ガムや歯磨き粉などで身近な存在となったキシリトールの虫歯予防効果は、今では広く知られています。
実は、キシリトール以外にCPP-ACPという成分にも虫歯予防効果があることをご存じでしょうか?
具体的にどのような効果のある成分なのか、解説します。
CPP-ACPとは?
「虫歯予防に効果的な成分」と聞いてまず思い浮かぶのは、歯科医院で歯に塗られたり、歯磨き粉に含まれたりするフッ素です。
最も身近で、ほとんどの人が使用したことのある成分といえるでしょう。
また、近年ではキシリトールの虫歯予防効果が広く知られるようになりました。
そのため、虫歯予防に効果的な成分としてキシリトールを挙げる人もいるでしょう。
確かに、ガムやキャンディ、タブレットなどの食品の中にはキシリトールが含まれるものもあり、その多くが虫歯予防効果をうたっています。
「歯の健康のために」と、キシリトール入りの食品を普段からよく食べる人もいるでしょう。
実は、フッ素とキシリトール以外にも、虫歯予防に効果的な成分があります。
それがCPP-ACPで、食品に配合される成分の1つです。
キシリトールと比べると知名度が低く、聞き覚えがない人もいるかもしれません。
主にガムに配合される成分とあって、知らず知らずのうちに口にしている人は少なくないでしょう。
キシリトールの陰に隠れて目立ちにくいものの、確かな虫歯予防効果があります。
たとえば、CPP-ACPが配合された「リカルデント」というガムは、日本歯科医師会から歯科保健の発展・普及に寄与する歯科衛生製品として推薦された商品です。
一般向けに店頭販売されたものを見たことがある人も多いのではないでしょうか?
実は、リカルデントにはCPP-ACPが強化された歯科医院専用の商品もあり、より高い虫歯予防効果が期待できます。
CPP-ACPは牛乳由来の成分です。
CPPとはカゼインホスホペプチドという乳たんぱくからできた成分で、ACPは非結晶リン酸カルシウムを指します。
名称のとおり2つの成分の複合体で、メルボルン大学歯学部のエリック・レイノルズ教授が長年研究した成果として誕生しました。
CPP-ACPには歯を丈夫にする3つの効果があるため、虫歯予防に非常に役立ちます。
1つ目の効果は脱灰の抑制です。
口内の細菌が生み出す酸により、歯のエナメル質の内側からミネラルであるリン酸カルシウムが溶け出すことを脱灰といいます。
CPP-ACPによって虫歯の始まりである脱灰を抑えられるため、ミネラルが溶け出さないよう食い止めることができるのです。
2つ目の効果は再石灰化の増強です。
再石灰化を促進し、脱灰によってエナメル質の内側から溶け出したミネラルを再び歯に戻します。
歯のメカニズム上、脱灰を完全に抑えることはできません。
食事の際にどうしても歯の成分が溶け出しますが、再石灰化が適切に機能すれば、歯質は強化されます。
3つ目の効果は耐酸性の増強です。
CPP-ACPでミネラルを補給された歯のエナメル質は、虫歯の原因となる酸への耐性が増強されます。
なぜCPP-ACPには虫歯予防の効果があるのか

CPP-ACPが虫歯を予防できるのはなぜでしょうか?
