所でも影響を受けることがあるのです。
たとえば、冒頭で書いた風邪をひいたときに歯が痛むケースです。
体に悪いところがなければ、風邪をひいても歯が痛くなることはありません。
風邪をひくと歯痛が生じる原因として、虫歯などの歯のトラブルの重症化が考えられます。
また、風邪によってほかの場所のトラブルが歯に影響を与えているという可能性もあるでしょう。
原因を大きくまとめると何らかの病気や症状が悪化したことが原因であるため、普段から病院に任せておくだけでなく、セルフケアをして痛みの原因を予防することが大切です。
風邪をひいたとき、虫歯以外で歯が痛くなる原因として考えられるのが、副鼻腔炎です。
鼻風邪の症状が特徴で、鼻の周辺にある副鼻腔に鼻水などが溜まって細菌に感染し、炎症を起こします。
副鼻腔炎になった場合は、極度の鼻づまりや発熱、顔面痛、悪臭の発生などの症状が表れるでしょう。
副鼻腔炎になると、副鼻腔の近くにある歯が影響を受けます。
歯の神経が圧迫されて、痛みが生じるようになるのです。
炎症が起きていなかったとしても、鼻詰まりの状態であれば神経が圧迫されてしまうため、同じように痛みが出てしまいます。
上顎奥歯の歯根の先端に歯根嚢胞という膿が詰まった袋ができ、副鼻腔に膿が広がるケースがあります。
風邪をひいたときに鼻水が出て、鼻腔だけでなく副鼻腔の中にも溜まって炎症の原因になると、歯根嚢胞が激しく痛むようになるのです。
風邪をひくことで免疫力が落ちると、既往の慢性炎症が悪化してしまい、痛みだすこともあります。
風邪による体温上昇や唾液の分泌量の減少によって、細菌の繁殖スピードが速くなってしまうのです。
風邪で悪化しがちな慢性炎症として、まずは歯周病が挙げられます。
細菌が原因となって発生する感染症で、歯茎に炎症を起こし、骨を溶かすこともあり、歯が抜ける原因にもなります。
歯周病にり患した部分は常に細菌と白血球が戦っている状態にありますが、風邪によって免疫力が低下して細菌が優勢になると、歯茎が腫れたり歯痛が起こったりするのです。
歯周病は成人した日本人の約8割がかかっているといわれる国民病です。
歯を失う原因の第1位でもあり、健康に悪影響を及ぼします。
歯周病は自覚症状がなかなか出ないため、気づかずにかかっているケースが珍しくなく、気付いたいときには重症化していることもあるのです。
親知らずが原因で、風邪をひいたときに歯が痛むことがあります。
十分なスペースがないために親知らずがまっすぐ生えてこず、頭だけ中途半端に出ているケースは珍しくありません。
中途半端な生え方をしていると歯磨きのときに歯ブラシが届きにくいため、細菌が増殖しやすくなってしまうでしょう。
細菌が増えると智歯周囲炎になり、風邪を引いて免疫力が落ちた際は炎症が悪化して痛みだしてしまいます。
風邪で起こる歯痛の特徴は?
風邪による歯痛と一般的な歯痛とは、異なる点があります。
具体的にどのような違いがあるのでしょうか?
