正しい生え方をしていれば歯はアーチ状に並びますが、中には一部の歯並びがズレてしまう人もいるでしょう。
ズレた歯並びのことを不正咬合といい、特に下の歯が上の歯より前に出てしまう不正咬合を下顎前突といいます。
今回は、下顎前突の主な原因や治療方法について解説します。
下顎前突について
歯の本数が上下で変わらず、上下の歯が嚙み合うようになっていて、かつ前歯だけ上の歯が若干前に出ているのが通常の状態です。
しかし、人によっては一部の歯が歯列から外れたところに生えていることがあります。
この状態を不正咬合と呼びます。
不正咬合にはいくつかの種類があり、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている歯並びを下顎前突というのです。
下顎前突は反対咬合や受け口などと呼ばれることもあります。
いわゆる「しゃくれ」も同じものだと思われがちですが、少々異なります。
下顎前突は、歯並びと骨格のどちらかに問題があるということです。
問題の所在によって、治療方法も異なります。
歯並びに問題がある場合、上下の前歯の傾き方が異なっていて舌の前歯が前傾しているか、上の前歯が奥に倒れているかのどちらか、もしくは両方となります。
原因が歯槽骨に生えた歯であることから歯槽性反対咬合とも呼ばれており、骨格に問題がある場合よりも治療は簡単です。
そもそも上下の顎の骨の大きさのバランスが悪く下顎前突になってしまうケースは骨格に問題があるため、骨格性反対咬合と呼ばれます。
日本人は下顎の方が発達しやすいために下顎前突となる可能性が高い、と思っている人もいるでしょう。
しかし、実際は上下で成長が多少異なる程度であり、不正咬合になるほどバランスが悪くなるということはめったにありません。
下顎前突の原因は?
下顎が上顎よりも前に突出する主な原因には3つあります。
まずは、前歯が生える向きに問題があることで下の前歯が前に出てしまっているケースです。
また、遺伝による骨格の問題で上下の顎がちょうどよく成長せず、バランスが悪いせいで下顎前突になってしまうこともあるでしょう。
顎のバランスは舌の位置に大きく関係があるといわれ、上顎を支えている状態であればいいといわれています。
しかし、支えるところに舌があることが少ない場合は、バランスが崩れやすくなります。
日常生活の中で見られる癖が下顎前突の原因になることもあり、その1つが口呼吸です。
口呼吸により気道が圧迫されると、空気を吸いやすくするために下顎を突き出すことがあります。
子どもによくみられる、指しゃぶりや舌で歯を押す癖、下顎をわざと突出させる癖なども、顎前突の原因です。
どのような治療があるのか
治療方法としてまず考えるのが矯正治療です。
矯正治療を装着して歯を正しい位置へと動かします。
歯の生える位置がずれていたり傾いていたりしていることが原因の場合には、矯正治療で改善が可能でしょう。
矯正治療だけで対応できないのが、下顎が大きすぎるケースです。
この場合には、矯正治療と共に外科手術も行って、下顎を小さくする治療を行わなければなりません。
特に子どものときは上下の顎の成長のバランスが崩れやすく、上下のバランスを整えて正常に骨格を成長させるよう促す必要があります。
しかし、成人している場合は骨格の成長を終えているため、バランスよく成長させることはできません。
代わりに行われるのが矯正治療で、歯を動かすだけではなく顎の位置に関してもある程度の調整が可能です。
近年はマウスピース矯正が人気ですが、下顎前突の場合は基本的にワイヤー矯正で治療します。
歯の傾斜が問題であれば矯正治療によって歯の傾きを正常に直すため、治療にかかる期間の目安は1年半から2年ほどでしょう。
一方、外科手術も必要となる場合には、もっと時間がかかるかもしれません。
その場合には、全体の治療を終えるまでに1年半から3年半ほどかかるでしょう。
ただし、上述の期間はあくまでもスムーズに治療が進められた場合の目安でることに留意してください。
途中で虫歯や歯周病など別の治療を行った場合には、もっと長くなります。
具体的な治療期間は歯並びの状態などで異なります。
どのくらいの期間が必要となるのかを把握するためにも、事前に歯科医院と相談することが大切です。
まとめ
不正咬合の1つである下顎前突は反対咬合や受け口とも呼ばれるものです。
歯並びや骨格に問題があることで、引き起こされます。
歯並びに問題がある場合は比較的簡単に治療できます。
一方、骨格の場合はかなり大掛かりな治療が必要です。
治療は主に矯正治療で行われますが、骨格に問題がある場合には手術が必要になるかもしれません。
ただし、歯列矯正で改善されるケースもあるため、一度歯科医師に相談してみた方がいいでしょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。