理由を知るためにも、まずは虫歯がどのようにできるのか、そのメカニズムから理解する必要があります。
虫歯は、細菌によって歯が溶かされる細菌感染症の一種です。
ミュータンス菌をはじめとしたいくつかの原因菌によって引き起こされます。
「虫歯の原因菌」「細菌感染症」という言葉から、肺炎や食中毒のように、外から菌をもらって病気になるようなイメージを抱くかもしれません。
しかし、ミュータンス菌は健康な状態でもほとんどの人の口内に存在する、口腔常在菌の一種です。
ミュータンス菌が口内にいても、それだけで虫歯になるわけではありません。
では、なぜ虫歯を引き起こすのかといえば、その原因はミュータンス菌の排泄物にあります。
ミュータンス菌は、糖分や炭水化物をエサにして増殖し、人間のように排泄するのです。
この排泄物が曲者で、酸と粘り気のある物質でできています。
粘り気のある物質によって歯の表面に張り付き、酸で歯を溶かしてしまうのです。
すると、外側を覆うエナメル質からカルシウムなどの成分が溶け出す脱灰が起こります。
この状態が進行し、本格的な虫歯になるのです。
痛みなどの自覚症状はないものの、脱灰によって歯の内部がスカスカになっているのが、初期虫歯と呼ばれる状態です。
治療せずにいると、歯の溶ける範囲が少しずつ広がって虫歯が進行します。
それを阻止するのが、CPP-ACPです。
CPP-ACPには、酸によって溶け出したミネラルをとどめる働きがあります。
脱灰が起きても、歯はすぐに虫歯になるわけではありません。
同じ場所で何度も脱灰を繰り返すと、徐々に穴が開いて虫歯になります。
重要なのは、脱灰が起こったからといって必ず虫歯になるわけではない、という点です。
再石灰化が機能することで、歯は元のように戻り、より丈夫になっていきます。
再石灰化とは、溶け出したミネラルを唾液から補給し、修復する働きのことです。
再石灰化が正常に機能すると、脱灰によって溶けた歯のエナメル質を元通りにできます。
再石灰化に必要なミネラルは、唾液に含まれるリン酸イオンやカルシウムイオンなどから補充され、フッ化物配合の歯磨き剤や洗口剤を使用することで、修復を加速できるのです。
再石灰化を増強する成分にはCPP-ACPも含まれます。
唾液の再石灰化作用には個人差がありますが、CPP-ACPは不足分を埋め、エナメル質を効率的に修復します。
脱灰によってミネラルを失った歯に対し、必要な成分がより多く吸収されるように補助する効果があるのです。
ちなみに、虫歯のきっかけとなる脱灰にも個人差があります。
というのも、歯の表面を守るエナメル質がもともと強い人もいれば、弱い人もいるからです。
歯の構造は、表層のエナメル質と内側の象牙質、一番中心の歯髄というように、大きく3つに分かれています。
エナメル質は一番外側にあるため、脱灰が起こった際に、ミネラルが最初に溶け出す部分です。
もしもエナメル質が強く、酸への耐性が高いタイプであれば、脱灰が起こりにくく、虫歯リスクを抑えられます。
しかし、弱いタイプだと耐性が低いため、セルフケアを徹底しないと何度も虫歯になるかもしれません。
CPP-ACPは歯質を問わず、脱灰を抑制して再石灰化を増強します。
それに加え、酸への耐性を向上させる働きもあるのです。
CPP-ACPを取り入れる方法
CPP-ACPを取り入れるためにはどうすればいいのでしょうか?
まず挙げられるのは、専用のペースト剤を取り入れる方法です。
ペースト剤の中で特に有名なものに、MIペーストがあります。
MIペーストは歯磨き粉ではなく、歯のミネラルパックとして使用するのが特徴です。
どのように使用するのかというと、まずは歯を磨いて汚れを落とし、口内を清潔にします。
その状態で指や歯ブラシにペーストを付け、歯の表面に塗り広げていくのです。
塗った後は、口を閉じた状態で3分待ちます。
その際は、唾液を飲み込まずに口内で溜めたままにしてください。
時間が経過したら口内に溜まった唾液を吐き出します。
ミネラルを浸透させるためにも、約30分間は飲食を避けなければなりません。
ペースト剤が苦手な人や、もっと簡単に取り入れたい人に向いているのは、ガムを噛む方法です。
1日3回以上2粒ずつ20分間噛むことで、CPP-ACPの効果を取り入れられるでしょう。
ただし、注意点があります。
キシリトールと同様に、一度に多量を摂取するとお腹が緩くなることがあるため、目安となる量を守りましょう。
まとめ
虫歯を予防する成分として有名なのは、フッ素やキシリトールですが、CPP-ACPという成分にも高い効果があり、配合されているガムもあります。
CPP-ACPには歯の脱灰の抑制、再石灰化の促進、耐酸性の増強という3つの効果があり、虫歯のメカニズムに働きかけるため、虫歯の悪化を未然に防ぎます。
ペースト剤やガムで取り入れる方法があり、それぞれ用法が異なるため、向いているものを選びましょう。
東京品川区五反田周辺で矯正治療をご検討の際には、是非、当院にご相談下さい。
一人一人に合った治療方法をご提案させて頂きます。