痛みの原因が風邪の場合、風邪が治るに従い、歯の痛みも薄れてくるため、およそ3日ほどで改善されます。
特に副鼻腔炎が原因で痛みが出ている場合には、顕著であるため実感しやすいでしょう。
副鼻腔炎の場合、治ると歯の痛みは消えます。
風邪が原因で痛みが起こるとき、一本の歯ではなく歯列全体が痛むというケースがよくみられます。
歯痛の原因が虫歯や歯周病であれば、自分でどこが痛いかはっきりと示すことができますが、風邪が原因だと大まかな範囲になってしまうでしょう。
なお、副鼻腔炎などが原因となっている場合、特に奥歯に違和感を覚える方が多いようで、「歯が浮いたような感覚」だと答える人も少なくありません。
風邪が原因で歯痛が起こった場合の対処方法
歯痛と共に風邪の症状もある場合、優先して直すべきなのは風邪です。
風邪が治ることで痛みが消えるようなら、歯科の治療は必要ありません。
副鼻腔炎の場合は耳鼻咽喉科を受診し、炎症を抑えるための抗生物質を処方してもらいましょう。
服薬を1週間ほど続けていれば、症状が改善されます。
放置しているとだんだん悪化して慢性化し、常に副鼻腔に鼻水などが溜まる「蓄膿症」になってしまうため、なるべく早期に治療を受けなければなりません。
風邪が治ってもまだ歯が傷むようであれば、歯の病気を疑いましょう。
風邪は単なるきっかけにすぎず、虫歯や歯周病が重度になっている可能性があります。
特に歯周病は早めの対処が歯の寿命に大きく関わるため、なるべく早く歯科医院を受診してください。
風邪が原因で歯痛が起こっている場合はさまざまな症状があるため、診療経験が多い歯科医でも誤診してしまうことは珍しいことではありません。
虫歯や歯周病だとはっきりわかるようなら治療が必要ですが、検査をしても不明な場合にはレントゲン撮影で原因を探ることになるでしょう。
レントゲン撮影の際に虫歯や歯根嚢胞があると、治療で神経を抜くこともあります。
しかし削った歯は再生することはありません。
また、神経を抜いた歯には栄養が届かなくなり死んでしまいます。
歯が傷む原因がなぜなのか、果たして虫歯なのかどうかをしっかり見極める必要があるため、まずは風邪を治し、痛みがどうなったかを確かめましょう。
普段から歯磨きをはじめとした口腔ケアを怠っておらず、口内に何のトラブルもないようであれば、免疫力が低下しても歯が原因の歯痛は発生しません。
特に歯周病が原因で歯が傷むようなら重度になっているということであるため、歯科医院での診察が必要です。
同時に、普段行っているケアの方法が正しいのかどうか、確認してみましょう。
口内掃除の基本は歯ブラシですが、磨き方に問題があると表面の汚れしか落とせません。
歯磨きは歯と歯茎の間を優しくこするようにし、歯に対して垂直に歯ブラシの毛先が当たるようにしてください。
磨くときはあまり力を入れず、研磨剤の入っていない歯磨き粉を使うといいでしょう。
さらにフロスを使って歯間の掃除も行うことも大切です。
歯磨きによって半分以上の汚れを落とすことができますが、フロスも使用すれば、より多くの汚れを落とせます。
歯磨きの方法が正しいものであることは当然重要ですが、歯ブラシだけでは歯の汚れがきれいに除去できないと覚えておくといいでしょう。
なお、歯のお手入れをしっかり行えるようにするためにも、歯科医院で普段の歯磨きやフロス・歯間ブラシの使い方などを確認してもらうのがおすすめです。
歯科衛生士などの専門家が、口内状態などを踏まえて正しい歯磨きの方法を指導してくれます。
それだけでなく、歯ブラシの選び方についても教えてくれるため、ぜひ活用しましょう。
虫歯や歯周病などの口内トラブルではない原因によって、風邪で歯が痛むのを防ぐには、免疫力アップが肝要です。
免疫力が最も活動するのは人間の体温が37度のときといわれているため、毎日お風呂で温まる習慣をつけ、免疫力アップを期待しましょう。
食事がおろそかになっていると栄養不足から風邪をひきやすくなるため、毎日3食をできるだけ決まった時間に食べてください。
その際は、1日で30品目を目指して食べることが大切です。
さらに、睡眠不足は多くの病気の原因になるため、適切な睡眠時間を確保しなくてはいけません。
まとめ
健康な状態であれば、風邪をひいても歯が痛くなることはほとんどありません。
風邪を引いたときに歯が痛むのは、虫歯以外に副鼻腔炎や歯根嚢胞、慢性炎症である歯周病や智歯周囲炎などが原因と考えられるでしょう。
風邪が原因で歯が痛む場合には、風邪が治れば痛みも治まります。
そのため、無駄な治療をしないよう、まずは風邪を治してから歯の痛みに対処しましょう。
歯磨きをしっかりと行い、免疫力も高めることで風邪や虫歯になるリスクを少しでも減らす必要があるのです。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。