歯並びが悪い場合には、矯正治療によって改善が可能です。
ただし、注意しなければならないことがいくつかあります。
その1つが、矯正治療の途中や治療を受けた後、前歯に隙間ができることがある、ということです。
せっかく歯並びを整えたのに隙間ができては元も子もありません。
どうして隙間ができるのか、その原因と対策について解説します。
矯正治療後に前歯の隙間ができるのはなぜ？
歯並びの悪さを改善しようと矯正治療を受けたにもかかわらず、治療後に前歯に隙間ができることがあります。
治療後に前歯の隙間ができる主な原因となるのが後戻りです。
きちんと後戻りを防止しなければ、隙間が空く可能性が高くなります。
矯正治療によって一度動かした歯は、しばらくの間動きやすくなっているため、後戻りが起こりやすいのです。
これを防ぐためには、歯を動かすための装置を外した後にリテーナーという保定装置を装着しなければなりません。
矯正治療では、正常な歯並びにするだけでなく、噛み合わせも整えます。
ただし、整えた噛み合わせがすぐに馴染むわけではなく、安定するまでは歯が元の位置に戻ろうとしてしまうのです。
特に、噛み合わせのことをあまり意識せずに見た目を整えることを優先した矯正治療では、後戻りが起こりやすくなります。
長い時間をかけて歯並びをきれいにしたにもかかわらず、また歯並びが悪くなって治療を受け直すことになるのは避けたいものです。
しかし、実際には保定装置をきちんと装着せず、前歯に隙間ができてしまったという人は意外と多くいます。
前歯以外に隙間ができることもありますが、前歯は特に目立ちやすいため意識しやすく、症例としても目立つのです。
保定装置を装着する期間は矯正治療と同じくらいとされています。
特に、取り外し可能なマウスピース矯正の場合には、装着を忘れやすいため、注意が必要です。
歯を動かし終わったら治療は終わりというわけではなく、きちんと固定されるまでが矯正治療だということを肝に銘じて、後戻りをしっかりと防ぎましょう。
また、矯正治療を受けて噛み合わせが深くなり、前歯に隙間ができてしまうケースもあります。
噛み合わせが深くなったことで前歯同士が強く当たるようになり、前に押し出されて隙間が空いてしまうのです。
前歯が動くのを防ぐためには、噛み合わせの部分を覆うマウスピース型の保定装置が向いています。
マウスピースなので食いしばりによる歯の摩耗を防止でき、就寝中も装着すれば歯ぎしりも防ぐことができるでしょう。
矯正治療は抜歯を伴うこともあります。
抜歯によって歯を並べるスペースを確保したときにスペースが余ると、歯が移動して隙間ができることがあります。
隙間があると、歯はそれを埋めようと動いてしまうのです。
その結果、歯同士の隙間が広がり、特に前歯が目立ちやすくなります。
歯並びが悪くなった原因が舌癖の場合には、癖が直らなければ本当の意味での改善は望めません。
なぜなら、舌癖によって再び前歯が押し出され、隙間ができる可能性があるからです。
保定装置をしばらく装着していれば、舌癖による隙間の発生をある程度防止できますが、それだけでなく、根本原因である舌癖を改善する努力も必要です。
矯正治療の途中で隙間ができるのはなぜ？
矯正治療がまだ途中であるにもかかわらず、前歯に隙間ができるケースもあります。
例えば、ワイヤー矯正によって歯並びを整えている場合、初期段階で前歯に隙間ができるというケースは珍しくありません。
この場合、歯を動かす途中経過で隙間ができているだけなので、治療を終えるころにはなくなります。
注意しなければならないのが、治療計画では想定していない隙間ができたケースです。
気になった場合には、隙間ができても問題ないのか、歯科医師に質問して必要なら修正してもらいましょう。
叢生と呼ばれる歯の並びがバラバラになっている状態の矯正であれば、歯を動かす際に隙間ができることが多いでしょう。
叢生の治療では、歯が並ぶための場所を確保するべく外側へと動かすため、前歯には隙間ができてしまいます。
しかし、この隙間はあくまでも歯を動かすためにできる一時的なものなので、最終的にはきちんと塞がるでしょう。
矯正治療中にIPRという歯を削ってスペースを作る処置を行ったばかりのときも、前歯に隙間ができやすいタイミングとなります。
歯を削るのはエナメル質だけで、歯の健康には影響がない程度に留まるため、目立つほどの隙間はできませんが、一時的に目立ってしまうことがあるのです。
矯正治療に必要な隙間を開けているだけなので、やはり全体の歯を動かしているうちに隙間は塞がります。
前歯の隙間が空いてきたときは、矯正治療に失敗したかと思うかもしれません。
矯正後の後戻りで隙間ができている場合は、保定装置をきちんと使用していないことが原因です。
特に、かなりひどい叢生の治療を行った場合には後戻りが起こりやすいため、保定をきちんと行わなくてはいけません。
また、舌癖など日常的な癖があるために、前歯に隙間ができてしまうケースもあるでしょう。
いずれにしても矯正治療が失敗したわけではありませんが、早めに対処するためにも、歯科医師に相談してください。
隙間ができるのを防ぐには？
歯は常に動いています。
たとえば、歯ぎしりや食いしばり、頬杖などは、歯に圧力をかけるため、動く原因となるのです。
矯正治療では歯にかなりの力をかけて動かすため、治療を終えた後は支えとなる骨が不安定になり、歯が特に動きやすくなっています。
放置すると、せっかく動かした歯が元の場所に戻ろうとする後戻りが起こりやすくなってしまうでしょう。
治療後に隙間ができるのを防ぐにはどうしたらいいのか解説します。
治療後に歯と歯の間に隙間ができないようにするためには、しっかりと保定装置を使用することが肝要です。
歯の後戻りは保定装置を装着しないことで起こりやすいため、歯科医師の指示どおりに使用してください。
保定装置には固定式のものとマウスピース型の可動式があります。
特に人気があるのがマウスピース型ですが、後戻りの原因になることも多い点が問題です。
マウスピース型が後戻りの原因になりやすいのが、取り外し可能な点にあります。
固定式の保定装置とは違い、食事や歯磨のときに取り外すことが可能です。
そのため、利便性が高くストレスになりにくい反面、一度外したら再装着を忘れて寝てしまったり、着け忘れて外出したりして装着時間が足りなくなることがあります。
「忘れるかもしれない」と不安に思う場合には、最初のうちは固定式の保定装置を使用して、安定してきたらマウスピース型に切り替えるといいでしょう。
また、舌で前歯を押す癖が隙間のできる原因となることも多いため、舌癖を治すことも予防には必要です。
舌を無意識に動かしてしまうため、完治するのは難しいかもしれません。
しかし、舌癖を改善するトレーニングもあるため、歯科医師に相談してみるといいでしょう。
矯正治療を受ける前に、無料でカウンセリングを受けられる歯科医院も多いため、不安がある場合には一度問い合わせてみてください。
まとめ
歯並びを整えるために矯正治療を受けたとき、治療中や治療後に前歯に隙間ができることがありますが、治療中であれば一時的なものです。
治療後にできる場合は後戻りが原因であることが多い傾向があります。
後戻り防止のためにもきちんと保定装置を使用しなければなりません。
隙間ができるのを防ぐためには、舌で前歯を押す舌癖を改善することや歯ぎしり、食いしばり、頬杖などの癖も改善した方が良いでしょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。