顎関節症の治療にあたり、マウスピース型の治療器具を装着して治療するケースがあります。
実はマウスピース型の治療器具にはさまざまな種類があり、特に有名なものとして2つが挙げられます。
2つの器具は、それぞれどのような目的で装着し、どのような効果があるのか解説します。
顎関節症の治療で使用するナイトガードとは?
顎関節症の原因が歯ぎしりや食いしばりの場合には、ナイトガードという治療器具が効果的です。
ナイトガードはマウスピースの一種で、睡眠中に使用します。
寝ている間の歯ぎしり・食いしばりは自覚しづらく、自分ではなかなか気付きません。
睡眠時にナイトガードを装着することで、睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをしているのかどうか確認できます。
具体的には、ナイトガードの傷の有無によって歯ぎしり・食いしばりの確認が可能です。
ナイトガードは強化プラスチックでできています。
そのため、少し噛んだ程度では傷はつきません。
しかし、歯ぎしりや食いしばりがあるとナイトガードに強い力がかかるため、傷がつき、すぐにわかります。
また、ナイトガードを装着することで、歯ぎしりや食いしばりをしたときに歯がダメージを負うのを防いでくれます。
歯ぎしりや食いしばりは食事の時の数十倍の力がかかるため、歯に大きなダメージを与えてしまうのです。
さらに、ナイトガードが歯ぎしり・食いしばりの力を弱めてくれます。
なぜなら、厚みがあるため、何も装着していないときのように深く噛むことができないからです。
浅く噛むことしかできなくなるため、歯ぎしりや食いしばりの力を弱められるでしょう。
なお、ナイトガードには、ソフトタイプとハードタイプがあります。
基本的には耐久性が高いハードタイプの方がおすすめですが、歯ぎしりや食いしばりをはっきりと把握するには、ソフトタイプの方が傷つきやすいため、向いています。
顎関節症の治療で使用するスプリントとは?
顎関節症の治療器具には、ナイトガードと同じくハードタイプのマウスピースである、スプリントという器具もあります。
ナイトガードは顎関節症の原因を防止するために使用しますが、スプリントは顎関節症の症状を緩和するために使用する器具です。
スプリントを装着すると、顎の筋肉が緊張するのを改善できます。
スプリントの装着によって、歯ぎしりや食いしばりの力を全体に分散できるので、筋肉の緊張防止が可能です。
また、スプリントを着けていると、顎を左右に動かすことができるため、顎関節の位置がずれている場合は理想的な位置へと動かすことも可能です。
つけてすぐは無理でも、しばらくしたら動かせるようになります。
歯並びに問題があると、特定の歯だけ強く接触してしまう口蓋性外傷が起こることもありますが、スプリントでガードすれば防止可能です。
また、ナイトガードと同じく歯ぎしりや食いしばりをしていることの証拠にもなり、防止できます。
噛み合わせも改善できるため、噛み合わせに違和感がある場合におすすめです。
顎関節症治療にはどちらが有効?
ナイトガードとスプリントを比較した場合、ナイトガードは顎関節症の原因となる歯ぎしりや食いしばりを防ぐためのもので、スプリントは顎関節症の症状を緩和できるものといえます。
顎関節症の治療にはどちらが向いているのでしょうか?
顎関節症になるのを防ぐのであれば、就寝時にナイトガードを装着していた方がいいでしょう。
しかし、顎関節症になってしまった時に症状を緩和したいのであれば、スプリントの方が向いています。
では、スプリントを装着すれば顎関節症を治すことはできるのでしょうか?
実は、スプリントを着けるだけでは、完治は不可能です。
なぜなら、顎関節症の原因は、噛み合わせや食いしばりだけではないからです。
もし、顎関節症になった原因が顎の筋肉の緊張であれば、スプリントを装着するだけでも治るかもしれません。
しかし、実際にはストレスや姿勢の悪さなど、他の原因も関係しています。
顎関節症になった時、スプリントを着けただけで放置していると、徐々に悪化してしまいます。
悪化すると、口を開けることができなくなってしまう可能性があるため、早めに治療しなくてはいけません。
ナイトガードも、睡眠中の歯ぎしりを防ぐという効果があるため、顎関節症の予防や症状の緩和に役立ちます。
しかし、スプリントとどちらがいいのかはわからないでしょう。
効果が高いものを選ぶには、まず自分の顎関節症の原因を把握しなければなりません。
何が原因かは、歯科医院で診察してもらえば把握できます。
原因に合わせて、適切な対処方法を相談してください。
まとめ
顎関節症の治療には、ナイトガードとスプリントという2種類の治療器具があります。
どちらもマウスピース型の治療器具ですが、ナイトガードは就寝中に装着して歯ぎしりや食いしばりを防ぐもの、スプリントは顎関節にかかる負担を軽減するものと、目的は異なります。
どちらが自分の治療に有効なのかは、顎関節症の原因によって異なります。
まずは、歯科医院で原因が何かを診察してもらい、適切な治療方法を相談しましょう。
東京都品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。