日本人のおよそ7割は、歯ぎしりをしたことがあると言われています。
寝ている間に無意識に行ってしまうのですが、歯に負担がかかるため、歯科医院での治療対象となっています。
この歯ぎしりは、インプラントの破損を引き起こす原因にもなっているのです。
歯ぎしりをする人は、インプラント治療が可能なのでしょうか？
歯ぎしりとは？
歯ぎしりは、単に寝ている間に歯をこすり合わせて音が出ているだけ、と思う人は多いのではないでしょうか。
しかし、実はいくつかの種類があるのです。
一般的によく知られている、上下の歯をすり合わせてギリギリと鳴るのは、グラインディングと言われるタイプです。
睡眠中に無意識で行われることが多く、歯や顎、顎関節に負担がかかります。
グラインディングは、寝ている間に症状が現れることが多いため、自覚することは困難です。
家族などから指摘を受けて初めて気づいた、という人も多いのです。
上下の歯を強く食いしばったり、噛みしめたりするタイプはクレンチングと言います。
顎を横に動かすことはないのですが、強い力がかかります。
大きなストレスを感じている時に、症状が現れることが多いタイプです。
起きている時にも無意識に行われるため、噛み合わせ部分の擦り減りや顎のえらの違和感や痛みなどが生じてしまいます。
通常イメージするような音が生じにくいタイプなので、気づかないことも多いのです。
上下の歯をカチカチと鳴らすタイプは、タッピングといいます。
噛み合わせるような動きで、他のタイプと比較して歯や顎にあまり負担がかかりません。
そのため自覚することは少なく、家族などが就寝時の音で気づくことが多いのです。
歯ぎしりをするとインプラント治療はできない？
インプラントは、顎の骨の歯槽骨に人工歯根を埋めて失われた歯の機能を補うというものですが、天然歯にくらべると衝撃への耐性が低いため、インプラント治療は歯ぎしりをする人には不向きと言われています。
その理由として、インプラントには歯根膜が存在していないという点が挙げられます。
インプラントは上部構造の義歯とインプラント体、そしてそれをつなぐアバットメントから形成されているのですが、そこには歯根膜というものが存在していません。
歯根膜とは、天然の歯にある歯周組織です。
歯周組織には歯根膜以外に歯肉、セメント質、歯槽骨があるのですが、このうち歯根膜は天然の歯を覆うように形成されている薄い膜で、歯を衝撃から守るクッションとしての役割があります。
インプラントは、人工歯根と呼ばれるチタン製のインプラント体を歯槽骨に埋入して結合させ、インプラントを支えます。
しかし、天然の歯とは違って歯根膜は存在していません。
そのせいで、インプラントの衝撃にはクッションになるものがないのです。
受けた衝撃を和らげてくれないため、インプラントやそれが結合している歯槽骨等の歯周組織に、直接衝撃が伝わってしまいます。
そうなると、インプラントが破損するリスクも高まり、インプラント周囲炎になってしまうこともあります。
インプラントの周辺の歯肉に炎症が生じるインプラント周囲炎は、進行するとインプラントを支えられなくなり、抜けてしまう可能性もあるのです。
こういった理由から、歯ぎしりをする人がインプラント治療を受けた場合、インプラントの寿命が短くなる可能性が高まります。
そのため、歯ぎしりをする人にとって、インプラント治療は不向きと言われているのです。
では、歯ぎしりをする人がインプラント治療を受けるためにはどうしたらいいのでしょうか？
それには、歯ぎしりへの対処が必要となります。
とはいっても、無意識に行う行為である以上、根本的に改善するのが難しいため、対処療法が中心になります。
その中でも特によく行われるのが、ナイトガードの使用です。
ナイトガードというのは、就寝時に使用するマウスピースのことです。
ゴムやプラスチック製で、装着していても口の中が傷つくことはありません。
しかし、歯ぎしりをしているうちに擦り減っていきます。
平均して１～２年ほど使うことができると言われていますが、負荷が強い場合には２～３カ月ほどで擦り減ってしまい、交換しなければなりません。
擦り減ったまま無理に使うと破損などのリスクもあるので、新たに作り直しましょう。
ナイトガードのお手入れは、歯ブラシでこすり流水で洗い流しましょう。
洗い終わった後は、清潔なタオルなどで水滴をふき取って保管してください。
歯ぎしりはストレスが原因であることも多いため、ストレスを溜めない生活を心がけることも大切です。
まとめ
歯ぎしりは、インプラントに悪影響を与えます。
天然歯にとっても、もちろん良くないのですが、インプラントは天然歯よりも耐性が低く破損の可能性も高くなるため、歯ぎしりをする人にインプラント治療はあまりお勧めできません。
そのため、インプラント治療をするのであれば、同時に歯ぎしりへの対処もしたほうがいいでしょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。