鏡を見たとき、自分の歯が思っていたより長く見えてしまい気になったことがある人もいるでしょう。
歯が伸びたから長くなったわけではなく、歯茎が下がったために隠れていたところが露出したことで長く見えてしまうのです。
歯茎が下がってきたときはどうすればよいのか、解説します。
歯茎が下がったときは治療できる?
歯茎は加齢によって下がってしまいます。
その結果、歯がまるで伸びたように長く見えてしまうことがあり、気になる人もいるでしょう。
「歯茎が下がるのは年をとってからだろう」と考える人もいるかもしれません。
年をとってから歯茎が後退するケースが多いのは事実ですが、若くても下がることがあるため、注意が必要です。
歯茎が下がってきたとき、「仕方がないことだ」と諦める人もいるでしょう。
一方で、「笑顔を作りにくくなるのは困る」「歯が見えないように、食事や笑ったときに毎回口元を隠すのが面倒だ」と考え、治せるものなら治したいと思う人も多くいます。
歯茎が下がった場合、外科手術か手術以外の方法のどちらかで治療が可能です。
「最近歯が長く見えるようになった」と感じている人や、歯の間に黒い隙間ができて気になる人は、歯科医院で相談してみるといいでしょう。
歯茎が下がると見た目が気になるだけでなく、知覚過敏の原因にもなるため、治療するに越したことはありません。
歯がしみるなどの症状に悩む人も、治療によって改善できるでしょう。
ただし、見た目を戻すことに重点を置く場合、注意しなければならない点があります。
それは、治療しても希望通りにならないことがある、ということです。
治療によって見た目がどの程度戻るのか、専門家である歯科医師とよく相談したうえで治療を受けてください。
歯茎が下がった場合の治療方法

歯茎が下がった場合の治療方法は主に3つあり、それぞれダウンタイムや持続時間などに違いがあります。
また、歯科医院によって可能な治療方法も異なるため、事前に確認してから治療を受けてください。
1つ目は根面被覆術で、主に歯の外側の歯茎が退縮した状態を改善する治療方法です。
前歯や犬歯が長くなったように見えるケースや、知覚過敏の症状が表れているケースを改善できます。
自分の上顎から組織を採取して移植することで歯肉を回復させ、歯茎が下がった状態を改善する外科手術が、根面被覆術です。
治療を受けることで見た目が改善されるだけでなく、歯根を覆って保護することができるため、知覚過敏の症状も軽減されます。
治療の効果がおよそ10年以上と長い間続くのもメリットです。
歯肉を回復させることで、歯周病のリスクも抑えられるでしょう。
一方で、人によっては見た目が思ったほど改善されないというケースもあります。
また、手術が難しいため、治療可能な歯科医師が限られることも難点です。
外科手術なので回復に時間がかかり、ダウンタイムはおよそ6~8週間ほど続くでしょう。
さらに、保険が適用されない自由診療となるため、費用もかなり高額になってしまいます。
2つ目の方法はヒアルロン酸注入です。
「手術は痛そうだし、ダウンタイムもあるので避けたい」という人に向いているでしょう。
ヒアルロン酸注入によって、主に歯の間が三角形に黒くなる「ブラックトライアングル」という状態を改善できます。
具体的には、歯の間の歯茎にヒアルロン酸を注入して歯茎を膨らませることで、隙間を埋めて目立たなくするという治療です。
ヒアルロン酸注入は注射1本でできる比較的お手軽な治療で、効果もすぐに実感でき手術なども必要ありません。
しかし、治療の効果が持続する期間はおよそ半年から1年程度と比較的短いことがデメリットです。
そのため、費用と効果、持続時間を理解したうえで検討するといいでしょう。
ちなみに、ヒアルロン酸注入は美容クリニックでよく行われているものですが、一般的な美容クリニックでは歯茎へのヒアルロン酸注入は行っていません。
歯科と美容クリニックが併設されているところや、矯正治療が可能な美容クリニックであれば、歯茎にヒアルロン酸を注入できることがあるでしょう。
反対に、ヒアルロン酸注入を行っていない歯科医院は珍しくないため、事前に確認してください。
3つ目のダイレクトボンディング法という治療方法も、手術を避けたいのであれば選択肢の1つになるでしょう。
ダイレクトボンディング法は、歯科用プラスチック樹脂のコンポジットレジンと細かいセラミックの粒子を混ぜ合わせた、ハイブリッドセラミックで治療を行います。
ただし治療対象となるのは歯茎ではなく歯冠部分であり、主に歯の形を整えて補修するための治療方法です。
ダイレクトボンディングは通常の補綴治療とは異なり、歯に液状となったプラスチック素材を塗り重ねながら、特殊な光を歯に当てて固めることで補修します。
歯茎を直接治療するのではなく、歯に樹脂を塗り重ねて盛り上げることで歯の間の隙間を埋め、ブラックトライアングルを目立たなくする治療方法です。
ダイレクトボンディング法による治療は手術を受ける必要がなく、コストも比較的低いというメリットがあります。
しかし、仕上がりは担当する歯科医によってかなりの差があるため、自然な仕上がりを目指すのであれば、高い技術を持つ歯科医に治療してもらわなければなりません。
自然に仕上がれば、見た目の印象が改善されますが、歪な仕上がりになると、かえって印象が悪化する恐れがあります。
ダイレクトボンディングの場合、素材の変色も問題です。
使用するハイブリッドセラミックというプラスチック素材は、セラミックとは違い、時間が経つにつれ変色してしまうでしょう。
5年ほどで変色するため、次第に見た目が気になる可能性があります。
気になるようなら変色するタイミングでメンテナンスを受けてください。
再生療法は効果がない?
「歯茎が下がった状態を治したい」と、再生療法に興味を持つ人もいるでしょう。
歯茎の再生療法は歯周病治療として用いられる外科手術による治療であり、歯茎下がりにも効果はあります。
歯肉退縮や歯周病によって失われた歯茎や歯槽骨などの歯周組織を再生し、元の健康な状態に戻していく治療方法が再生療法です。
歯肉移植などとは違い、単純に減った歯茎を補うのではなく、歯周組織を再生させることを目的として治療を行います。
しかし、再生療法を受ければ歯茎を完全な状態に再生できるわけではなく、効果は限定的です。
治療を受ける前に抱いていたイメージと、再生治療が完了した後の見た目にはギャップがあるかもしれません。
再生療法には使用する薬剤や治療方法によってエムドゲイン法やGTR法など、いくつかの治療方法があります。
それぞれ異なるアプローチで骨や組織の再生を促進できるものの、いずれも効果には個人差があり、確実に完全な形で再生されるわけではありません。
再生療法にかかるコストも決して安くはないため、費用と効果、手術のリスクなどをよく理解したうえで検討してください。
まとめ
歯茎が下がったために歯が長くなったように見えるのは、歯肉が退縮しているからです。
歯肉の退縮により、ブラックトライアングルという歯の間の根元が黒く見えるケースもあります。
歯茎が下がった状態は、外科手術による移植で改善することが可能です。
ブラックトライアングルはヒアルロン酸注入やダイレクトボンディング法などで改善できるでしょう。
歯茎や歯槽骨を再生させる再生療法でも退縮した歯肉を再生させることは可能ですが、効果には個人差があります。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


