一般的な虫歯治療は1回約30分と短く、複数回に分けて処置を行うため完了までに数ヶ月かかるケースも少なくありません。
そこで注目されているのが、1回あたりの診療時間を数時間に拡大して治療期間を大幅に縮める「短期集中治療(高速治療)」です。
今回は、この治療によって完了までの期間をどれくらい短縮できるのか、その具体的な短縮効果を解説します。
短期集中治療(高速治療)と通常の治療の違い
歯科の短期集中治療について知るためには、最初に「なぜ通常の治療では何度も通院を求められるのか」という疑問を紐解く必要があります。
この頻繁な通院の背景にあるのは、国内の多くの歯科医院が従っている保険診療の仕組みです。
日本の公的医療保険制度は非常に充実している一方、1日の診療で認められる処置の組み合わせや手順には細かな規定が存在します。
そのため、歯科医師がその日のうちに複数の虫歯をすべて治したいと願っても、ルールの制約によって治療を数回に分けるしかありません。
また、通常の歯科医院では多くの患者様を同時に受け入れるため、1人あたりに割ける時間は30分ほどが限界です。
麻酔の浸透を待ち、少しだけ削って仮の蓋をし、次の予約を取るという流れを繰り返すため、虫歯が多い人ほど通う回数が膨らんでしまいます。
一方で、短期集中治療は主に自由診療の枠組みで行われるため、保険診療の細かなルールに縛られることがありません。
このような制約が存在しないことから、1回あたり2時間から6時間といった長時間の診療枠を確保し、その日に進められる処置を限界まで詰め込む手法が可能です。
加えて、院内を完全貸切状態にしたり1人の歯科医師と歯科衛生士が付きっきりで治療に専念したりすることで、処置の効率を極限まで高めています。
これまでの通院で毎回発生していた「麻酔をかける、処置後に片付ける、会計を待つ」といった細かな時間のロスを一切なくした結果、これまでにないハイスピードな治療が形になりました。
治療期間はどのくらい短縮される?

短期集中治療を選択した場合、治療期間と通院回数をどれほど減らせるかは、処置を行う本数や虫歯の進行度によって異なるため、一概には言えません。
そのため、ここでは通常の保険診療と比べたときにどのくらい通院を減らせるのか、具体的な目安を分かりやすくお伝えします。
たとえば、お口の中に中等度の虫歯が4本から6本あり、型取りをして詰め物や被せ物で補う必要があるとしましょう。
通常の保険診療であれば、最初に右側を削って型取りを行い、2回目の来院でできあがったものを装着します。
3回目にようやく左側の治療に入るというように、1回あたり30分から45分ほどをかけるステップが一般的です。
噛み合わせのバランスに配慮しながらブロックごとに治療を進めるため、全体の完了までに2ヶ月から4ヶ月を要し、通院回数も6回から10回と長期戦を覚悟しなければなりません。
その点、短期集中治療であれば、最初の通院ですべて、あるいは広範囲の虫歯を一気に削り、精密な型取りまでをまとめて進めることができます。
2回目の来院時には、仕上がったすべての詰め物・被せ物を一度に装着して治療を終えられるため、実質2回だけの通院でゴールを迎えることが可能です。
つまり、治療期間を最短で1週間から1ヶ月程度へと、通常のおよそ4分の1から5分の1にまでスリム化できる方法です。
通院回数も数回に抑えられる代わりに、1回あたりの治療時間は2時間から5時間ほどの長丁場になる点に留意しなければなりません。
さらに治療が長期化するケースとして、虫歯が神経に達していて激しい痛みが出ているケースでは、歯の根の中をきれいに掃除して消毒を施す「根管治療」が不可欠です。
実はこの治療こそが、歯科医院の処置の中でもとりわけ通院回数が多くなり、長引きやすいものの代表格として知られています。
保険診療の場合は1回30分ほどの限られた時間の中で、器具を使って根管内を少しずつ清掃し、薬剤を詰めて仮の蓋をするアプローチが一般的です。
そして次回の来院時に蓋を外して中を洗浄するという、一連の工程を何度も繰り返さなければなりません。
順調にいっても1本あたり4回から6回は足を運ぶ計算ですが、もし途中で痛みが戻ったりバイ菌が入ったりすると治療は振り出しに戻るため、さらに通院生活が延びてしまいます。
しかし短期集中治療であれば、マイクロスコープやラバーダムといった専門器具を駆使し、1回につき数時間を費やして徹底的に根管内を無菌化・清掃していきます。
そのため、完了までの時間を大幅に短縮できる点が大きな強みです。
1本あたりの通院回数は最短1回、多くても2回程度で済むため、治療がスムーズに進めばわずか1日で根管治療そのものを終わらせることも夢ではありません。
さらに、部分的な虫歯にとどまらず、長年、歯科医院から遠のいていたことでボロボロになった歯が何本もあり、抜歯が必要な歯や交換すべき被せ物、インプラントなどが混在している複雑なケースでは、お口全体を捉える「全顎(ぜんがく)治療」が求められます。
