虫歯治療でよく使用されるコンポジットレジンとは歯科用の白いプラスチックであり、歯と非常に近い色合いを再現できる点が強みです。
高度な接着技術により、虫歯だけをピンポイントで削り取った跡を違和感なく修復できるため、現代の歯科治療においては欠かせない存在といえるでしょう。
本記事では、コンポジットレジンが持つメリットやデメリット、実際の治療手順について分かりやすく解説します。
コンポジットレジンとは
現代の歯科医療において、最も頻繁に行われる治療法の1つがコンポジットレジン修復です。
専門的な名称であるため聞き馴染みがない方も多いでしょうが、要するに虫歯治療でおなじみの白い詰め物のことです。
かつて主流だった虫歯治療は、歯を大きく削った上で型取りを行い、銀歯やアマルガム(かつて使われていた水銀を含む金属)といった金属の詰め物を入れる方法が一般的でした。
そのため、どうしても治療跡が悪目立ちしてしまう点が課題となっていたのです。
転機となったのは1970年代以降で、歯科材料工学と接着技術が劇的な進化を遂げたことで、画期的なコンポジットレジンが誕生しました。
見た目の問題を解消できるこの素材は、今や虫歯治療に欠かせない存在であり、前歯や奥歯の修復、経年劣化した銀歯の交換、さらには歯の隙間を埋める審美治療など、その応用範囲は年々拡大しています。
コンポジットレジンのメリットとデメリット
コンポジットレジンが世界中に普及した背景には、従来の金属やセラミックによる型取り治療にはない圧倒的なメリットが存在します。
その最大の長所は治療の跡が周囲からほとんど分からない点であり、歯科医院には数多くの色調のレジンペーストが用意されているのです。
標準的な日本人の歯の色はもちろん、ホワイトニング後の非常に白い歯、加齢に伴い少し黄色みを帯びた歯など、患者一人ひとりの天然歯に調和させられます。
また、現代の歯科医療では「MI(Minimal Intervention=最小限の侵襲)」という、できるだけ本物の歯を削らない、抜かないという思想が基本となっています。
実は銀歯の場合、金属自体が歯に接着しない構造であるため、詰め物が脱落しないよう歯を特定の箱型へと大きく削り取る必要がありました。
そのため、虫歯のない健康な部分まで削らざるを得なかったのです。
しかし、コンポジットレジンには、歯の表面とレジンを化学的にしっかり接着させるボンディング材があります。
悪くなった部分だけをピンポイントで削り取り、いびつな形であってもそのままダイレクトに詰めて治す対応が行えます。
結果としてご自身の歯を最も多く残すことができ、歯の寿命を延ばすことにもつながるでしょう。
さらに、治療期間の短縮に貢献する点も、コンポジットレジンのメリットです。
通常の銀歯やセラミック治療では、虫歯を削った後に型取りを行い、歯科技工所で専門の技工士が作製しなければなりません。
仕上がるまでに最低でも2回以上の通院と、1週間程度の期間が必要となりますが、この素材はお口の中で直接形を作りながら光を当ててその場で固めるため、その日のうちに治療を終えられます。
仮詰めの期間がないことから、治療途中に物が詰まったり歯がしみたりするストレスを感じることもないでしょう。
費用面の負担が小さいのも大きなメリットであり、一般的な虫歯治療なら基本的に保険診療が適用されます。
3割負担であれば窓口での支払いは1歯あたり数千円で済むため、コストパフォーマンスの面でも非常に優秀です。
加えて、コンポジットレジンには金属アレルギーの心配がないことも見逃せないメリットです。
パラジウムやニッケルなどの歯科用金属は経年劣化によって金属イオンが少しずつ溶け出し、金属アレルギーを引き起こすリスクが否定できません。
しかし、完全なメタルフリー素材であるコンポジットレジンを用いれば、体に優しい安全な治療が可能です。
万能に見えるコンポジットレジンですが、メリットばかりではなくいくつかのデメリットも存在します。
まず挙げられるのが変色しやすい点で、吸水性の高い素材という特性上、毎日の食事によって徐々に黄色っぽく変色してくるでしょう。
歯との境目も茶色に染まりやすいほか、素材自体が柔らかいため、毎日の咀嚼によって徐々に表面がすり減っていきます。
強度を高めるために「フィラー」という微粒子が配合されていますが、金属や純粋なセラミックほどの頑丈さはありません。
そのため、強い負荷に耐えきれず、レジンの一部が欠けたり大きく割れたりすることもあるでしょう。
光を浴びて液体から固体へと固まる瞬間に、体積がごくわずかに縮むという性質も、無視できないデメリットです。
歯科医師による適切なコントロールが行われないと、この収縮によって歯とレジンの間にミクロン単位の隙間が生じてしまうことがあります。
わずかな隙間であっても虫歯の原因菌は容易に侵入するため、虫歯の再発を招くリスクを排除できません。
担当する歯科医師の技術力によって治療結果が左右される点も、念頭に置く必要のある注意点です。