これを通常の保険診療で進めようとすると、どうしても激しく痛むところや、今すぐ処置が必要な場所から優先的に手を付ける「部分的なアプローチ」になりがちです。
結果として、すべての治療が終わる頃には最初に処置した箇所が再び悪化しているケースもあり、ゴールの見えない悪循環に陥ってしまうリスクが否定できません。
これに対し短期集中治療では、最初にCT撮影や3Dスキャナーを用いて、お口全体の緻密な治療計画を立案します。
加えて、静脈内鎮静法などを用いることで、患者様はまるでうたた寝をしているようなリラックスした状態で、1日に5本から6本の抜歯や歯を削る処置、さらには仮歯の装着までを同時に進めることが可能です。
これにより、これまで年単位の期間を要していた治療が、数ヶ月レベルへと劇的に短縮されます。
なぜ治療期間が短いのか
短期集中治療は通常の治療と比べて治療期間や回数を大幅に削減できますが、「そんなに短縮して大丈夫なのだろうか」と身構えてしまう方もいるかもしれません。
まとめて処置を進めることでクオリティが低下しないか、工程を省いて手抜きをしたりしているから早く終わるのではないかと疑ってしまうのもうなずけます。
しかし、短期集中治療のスピードが早いのは、決して治療を大雑把にしているからではありません。
むしろ、治療そのものは通常の保険診療よりも精密に行われているケースが数多く存在します。
最新のデジタル設備と歯科医師の高度な技術を掛け合わせ、精度を高めながら徹底的に無駄を削ぎ落とした結果、必要な期間を凝縮して密度を高めたものが短期集中治療の本質です。
この高速かつ精密な治療を可能にしている背景には、主に4つの先進医療技術が大きく貢献しています。
その1つ目が「セレックシステム」と「口腔内スキャナー」の導入です。
これまでの型取りは、粘土のような印象材をお口にくわえたまま数分間じっと待つ必要があり、患者様への肉体的な負担が大きいものでした。
さらに、素材の変形による誤差が生じやすいという構造的な問題も抱えていたのです。
その点、短期集中治療で用いる口腔内スキャナーであれば、お口の中を数秒から数分で3Dデジタルデータ化できるため、従来の不快な型取りから完全に開放されます。
そして、採取したデータを基に、院内のCAD/CAMシステム「セレック」がセラミックブロックを極めて精密に削り出します。
昔のように技工所へ郵送して1週間や2週間も待つ必要はもうありません。
早ければ歯を削ったその日のうちに白いセラミックを入れられる「ワンデイトリートメント」のおかげで、通院の手間を最小限に抑えられます。
2つ目の先進医療技術は、歯科用顕微鏡「マイクロスコープ」を活用した精密治療です。
肉眼の20倍以上に視野を広げられるため、虫歯の取り残しや、歯根にある極細の神経の管まで正確に捉えられます。
患部を視認しながら確実に処置を進められるため、見えないことに起因する手探りの治療を排除できるのが大きなメリットです。
的確なアプローチが可能なため、結果として再治療のリスクを軽減し、トータルの治療期間や通院回数を抑えることにつながります。
3つ目のポイントは、歯科用CTによる多角的な精密診断です。
歯科用CTを用いることで、お口の中を3次元の立体画像として鮮明に把握できます。
従来の2次元レントゲン写真では判別が難しかった骨の厚み、神経の正確な位置、歯の根の先端にある病巣の広がりまで一目で確認可能です。
お口の中の状態を精密に捉えることで、原因の特定をスムーズにし、迷いのない迅速なアプローチへ移行できます。
4つ目は、長時間の治療を可能にする上で大きな鍵となる「静脈内鎮静法」という麻酔技術の活用です。
腕の静脈から点滴で麻酔薬を注入することにより、うとうとと眠っているようなリラックスした状態を導きます。
恐怖心や緊張が和らぐだけでなく、時間の感覚が鈍くなるため、例えば4時間の治療であっても体感的には15分から30分程度しか経っていないように感じられます。
あごの疲れや痛みも残りにくいため、1日3時間から4時間ほどを要する集中治療でも、心と体に大きな負担をかけることなく安心して受けられます。
まとめ
短期集中治療(短期治療)は、通常の保険診療では数ヶ月から半年以上かけて数十回通院する必要のある治療を、状態によっては最短1日から1ヶ月、数回の通院で完了させることが可能です。
治療期間や通院回数を大幅に短縮できるのは、セレックやマイクロスコープ、静脈内鎮静法などの高度な医療設備や技術を駆使し、1回の診療に十分な時間を確保して精密な治療を行うためです。
自由診療による治療のため、保険診療の制度上の制限にとらわれることなく、患者様にとって最善の治療法や素材を選択し、効率的かつ質の高いアプローチを追求できます。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