技工所で作製する被せ物とは異なり、歯科医師がお口の中で直接歯の形を再現しなければならないため、高い技術と集中力が求められます。
熟練した歯科医師が処置を行えば長持ちしますが、そうでない場合には早い段階で交換が必要になったり、劣化から虫歯が再発したりする可能性が高まってしまうでしょう。
コンポジットレジンの治療概要

コンポジットレジン治療には保険診療と自由診療があり、同じように見える治療でも内容には大きな差が存在します。
どちらも同じレジンを詰める処置ですが、目的や使用する材料、工程の精密さに大幅な違いがあるのです。
保険診療の主な目的は虫歯の除去と最低限の機能回復ですが、自由診療の場合は天然歯と区別がつかない極限の審美性と耐久性を目指します。
このような背景から選べる材料にも違いがあり、保険診療では保険のルールに沿った一般的なレジンを使用しますが、自由診療なら超微粒子ナノフィラーを高密度に配合した高品質な素材を選択可能です。
色のバリエーションも異なり、保険診療は単一か2色程度で一気に詰めるだけですが、自由診療は透明度や光の反射が異なるレジンを多層に重ねて本物の歯と見分けがつかないクオリティに仕上げられます。
また、治療にかける時間にも違いが生まれ、保険診療なら1本あたり15分~30分程度と比較的短時間です。
しかし、自由診療では1本あたり60分~120分程度もの時間を費やして、非常に精密な治療を行います。
レジンを使用する場合、「防湿」も欠かせない大切な要素ですが、保険診療は綿ロールなどを用いる簡易的な処置に留まるケースがほとんどです。
その点、自由診療は原則としてラバーダムシートによる完全防湿を実施します。
適応範囲にも差があり、保険診療が小さな虫歯や前歯や奥歯の中等度までの欠損に限定されるのに対し、自由診療では正中離開(すきっ歯)や軽度の歯並び修正、さらには奥歯の大きな修復まで対応可能です。
費用の目安は、保険診療なら約1,000円~3,000円、自由診療であれば約2万円から7万円前後となります。
コンポジットレジンの治療の流れ
天然の歯をよく見ると、実は1色だけでできているのではないことに気づかされます。
内部にある象牙質は黄色みが強く、表面を覆うエナメル質は半透明で、先端部分はブルーグレーのような色といった具合に場所によって異なるのです。
このリアルな質感を再現するには、治療の際に複数の色を細かく使い分けなければなりません。
自費のダイレクトボンディングではお口の中で天然歯の構造を完全に模倣するため、特性の異なる5~6種類以上のレジンを何層にも細かく重ねて作り上げます。
こうすることで、光が当たったときの透過性が天然歯と調和し、どこを治療したのか専門医が見ても分からないレベルの仕上がりを実現するのです。
一般的な歯科医院で行われるコンポジットレジンの治療としては、まずは診断を行い、虫歯の大きさをレントゲンや口腔内カメラで確認することからスタートします。
治療前に歯が乾燥していない状態でガイドとなる色見本を隣に並べ、ベースとなるレジンの色合いを選定するのです。
痛みや歯の健康に配慮し、虫歯を削る際は必要に応じて麻酔を行い、う蝕検知液を使って慎重に悪くなった部分だけを取り除きます。
レジンを接着する際は水分が最大の天敵となるため、綿を噛んでもらったりゴムのシートを張ったりして、治療部位を完全に乾燥した状態に保たなければなりません。
削った歯の表面に接着力を高める前処理としてリン酸などを塗り、微細な凹凸を形成するエッチングを行います。
続いて歯の内部(象牙細管)に接着成分を染み込ませて強力なボンディング層を作り、専用の光を当ててベースとなる接着剤を固めます。
その後、ペースト状のレジンを削った穴に詰め込んでいきますが、一気に厚く詰めると光が奥まで届かなかったり、収縮によって隙間が生じたりするリスクが避けられません。
そうならないよう、通常は2mm以下の厚みで少しずつ盛り付けては光を当てて固める、という丁寧な作業を数回繰り返すのです。
レジンが完全に固まったら歯の噛み合わせを確認し、高すぎる部分を削って周囲の歯と調和する理想的な高さに整えます。
仕上げは粗いダイヤのバーから徐々に目の細かいシリコンポイントへと移行し、最終的には研磨ペーストを使って表面を鏡面のようにツルツルに磨き上げて終了です。
まとめ
コンポジットレジンは見た目が天然歯に近く、歯を削る量も最小限に抑えられる上に、当日中に治療を終えられるケースが多いというメリットがあります。
現代の歯科修復の主役といえる素材であり、小さな虫歯であれば少ない負担できれいに治せるものの、水分が治療の妨げになるなどの注意点に留意が必要です。
この治療には保険診療と自由診療があるため、どちらが向いているか担当の歯科医師とよく相談した上で決定しましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


